「脂肪肝」半年で数値が劇的改善…専門医に学ぶ!脂肪肝改善“食事メソッド”
身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
ドクターは、佐久市立国保浅間総合病院 外科部長・救急医療部長
一般社団法人 日本NASH研究所代表理事 医学博士 尾形哲先生です。
今回のテーマは「〜たった半年で劇的に変わる!〜脂肪肝改善“食事メソッド”」
推定3000万人、成人の3人に1人が患う国民病「脂肪肝」。脂肪肝とは、肝臓の細胞に脂肪が多く溜まってしまった状態の事。全く症状のない病気ですが、放っておくと心筋梗塞や脳血管障害などのリスクが上がり、脂肪肝炎を発症した患者の1〜2割は5年〜10年で肝硬変になってしまうといわれているそうです。そこで今回は、脂肪肝を改善する食事メソッドを専門医に教えてもらいました。
肝臓の基礎知識
<脂肪肝ってどんな病気?>
脂肪肝は、主に食べ過ぎ・飲み過ぎが原因で起こる病気だそうです。しかし、近年はアルコールを飲まない非アルコール性脂肪性肝疾患の患者さんが増えているのだとか。その数はアルコールによる脂肪肝よりも多いそうです。
<肝臓の数値>
肝臓の数値の基準値は下記の通り。これらは、肝臓の細胞がどれくらい壊れているかを見る肝炎の指標だそうです。
・AST 30以下
・ALT 30以下
・γ-GTP 50以下
半年で数値が劇的改善!脂肪肝を治す食事法
<半年で数値が劇的改善!>
今年1月番組で人間ドックを受け、肝臓の数値が軒並み基準値を超えていた天野ひろゆきさん。エコー検査で原因を探ると判明したのは脂肪肝でした。その後、生活習慣の改善に取り組み半年ほど経過。体重は9〜10kg減少し、肝臓の数値も基準値へと改善しました(AST38→24、ALT78→28、γ-GTP69→41)。先生によると、この劇的改善の一番の要因は「食事」にあるとの事でした。
<食事の良い点(1)「夕食を軽くしている」>
先生が天野さんの食事内容を見て、まず評価したのが「夕食を軽くしている」ところ。夕食は摂ったエネルギーが消費されにくく、脂肪として蓄積されやすいのだとか。そのため、脂肪肝の予防という意味では夕食を軽くする事がとても大事だそうです。
<食事の良い点(2)「糖質の多い食事が少ない」>
天野さんの食事でさらに良かった点は、炭水化物など糖質を多く含む食品の量が少ない事。先生によると、脂肪肝の最大原因は糖質過多。特に米・パン・麺には注意が必要なのだとか。肝臓に蓄積する脂肪は、揚げ物などの食事から摂取する脂肪よりも、エネルギーとして使われなかった糖質から変換して作られた脂肪の方が多いそうです。
<食事の良い点(3)「間食を変えた」>
お酒は飲まないもののサラミなどのつまみが大好きでよく食べていたという天野さん。それらの間食を全て塩分の少ない乾燥昆布に変えたといいます。先生によると、昆布はアミノ酸などのうま味の効果で、少量で満足感が得られるため間食にも良いそうです。
<余った糖を筋肉に蓄えさせる事が大事!>
筋肉は「第二の肝臓」と言われていて、糖を蓄える場所は筋肉と肝臓しかないそうです。脂肪肝の人は、肝臓に糖が多く溜まっているため、余った糖を筋肉に蓄えさせる事が重要なのだとか。筋肉が落ちてしまうと同じ物を食べても蓄える場所がなく、脂肪肝が治りにくくなったり、リバウンドしやすい身体になったりするそうです。そこで先生のおすすめは「20gのたんぱく質を毎食摂る」事。食材で言うと、鮭の切り身なら1切れ。鶏むね肉なら100g、サラダチキンだと1つくらい、豆腐なら1丁、ツナ缶も約20gのたんぱく質が摂れると言われているそうです。また、朝食を抜いたり甘い物だけにしたりすると、昼の血糖値が上がりやすくなるため、たんぱく質を含んだ朝食を意識的に摂るようにしましょう。
<先生おすすめ!脂肪肝改善につながる「スクワット」>
脂肪肝の改善には、食事だけでなく運動も大事だそうです。天野さんも、家の近所を歩いたり、自転車で買い物に出かけたりなど、身体を動かす事を意識しているそうですが、先生のおすすめは、スクワット。スクワットはお尻・太もも・背中など、身体の中でも大きな筋肉を鍛えられる効率の良い筋トレなのだとか。やり方は、お尻をゆっくり下げていき戻します。この時、イスの背もたれや机につかまってもOK。1日10回2セット行う事で脂肪肝の改善が期待できるそうです(※無理のない範囲で行なってください)。
肝臓の脂肪をゴシゴシ落とす!脂肪肝専門スマート外来
<スマート外来について>
スマート外来とは、先生たちが設立した肥満・脂肪肝の専門外来。スマート外来では、まず日頃どんな食品をどれくらいの頻度で食べているかBDHQ(簡易型自記式食事歴法質問票)という食習慣についての質問票に記入。その後体組成検査と血液検査を行い、全ての患者情報が揃ったら医師の診察を行うのだとか。診察では、一番の問題点は何かを突き止め、患者さん1人1人の目標を決定するそうです。
<スマート外来の基本メソッド「タスキの法則」>
非アルコール性脂肪炎(NASH)の場合、改善する目安は体重の7%減量だそうです。7%を減らすためにスマート外来で基本としているメソッドが「タスキの法則」。タスキの法則とは、“短期間(タ)”で経過を“数値化(ス)”して“記録(キ)”する事。あるデータでは、1年間かけて6kg減らすより、3か月間で6kg減らして維持する方が血糖値を下げるホルモン「インスリン」の効きが良くなり、血糖値を一定に保つ「耐糖能」が改善。肝炎も良くなるという結果があるのだとか。また、体重を日々グラフに書き込んで記録し、何が良かったのか何が悪かったのかを1日に1回1分で良いので考えるよう指導しているそうです。
<スマート外来の指導ポイント>
(1)飲み物は「水」「お茶」「ブラックコーヒー」にする
先生によると、一番肝臓に障害を与えるのは飲み物だそうです。脂肪肝改善のために避けるべきは、ジュースやスポーツドリンク、乳酸菌飲料などの甘い飲み物。例えば500mLのスポーツドリンクには砂糖換算で約30gの糖分が入っているのだとか(※商品によって異なります)。そのため、飲み物は水・お茶・ブラックコーヒーにしましょう。
(2)糖質は半分にする
米・パン・麺など糖質が多い食べ物は今食べている量の半分にしましょう。ただし、糖質は身体に必要な栄養素でもあるのでゼロにするのはNGだそうです。
(3)食物繊維は2倍にする
野菜・きのこ・海藻など食物繊維が豊富な食べ物は、これまでの2倍摂取しましょう。食物繊維は、脂肪肝の要因となる血糖値の上昇を抑える効果が期待できるそうです。
<脂肪肝の改善につながる2つの食材>
患者さんたちに成果をもたらした食事メニューの中から、先生が特におすすめする食材が「キャベツ」と「豆腐」。キャベツは、低カロリーで食物繊維も豊富。抗酸化作用のあるビタミンCが豊富に含まれているのだとか。一方、豆腐は植物性のたんぱく質が豊富で低脂肪。さらに、ホルモンバランスを整えるイソフラボンも含まれているそうです。
<脂肪肝の改善に!キャベツと豆腐を使った「キャベツナチャンプル」>
≪分量(2人前)≫
・キャベツ1/4個・木綿豆腐1/2丁・ツナ缶1缶・卵2個・ニラ1/2束
・しめじ1/2袋・サラダ油小さじ1・和風顆粒だし小さじ1・麺つゆ大さじ2
・塩コショウ小さじ1/2
≪作り方≫
▼ニラを食べやすい大きさに切り ニラの芯をフライパンで炒める
▼細めにざく切りしたキャベツを入れる
▼残りのニラとしめじを入れる
▼塩コショウ・顆粒だしで味付けをする
▼豆腐をつぶしながら入れる
▼ツナと卵を入れ炒める
▼麺つゆを入れ 味を整えたら完成
<まずは飲み物を変える事から始めましょう>
先生によると、脂肪肝は病院に行かなくても自宅で食事だけで改善できる病気との事。まずは、今飲んでいる飲み物をお茶か水だけに変えて、1日1500〜2000mL飲む事から始めてみると良いそうです。
(2024年7月21日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)