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咳が止まらない!インフルでも新型コロナでもない「肺NTM症」増加

咳が止まらない!インフルでも新型コロナでもない「肺NTM症」増加

厚生労働省の発表によると、インフルエンザの患者数は9万4千259人で8週連続の増加。さらに新型コロナウイルスやマイコプラズマ肺炎にも注意が必要など、年末に感染症が猛威を奮っています。そんな中、FNNプライムオンラインが報じたところでは、咳が長引く原因のひとつとして、「肺NTM症」という呼吸器感染症が疑われているとのこと。12月28日放送『北野誠のズバリサタデー』(CBCラジオ)では、日本感染症学会幹事で愛知医科大学病院感染症科教授の三鴨廣繁先生が「肺NTM症」について解説しました。聞き手はパーソナリティの北野誠と加藤由香アナウンサー、大川興業総裁の大川豊です。

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肺NTM症とは

肺NTM症のNTMは日本語にすると「非結核性抗酸菌」で、結核菌以外の抗酸菌マイコバクテリウムによる肺の慢性の感染症のこと。

症状は慢性的に咳が出ますが、痰も少し出たり、微熱があったり、全身の倦怠感が出るとのことで、結核や風邪、気管支炎に似た症状とのことです。

日本でも患者数が増え続けていて、2万人以上の患者がいるとのことですが、なぜ増え続けているのでしょうか?

三鴨先生「日本は超高齢社会と言ってもいいですよね。それと基礎疾患をお持ちの方が増えたということで、基礎疾患の中でも慢性の閉塞性肺疾患とか気管支拡張症。

慢性の閉塞性肺疾患はタバコを吸われる方がよくかかる病気と言われますけど、タバコを吸わない方でも増えているということ。

もうひとつは移植って増えてますよね。いわゆる腎移植とか肝移植という固形臓器移植以外にも血液の悪性疾患、白血病などで造血幹移植というのもあって、そうすると免疫抑制薬を飲んだりするので。
そういうことが重なって増えているということがわかっています」

その他、やせ型の高齢女性、糖尿病患者、免疫力が低下した高齢者もかかりやすいとのことです。

環境感染

感染経路については結核菌が空気感染なのに対し、NTM感染は原則的に人から人への感染はないとのことです。
では、どのようにして感染が広がっているのでしょうか?

三鴨先生「非結核性抗酸菌は土とか水とか、だいたい環境にいる微生物なんですね。
それに接触したりたまたま吸い込んだりして患するということで、実は地域によって流行の株が変わることもあり得るという、環境感染と言っていいと思いますね」

例えば免疫力の低い年齢の女性の方が土いじりや草いじりなどをすると、感染する可能性が高くなってしまうとのこと。

治療に時間を要する病気

もし熱が下がっても咳が止まらないのであれば、肺NTM症の疑いがあるため病院に行った方が良さそうです。

三鴨先生「遺伝子検査PCRなど、診断技術も確実に向上したので、咳が続くとかちょっと微熱があるとか痰がちょっと出ているとか、ちょっとおかしいなと思ったら、ぜひ受診して胸の写真を撮るとか、時にはCTを撮ったりするかもしれませんが。あるいはPCR検査をするとわかってくるかと思います」

肺NTM症の治療法としては、中には結核の治療にも使われる薬も含めて3種類ありますが、1年以上飲まなければならないほど治療に時間を要する病気です。

また、実はシャワーヘッドにも菌が潜んでいる可能性があるそうですので、衛生管理が大事になってきます。

そして、予防するにはヨーグルトなどを食べたり、運動をしたりするなど、免疫を高める必要があるとのことです。
(岡本)
 

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