プールの授業が廃止に?やむを得ない教育の舞台裏

各地で続々と梅雨明けも宣言され、名実ともに夏の始まりを迎えています。夏といえば水遊び。海、川、そしてプールです。しかし、最近プールを取り巻く環境が大きく変わってきているとのことです。7月5日放送のCBCラジオ『石塚元章 ニュースマン!!』では、学校現場で起きている水泳の授業の変化について、CBC論説室の石塚元章特別解説委員が解説しました。聞き手は加藤愛です。
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石塚「愛ちゃんは水泳得意ですか?」
加藤「泳げ…ました。小学生の頃は50mとか泳いでたんですけど」
学生時代は泳ぎが得意だったという加藤ですが、大人になってからはめっきり水泳をする機会もなく、今は泳げるかどうか自信がないと話します。そういった人は意外と多いかもしれません。
石塚「私はあまり得意じゃないです」
小学校の頃はプールがなく、近場に海や川があった訳でもないので、泳ぎを練習する機会がなかったという石塚。
小学校のプールが本格的に普及したのは、1964年の東京オリンピック以降のこと。
その後1968年の学習指導要領の改訂により、水泳が小学校体育の正式な内容として盛り込まれたことも、プール普及の後押しをしたようです。
今どきのプール事情
小学校で水泳を習うことが一般的になって60年ほど経っていますが、最近再び変化の兆しを見せているというのです。
石塚「笹川スポーツ財団が全国の地方自治体を対象にスポーツ施設の実態調査をしたところ、小学校以外のプールで授業を行っているという学校が増えていて」
各自治体で一校でもそういった学校があるかを尋ねたところ、全国で6割以上の自治体が「こどもたちを連れて学校外のプールに行っている」と回答したようです。
石塚「さらには民間に完全委託しているところもあって」
場所を借りるだけでなく、指導も含め完全に民間に任せているという学校が20%、公共施設のプールを借りて教師が指導しているという学校は40%だったとか。
さらに驚くべきことに、「今後学校のプールの廃止を検討している」もしくは「すでに廃止した」と答えた学校は17%もあったそうです。
なぜ学校でやらない?
石塚「何が大きい課題かって、ひとつはプールそのものが老朽化していることなんです」
プールは大掛かり施設なので、修繕には大きな予算が必要です。かといって民間の施設を借りるのも予算がかかります。
石塚「そうすると必然的に、水泳の授業を減らそうという流れにも繋がってくるんですよね」
そしてもうひとつはこの猛暑。
石塚「昔は『気温が低くて水泳の授業ができない』なんて時もありましたけど、今はむしろ逆ですね」
暑すぎて熱中症になる危険が高いため、授業を取りやめるというケースもあるのだとか。
プールを新しくしたところで使う機会が減るのであれば、外部委託する学校が増えるのも不思議ではありません。
もうひとつの理由
さらには「教師の負担が大きい」という問題もあります。
学校での水泳の授業にあたって、こどもたちの安全管理はもちろんのこと、水質管理や事前準備、後片付けなどの付随作業が意外にも大変で、他の業務を圧迫しているというのです。
管理のあり方を見直して教師の負担軽減を検討する一方で、先に挙げた老朽化や異常な暑さなども加味すると、廃止という選択をせざるを得ない学校も増えてきます。
民間委託という方法も、充てられる予算や利用できる施設がなければ選択できません。
一部では「今後泳げないこどもたちが増えてくるのでは?」という懸念もあるそう。
こども達が平等に水泳を学んだり、友達と開放的に水に親しんで遊んだりできる機会を残してあげたいものです。
(吉村)
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