侮るな!食後の眠気&だるさ…大病も招く「糖質疲労」の正体や対策
身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
ドクターは、北里大学 北里研究所病院 院長補佐
糖尿病センター センター長 医学博士 山田悟先生です。
今回のテーマは「〜食後の眠気&だるさを侮るな!〜今日からできる!糖質疲労対策」
食後に眠気やだるさを感じる事はありませんか?その原因は、糖質の摂り過ぎによって起こる「糖質疲労」の可能性が高いそうです。これを放置すると、糖尿病・高血圧・心不全・がんなど、さまざまな病気を招く可能性もあるのだとか。そこで今回は、「糖質疲労」の正体や対策などを専門医に教えてもらいました。
糖質疲労の基礎知識
<糖質疲労とは?>
糖質疲労とは、食後しばらくして急な眠気やけだるさを感じたり、集中力が途切れたりする状態の事。その原因は、米・パン・パスタなどに含まれる糖質の摂り過ぎだそうです。
<あなたは大丈夫?糖質疲労チェック>
下記の条件に1つでも当てはまり、食後に眠気を感じる場合は糖質疲労に陥っている可能性が高いそうです。
□朝食を抜く、野菜ジュースのみという生活が習慣化
□お腹いっぱい食べたはずなのにすぐにお腹がすく
□早食いが習慣化
□カロリーや脂質制限ダイエットを繰り返している
その食習慣が危ない!糖質疲労の意外な原因と恐怖
<糖質疲労の原因「血糖値の変動」>
先生によると、糖質疲労の原因は食事による血糖値の変動だそうです。血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度のこと。通常血糖値は、主に食事で上昇。空腹時「70mg/dL〜100mg/dL」、食後は「140mg/dL未満」の正常範囲のなかで変動します。しかし、糖質量の多いごはんや甘いものなどを食べ過ぎると、正常範囲を大きく超える事があり、これが糖質疲労を引き起こしてしまうそうです。
<注意すべき食習慣>
1日で一番血糖値が上がりやすいのは朝食の後だそうです。1食目である事と、時間がなくて早食いになるため、血糖値が大きく上がりやすいのだとか。また、ラーメンと白米を一緒に食べるなど糖質の過剰摂取や、炭水化物(糖質と食物繊維を合わせた栄養素)が中心の食生活は、血糖値が大きく上がりやすいので注意が必要だそうです。
<繰り返すと血糖値をコントロールできない身体に>
通常すい臓が分泌するインスリンの働きにより、糖は筋肉や脂肪細胞などへと運ばれ、血糖値が高くなり過ぎないようコントロールされています。しかし、高血糖の状態を繰り返すと、インスリンの分泌が減り血糖値が上がりやすくなってしまうのだとか。その状態を放置していると、やがて血糖値全体が底上げされ糖尿病の診断基準を満たしてしまう可能性もあるそうです。
<糖尿病の診断基準>
・空腹時血糖126mg/dL以上
・随時血糖200mg/dL以上(食事と採血時間との時間関係を問わないで測定した血糖値)
・HbA1c 6.5%以上
大病も招く糖質疲労の正体とは?
<身体の不調を招く糖質疲労の正体「血糖値の急降下」>
血糖値が急上昇すると、それを抑え込もうと大量のインスリンが分泌され急降下します。これを「血糖値スパイク」と呼びます。この血糖値の急激な低下により、強い眠気が起こるなど様々な不調を招くと考えられているそうです。
<「血糖値スパイク」が招く病の連鎖>
血糖値スパイクは、飢餓感からどんどん食べてしまい肥満につながる事もあるそうです。さらに、肥満から血圧の上昇や高脂血症などが起こると、メタボリックシンドロームにつながります。そして、メタボリックシンドロームを介して全身に色々な病気が連鎖する現象を「メタボリックドミノ」と呼びます。病は段階的に訪れ、まずは「糖尿病」「高血圧」「脂肪肝」といった生活習慣病。さらに、「動脈硬化」から「脳卒中」、また「がん」や「失明」といった大病へと進行する可能性もあるのだとか。つまり、糖質の過剰摂取は、糖質疲労をきっかけに身体をむしばむ病の連鎖の始まりとなってしまうそうです。
今日からできる!糖質疲労改善法(1)「ロカボ」
<ロカボの食べ方で糖質をゆるく制限する>
ロカボとは、ローカーボを略した言葉。炭水化物をゆるく抑えた糖質制限です。1食の糖質量を20〜40gとし、間食で10g、合計70〜130gが1日の目安。例えば、白米茶碗1杯を半分ほどに抑えると糖質を約30g程度に抑えられます。そして、もの足りない分はおかずで補うそうです。
<糖質量の目安>
白米(200g)糖質71.2g→白米(80g)糖質28.48g
うどん(200g)糖質40.6g→うどん(100g)糖質20.3g
パスタ(240g)糖質70.08g→パスタ(120g)糖質35.04g
<たんぱく質と脂質で糖質疲労を改善!>
ロカボで鍵になるのは、たんぱく質と脂質。肉などのたんぱく質、油やバターなどの脂質は、小腸にたどりつくと「インクレチン」というホルモン物質を分泌させます。インクレチンは、インスリンの分泌を促す効果があり、血糖値の急激な上昇を抑えるのに一役かっているのだとか。そのため、あくまで糖質の多い白米や麺類を抑えれば、唐揚げにマヨネーズは血糖値の上昇の抑制にピッタリの組み合わせ。他にも、糖質量の少ないブランパンなどであれば、たっぷりとバターを塗って食べてもいいそうです。また、野菜などもしっかり食べる事を忘れないようにしましょう。コンビニで買える先生のおすすめは、たんぱく質が豊富なサラダとチキン系の揚げ物の組み合わせだそうです。
今日からできる!糖質疲労改善法(2)カーボラストで血糖値上昇を抑制
カーボとは炭水化物の事。すなわち炭水化物を最後に食べる方法が「カーボラスト」です。インスリンの分泌を促すインクレチンの分泌は、たんぱく質や脂質を摂取してから、20〜30分後という研究結果があるそうです。野菜を先に食べる「ベジファースト」という概念がありますが、先生によると脂質やたんぱく質が先でも構わないとの事。一番重要なのは、炭水化物を最後に食べる事だそうです。
今日からできる!糖質疲労改善法(3)スロトレで筋肉量をアップ
スロトレとは、スロートレーニングの略。その名の通りゆっくりとした動作で行う筋トレの方法です。先生によると、スロトレはマシンを使った時と同じくらいのトレーニング効果が得られる一方で、マシンを使う時よりも安全性が高いと考えられているそうです。
<先生オススメ「スロースクワット」>
▼両足を肩幅より少し大きく広げて立つ
▼両手を前に出し3〜5秒ほどかけてお尻を下ろす
▼両手を前に出し3〜5秒ほどかけてお尻を上げる
負担が大きい場合は、椅子などを支えにしてもOKだそうです。
(※無理のない範囲で行ってください)
優先すべきは糖質の量!
先生によると、基本的には糖質の量が食後の血糖値の上昇幅を決めるとの事。そのため、3つの改善法の中でも一番優先すべきは「ロカボ」。糖質を控えても食事で満足感を得られるように、おかずを先にしっかりと食べるように意識すると良いそうです。糖質疲労を放置していると、メタボリックドミノがどんどん倒れていく恐れがあるので、食後に眠気やけだるさを感じている人は、ぜひロカボを意識してみてください。
(2024年9月15日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)