「夏バテが長引く」原因は肝臓!?…「脂肪肝」になりやすい食事とは?肝臓と疲れの関係や肝臓を元気にする方法

身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
ドクターは、横浜市立大学大学院 医学研究科 肝胆膵消化器病学 主任教授
医学博士 米田正人先生です。
今回のテーマは「〜慢性的な「疲れ」「だるさ」〜その原因 肝臓にアリ!?」
「なんだかだるい」「休んでも疲れが抜けない」「夏バテが長引く」など、多くの人を悩ませる“疲れ”。その原因は「肝臓」が弱っているせいかもしれません。肝臓には500以上もの役割があり、そのほぼ全てが疲れと関係があるそうです。そのため、肝臓の機能が低下すると疲れやだるさに繋がるのだとか。疲れは肝臓からのSOSの可能性があるため、そのSOSを放置すると、やがて脂肪肝に、さらに肝硬変・肝臓がんにも繋がり、最悪の場合命を落とす危険もあるそうです。そこで今回は、肝臓と疲れの関係や肝臓を元気にする方法などを専門医に教えてもらいました。
肝臓の働きについて

肝臓は、たんぱく質・脂質・糖質など、身体に必要な栄養素を溜め込んで必要な時に使うエネルギー代謝の働きや、アルコールを含む有害物質を分解し解毒する働きを持っています。その他にも、ホルモンの調節・ビタミンの貯蔵・胆汁の生成など、生命維持に必要不可欠な働きをしていることから“人体の化学工場”とも言われているそうです。
肝臓と疲労の意外な関係
<健康診断で注目する肝機能の項目「ALT(GPT)」>
健康診断の肝機能を表す数値の中で注目するのが「ALT(GPT)」。ALTとは、肝臓の細胞に多く含まれる酵素の名前を略したもの。この酵素は肝臓の細胞がダメージを受けて壊れると血液中に放出されるため、細胞の壊れた量が多いほど数値が高くなるのだとか。つまり、ALTとは、肝臓の細胞が壊れた量を表すそうです。
<「ALT」の数値の見方>
・ALT30以下 異常なし
・ALT31〜40 軽度異常
・ALT41〜50 要再検査・生活改善
・ALT51以上 要精密検査・治療
疲れの原因「脂肪肝」
<脂肪肝について>
脂肪肝とは、肝臓の細胞の中に脂肪が過剰に蓄積された状態。健康な人の肝臓の脂肪含有量は5%以下ですが、脂肪の蓄積が30%を超えると脂肪肝と診断されるそうです。
<脂肪肝と疲労の関係>
先生によると、疲れの原因の1つが「脂肪肝」。脂肪は、肝臓の細胞に溜まります。すると、細胞が膨らみはじめ、過剰に増えると破裂し細胞が死んでしまうのだとか。多くの脂肪が蓄積するとそれだけ多くの細胞が死ぬため、肝臓の機能が低下してしまうそうです。肝臓には取り込んだ栄養をエネルギーに変える働きがありますが、この機能も低下。すると、身体を動かすためのエネルギーを作ったり溜めたりする働きが上手く出来ず、身体が疲れやすくなってしまうそうです。
肝臓に良くない行動
脂肪肝の原因は、食事内容と生活習慣にあるそうです。下記の4項目のうち2つ以上該当する場合は、肝機能が落ちやすい生活習慣と考えられるのだとか。特に(2)と(3)に当てはまる場合は注意が必要だそうです。
<肝臓に良くない行動(1)食事の彩りが良くない>
脂肪肝患者41人・2週間の食事内容を調査したところ、茶色中心の色味が少ない食事が多いというデータがあるそうです。色味が少ない食事は、炭水化物や脂質など栄養が偏りがちで肝臓に脂肪が溜まりやすいのだとか。逆に赤・緑・黄色の野菜を食事に取り入れ、色味を鮮やかにすることで、栄養バランスが自然にとれて脂肪肝の予防・改善につながるそうです。
<肝臓に良くない行動(2)毎晩晩酌をしている>
脂肪肝の原因となる生活習慣の1つが「晩酌」。睡眠中の肝臓では、アルコールや老廃物など身体にとって有毒な物質の無毒化が行われています。例えばビール500mLの場合、アルコール量は20g(※アルコール度数5%で計算)。この量を肝臓が無毒化するには4〜5時間程度かかるそうです。ただし、これは健康な肝臓の場合。脂肪肝の場合は、無毒化により多くの時間がかかる可能性があるのだとか。無毒化をしている間、肝臓はフル回転。すると、肝臓の他の機能も低下。1日に必要なエネルギーを作ることができず、疲れやすくなってしまうそうです。そのため、お酒を飲むなら週に2回は休肝日を設けましょう。
<肝臓に良くない行動(3)夕食が夜10時より遅い>
夜遅い時間は基礎代謝が低下するため、遅い時間に食事をとると摂取したエネルギーが使われず、中性脂肪として肝臓に蓄積されます。食事で摂ったエネルギーは疲れの回復にも使われますが、それが使われず、肝臓に脂肪として溜めるために夜通し働き続けるので朝起きても疲れが抜けないそうです。先生によると夕食の時間が遅くなる場合は、夕食は軽めに済ませて朝食をしっかり食べるようにすると良いそうです。
<肝臓に良くない行動(4)睡眠時間が6時間以下>
睡眠時間が短いと、身体活動を支えるために肝臓が働く時間が確保できない上、夜通し働き続けるため、肝臓自体も疲れて機能低下につながります。そのため、身体が常に疲れていると感じてしまうそうです。
筋肉は「第二の肝臓」!意外と知らない筋肉の働き
筋肉は、エネルギーの貯蔵やアンモニアの分解など、肝臓の機能の一部と同じ働きを担っているそうです。そのため「第二の肝臓」とも呼ばれているのだとか。筋肉量が減少すると、筋肉の働きが低下して、肝臓の負担が増加。逆に、肝臓が悪くなると筋肉の負担が増加。筋肉が衰弱し細くなって疲れるという悪循環に陥ると言われているそうです。
「第二の肝臓」筋肉を鍛える方法
<(1)タオルでトレーニング上半身編「タオル引き」>
▼椅子に座りタオルの両端を握る
▼タオルを外側へ引っ張りながら 首の後ろへ引く
≪ポイント≫
タオルを引く時に意識するのは背中の大きな筋肉「広背筋」。タオルを上下させることで広背筋を鍛え全身の筋肉量を増やす効果が期待できるそうです。まずは10回1セットからはじめてみましょう。
<(2)トレーニング下半身編「ひざ伸ばし運動」>
▼椅子に座り足先を組んでひざを10回曲げ伸ばす
▼左右の足を入れ替えて同様に10回曲げ伸ばす
≪ポイント≫
ひざを曲げ伸ばす時は、足首同士を押し付け合って負荷をかけるようにするのがポイント。人体の中で最も大きな大腿四頭筋を鍛えられる運動になります。大腿四頭筋は、太もも前面にある大きな筋肉。これを動かすことで下半身の筋肉量を増やせるそうです。慣れてきたらそれぞれ回数を増やしてみてください。
<有酸素運動と組み合わせて行うのがオススメ>
先生によると、ウォーキングなどの有酸素運動も脂肪肝の改善に重要。筋トレと有酸素運動は、お互いの効果を高め合うと言われているのだとか。そのため、上記で紹介した筋肉トレーニングと有酸素運動を組み合わせて行うとより効果的だそうです。
(2025年9月7日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)
番組紹介

ニッポンの皆様に健康生活を!この言葉をキーワードにすぐに役立つ健康情報をお伝えします。「人」「家族」の未来を創り出す、CBCテレビの健康情報番組。