Googleに公取委が初の排除措置命令。スマホ検索の独禁法違反を指摘
アメリカのGoogleがスマートフォン端末のメーカーに対し、自社の検索アプリを優先的に入れるよう不当に働きかけたとして、公正取引委員会が独占禁止法違反(不公正な取引方法)で排除措置命令を出す方針を固めたことがわかりました。12月23日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、CBC論説室の石塚元章特別解説委員がこのニュースについて詳しく解説しました。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く公取委が問題視する独占的契約の背景
主に問題視されているのは次の2つの契約です。
まず1つ目は、Googleがスマホメーカーに対して、自社のサービスを使用する条件として、次のような契約を結んでいたことです。Googleのアプリをスマホの初期状態にインストールし、その上で画面の目立つ場所に配置するよう求めていました。
2つ目は、Googleが広告サービスで得た収益の一部をスマホメーカーに分配する契約です。ただし、その条件として、Googleの競合他社の検索アプリを搭載しないことを求めていました。
特に、日本国内のスマホ市場において、Googleは検索市場で圧倒的なシェアを誇っています。
この状況を背景に、Googleが自社のアプリを優遇するようスマホメーカーに強要し、他の検索サービス事業者が選択肢に入りづらい状況を作り出していると、公正取引委員会は見ている模様です。
競争は技術革新を生む原動力
日本では、スマホやパソコンで何かを調べる行為を「ググる」と呼びます。Googleで調べていなくても「ググる」と言われるほど、Googleの存在は日常生活に深く浸透しています。
総務省の資料によれば、日本国内のスマホ検索市場におけるGoogleのシェアは約79%に達し、世界規模ではさらに高いシェアを占めているとされています。
競争は、新しい技術やサービスを生み出す原動力です。そのため、不正な競争を排除し、他社がより良い商品やサービスを開発して成功を目指せる環境を守ることは非常に重要です。
一方で、競争が排除されると、技術革新が停滞し、優れたサービスが育たなくなる可能性があります。これが今回の問題における大きな懸念点のひとつです。
司法省は「分割案」を提案
この問題に関して、ヨーロッパやアメリカは日本より早く規制を始めています。特にEUはGoogleに対し、高額な制裁金を課しています。
アメリカでは、Googleが行なう業務を分割する案が司法省から提案されました。これは「Googleがすべてを一手に担うのではなく、業務内容によって分けるべきだ」という考えに基づいたものです。
これに対してGoogleは、「契約や運営方法の見直しによって問題を解決できる」と主張し、分割の必要性を否定する提案を裁判所に提出しました。
現在、連邦地裁において「政府の案が妥当か、それともGoogleの提案が受け入れられるべきか」が審議されています。
違反時には罰則、今後の行方は?
こうした動きは、世界的に「Googleがやりすぎているのではないか」という懸念の表れといえます。
いわゆる「GAFAM(ガーファム)」のように、1社が独占的に大きな影響力を持つことは好ましくないとして、規制が強化される流れになっています。
その一例が生成AIの登場です。一社による技術の独占が、新たな競争や技術革新を妨げる懸念もあり、適切な対応が求められています。
今回、公正取引委員会がGoogleに排除措置命令を出すのは初めてのケースです。この命令では、日本市場におけるスマホメーカーとの契約が違反行為として認定され、契約の取りやめや再発防止が求められています。
さらに、Googleが命令に従わなかった場合、罰金などの罰則が課さられる見通しです。今後の動きに注目が集まっています。
(minto)