治療を受けるのをためらう時代に?「高額医療費制度」改正の問題点
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若い頃はケガや病気とは無縁でも、歳を取れば必ずと言っていいほど身体のどこかに不調を抱えたり、大病をしやすくなるものです。日本の医療保険制度の優秀さは世界からも注目される一方、現在その制度が改悪されようとしています。2月26日放送のCBCラジオ『つボイノリオの聞けば聞くほど』では、「高額療養費制度の改正問題」について、つボイノリオと小高直子アナウンサーが紹介します。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く日本の自慢だった「国民皆保険制度」
SDGsの目標3は「すべての人に健康と福祉を」だと切り出した小高。
日本が第二次世界大戦後に築き上げてきた医療保険制度は、所得が低くても適切な医療を受けることができる「国民皆保険制度」。世界から注目されるほど、優秀な制度だと言われています。
つボイ「我々も日頃から助けられていますよね。でも最近の国会では、病院の窓口で支払う上限額を引き上げようという議論がされているようです」
大きな病気やケガをした時や入院をした時、窓口で支払う金額は3割負担(年齢等によって違う場合あり)となっており、大きな手術や高額な治療を受けた際に助かる制度。
1か月の間に窓口で支払う医療費の上限も年収等によって定められており、一定額を超えて支払った場合は差額が戻って来る「高額療養費制度」もあります。
高額医療費制度が改定される見込み
現時点で、1ヶ月に窓口で支払う医療費の上限が一番高い人の年収は、健保の場合1160万円以上で約25万円程度。国民健康保険の場合は、年収上限額の条件が変わります。
つボイ「この辺りを見直そうという話がされてるんですよね」
小高「今の区分では、住民税非課税世帯から年収1160万円以上(健保の場合)まで5段階に分けられています。来年8月にそれぞれの区分で支払上限額を引き上げられますけど、今まで以上に払わないといけなくなる。負担額が増えるってことです」
さらに再来年8月には、区分が5から13段階に増え、一番高い年収区分1650万円以上の世帯の窓口上限支払額は約44万円となる見込み。
他の区分も細かく分けられるため、自分の区分がどう変わり、どれくらいの上限額になる見込みか調べた方がよさそうです。
治療を受けられない人が出てくる?
つボイ「仮に月に約44万円支払ったとしたら、年収がいくらいいと言っても長期療養をしている場合はかなり堪える」
継続治療が必要ながん患者の団体は、厚生労働省に対し、制度見直しの凍結を願い出たことも影響し、長期療養をしている患者の負担額は据え置きになると修正されました。
しかし、立憲民主党が要求した制度見直しの全面凍結について石破総理が否定。
つボイ「総理が高額ながん治療薬の名前を出したために、治療中の患者を傷つけた批判されておりまして、私にとっても他人事ではないですよ」
今年に入り、前立腺がんを公表したばかりのつボイ。
小高「支払額上限額が引き上げられて『ウチの収入では払えない』ということになれば、治療を受けない選択をする人が出てきて命を落とす人が出てくるかもしれません。
そうなると『命の餞別』になってしまうんじゃないか、という批判もあるんですよね」
ただ、医療費自体は少子高齢化の影響で増大し続けており、その財源をどこから捻出するかという問題もあります。
日本の医療保険制度をどうするのか、いま問い直されています。
今の「国民皆保険制度」自体はいい制度ですが、維持していくためにどうしたらいいのか、私たちも考えなければいけないと小高が締めくくりました。
なお、その後27日時点で「高額療養費の引き上げを『一時凍結』検討へ」というニュースも出るなど、議論の行方からしばらく目が離せない状況となりそうです。
(葉月智世)
番組紹介
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