三重県唯一の“サザエ栽培”!海の整備も担う南伊勢町「種苗センター」とは?

三重県南伊勢町では、海の幸を守るための栽培漁業が行われています。三重県で唯一サザエの栽培に取り組む「南勢種苗センター」では、小さな貝を大きく育て海に放流。さらに、海藻が枯れる「磯焼け」対策として海の整備も実施しています。そこで今回は、三重の海を支える取り組みを紹介します。
貝を育てる「種苗センター」って?

南伊勢町にある「南勢種苗センター」では、海の生き物を「種苗」として育てる栽培漁業が行われています。「種苗」という言葉は農業で使われる印象がありますが、水産業界でも小さな魚や卵などを指す言葉として使用されているんです。
(担当者・山本さん)
「貝類を主に育てています。サザエは三重県で唯一栽培しています」

三重県内でサザエを栽培しているのはここだけという貴重な施設。センターでは小さなサザエをじっくり育てています。手のひらに乗せられた小さなサザエは、すでに特徴的な巻き貝の形になっていて、元気に動き回っています。
(担当者・山本さん)
「小さい貝は、僕たちでもあまり見る機会ない。この貝で7か月ぐらいになります。エサをやり大きく育てて、2年ぐらいで放流することが栽培漁業です」

南伊勢町の特産品である「トコブシ」も同様に育てられています。小さな貝は自然界では生き残るのが難しいため、2年ほど人の手で大きく育ててから海に放流。こうして育てられた貝は、地元の海の幸として私たちの食卓に届けられます。
放流した後も大切!海の環境整備も実施

貝を育てて放流するだけでは終わりません。南伊勢町では放流した貝がしっかり成長できるよう、海の環境整備にも力を入れています。
(担当者・山本さん)
「実は放流した後の貝が大きく育つように、海の整備をしているんですよ」
貝が育つには、海藻が茂る「藻場(もば)」が必要です。藻場は貝がエサを取ったり身を隠したりする大切な場所。しかし近年、海藻が枯れて焼け野原のようになってしまう「磯焼け」が問題となっています。

この対策として、南伊勢町では主に2つの取り組みを行っています。1つ目は「ひじきの再生」。海のひじきから種を取り、ジョウロで磯に撒いて育てています。
2つ目は「ガンガゼの駆除」。ガンガゼとは、身が少なく苦味があるウニの一種で、海藻を食い荒らしてしまうため、海の環境を守るために駆除する必要があるのです。
ガンガゼ駆除で海を守る!

ガンガゼの駆除は、想像以上に難しい作業です。番組で漁師さんに同行した「よしお兄さん」も、実際に駆除作業に挑戦しましたが、思うようにいきません。
(よしお兄さん)
「とっているつもりが全然とれない!」
(漁師さん)
「ウニは割と動くのが速いんです」
ようやく1匹駆除できたものの、1つ1つ手作業で行う地道な作業の大変さを実感。しかし、この地道な海の整備が実を結び、海藻が茂る藻場は少しずつ再生しています。
南伊勢町の栽培漁業と海の整備の取り組みは、11月に開催される「全国豊かな海づくり大会」にもつながっています。その100日前イベントとして、8月2日には南伊勢町水産センターが特別開放され、トコブシやサザエたちにあうことができます。

(よしお兄さん)
「本日の推しどころキャッチコピー!海を育てる母であり、海の整備をする父であり、海のギャングを退治するスーパーヒーロー!いろんな方法で海を守っているんですね!」
三重県の豊かな海の幸を守るため、地道に取り組む南伊勢町の栽培漁業。小さな命を育て、海の環境を整備することで、未来の海の恵みを守る大切な活動が続けられています。
CBCテレビ「チャント!」2025年7月23日放送より
番組紹介
