ソープ街、ドヤ街…ディープなドキュメンタリー『ハートフルワールド』制作者に聞く
ドヤ街やソープランド街など、見ることができないディープな街に「ハートフル」を求めて、ディレクターが一人で突撃取材する、風変わりなテレビ番組『ハートフルワールド』(CBCテレビ)。11月17日放送のCBCラジオ『八木志芳の私たちは求めてる』では、そんな街の人たちの息遣いや「生きる」という思いにシンパシーを感じた八木志芳が、プロデューサー/ディレクターの下野賢志さんをスタジオに招き、取材エピソードを尋ねました。
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なぜ下野さんがこの番組を企画したのかを尋ねる八木。
下野「もともとディープな世界を見るのが好きで、実際に取材したこともあった。ヤクザを辞めた人たちとか、そういった世界で生きる人たちの苦労や人生の物語を取材してる中で『ハートフル』(優しさがあふれているさま 愛に満ちているさま)があるなっていうのを感じた」
そんな、なかなか覗き見れないディープな世界のハートフルを伝えたいと考え企画した番組が『ハートフルワールド』。
八木「どういう基準で街を選んでいるんですか」
下野「普通の番組では取材しなそうなところで、覗き見ることできない世界っていうのが基準」
「ハートフル」を探すまでの長い道のり
八木「本当に『ハートフル』は見つかるんだなと思った」
下野「そうですね。探すまでが大変なんですけど」
八木「ですよね。1回放送するのに、どのぐらいの期間を取材されるんですか?」
下野「2ヶ月で撮れるものを放送しようっていうので、無理そうだったら場所を変えたりもします」
ディープな世界を探すとはいえ、情報が多様化している現在は観光地化している場所も多くあります。
そんな中、第3話で取り上げたのが岐阜市にあるソープランド街「金津園」。
八木はこの場所を知らなかったようです。
八木「金津園を選んだ理由は?」
下野「なんかソープ街って異様な空間で、カメラが入ってはいけなそうなところなんで、そこをあえて行ってみようっていう。どういった人たちが働いているのかっていうのも気になって」
八木「歓楽街の雰囲気は、名古屋とは全然違う?」
下野「まったく違う。ソープランドしかない」
かつて電車一両の乗客が全員足を運んだというほど賑わっていた金津園。
下野さんが取材に訪れた頃は、たまにお客らしき人が通るくらいだったそうです。
下野「働いてる女性たちも普通に路上を歩いていたらしいんですけど、もうそういうのも今はなく管理されていて、外には出歩かない」
八木「取材に苦労されてるのが伝わってきた。なかなか(風俗嬢から)話を聞けない」
下野「本当にヤバいなと思いました(笑)」
街にソープランド勤務の女性が歩いていないので、駅で待機して帰宅するのを待って声をかける…などの手法しかなかった下野さん。
話しかけたら怒られることもあったそうで、取材を始めてから女性から話を聞けるまで、1ヶ月以上の時間がかかったそうです。
連れ去られるまで続けたい
八木「下野さん自身、結構危ない目に合っているんじゃないの?」
下野「怪我したことはないですけど、警察に止めてもらったことあります。すごい勢いで怒鳴られすぎて」
八木「それ、どこですか?」
下野「ちょっと言うとまずいかな。言えないですけど。このままどこかに連れ去られるかなと思った(笑)。現在連れ去られていないので、続けていられます」
八木「よかったですね(笑)」
下野「連れ去られるまで続けるんだろうなって思ってますけど(笑)」
八木「この番組は下野さんが連れ去られたら終わりってこと?」
とはいえ、様々なことがあっても「危なくない」と思っているという下野さん、
そんな「麻痺してしまっているかも」という理由は?
下野「話を聞かせてくれる人たち、皆さん本当に一生懸命生きてて、心温かい方たちばかりだなと思って。どんな世界に生きててもそういう人たちがいるんだっていうことを伝えたい」
下野さんへのインタビューは、引き続き来週も放送予定です。
(野村)