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子育て経験をキャリアに生かす。16年の内勤から法人営業へ

子育て経験をキャリアに生かす。16年の内勤から法人営業へ
CBCテレビ me:tone編集部

あいち銀行の本店営業部で法人渉外係として働く小澤苑子さんは、日々企業を訪問し、融資の提案や経営者との対話を重ねています。

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華々しく見えるキャリアですが、今の姿は入行当初にはまったく思い描いていなかったといいます。入行後の約16年間は、預金係を中心とした内勤業務を担当。結婚・出産を経て、子育て期には時短勤務を利用しながら働き続けました。新しいことにチャレンジしたいと思っていた矢先、転機が訪れたといいます。

令和7年度名古屋市子育て支援企業の優秀賞を受賞したあいち銀行。小澤さんの話から、子育ての経験が、どのようにキャリアにつながっていったのか、そのヒントを探ります。

身近な「隣の女性」が持つリアルな本音を伝え、「今」を生きる女性たちを応援したい——そんな思いからCBCテレビが立ち上げたのが「me:tone編集部」です。

使っていいのかな……。時短勤務制度を使う葛藤

CBCテレビ me:tone編集部

小澤さんが愛知銀行(現あいち銀行)に入行したのは2004年。以来、預金係を中心とした内勤業務を担当してきました。

2009年に第1子を出産し、育休を経て2010年に職場へ復帰しました。当時は時短勤務制度がなかったためフルタイムでの復帰でしたが、復帰からわずか1カ月後、職場に時短勤務制度が導入されることになりました。

小澤さん:「制度導入の通達を見て、申し込みたいと思いました。でも、本当に使っていいのかな?という迷いもあって、悩みました」

今のように時短勤務が一般的ではなかった時代。
制度ができたからといって、すぐに申請できるような雰囲気ではなかったといいます。

そんな小澤さんの背中を押したのは、職場の上司の言葉でした。支店長から「使ったらいい」と声をかけてもらえたことで、ようやく制度を利用する気持ちになれたといいます。こうして復帰2カ月目から、9:00〜16:00の6時間勤務が実現しました。

導入初期には数名だった取得者が、今では180名ほどとなり、気兼ねなく取得できる雰囲気になっています。

完璧を手放す。気持ちの持ち方で、毎日が少し楽になる

CBCテレビ me:tone編集部

時短勤務で働きながら第2子を出産し、育休後は2人の子どもを育てながら仕事をする日々が続きました。

me:tone編集部:「子育てで大変だったことは?」

小澤さん:「何をしていたか覚えていないぐらい、大変でした。子どもが1人のときは、家事も育児も仕事も、ちゃんとやらなきゃって思っていたんです。でも2人になったら、もうとても全部は無理で」

時短勤務は早く帰れるのがメリットですが、限られた時間で仕事をこなさなくてはなりません。仕事を終えて帰宅すれば、今度は怒涛の家事と育児が待っています。

小澤さん:「子どもたち2人をお風呂に入れながら、自分は洗面台で頭を洗うこともありました」

いつも自分のことは後回し。そんな日々の積み重ねで体調を崩した経験から、それ以降は「健康第一」と肝に銘じ、完璧を目指すことをやめたといいます。
「洗濯物は洗ってあればOK。部屋が多少散らかっていても、家族が元気なら十分」。そう思えるようになっていきました。

小澤さん:「ライフスタイルをこう変えた、というよりも、気持ちの持ち方を変えた感じです。一番大変な時期に『毎日楽しんで』と言われても、それは難しい。せめて無理せず、息を抜きながら乗り切っていくのが一番かなって」

当時はただ必死だったと振り返りますが、忍耐力や調整力、予期せぬことに対して柔軟に対応する力を育ててくれた時間でもあったと小澤さんはいいます。

内勤から、外回りの営業へ、異例の挑戦

CBCテレビ me:tone編集部

小澤さんは子どもたちの成長に合わせて少しずつ勤務時間を延長し、自宅から近い店舗へ配属になったことをきっかけにフルタイム勤務へと戻りました。仕事内容は引き続き預金係。気づけば、内勤業務を担当して約16年が経っていました。

「何か新しいことにチャレンジしたい」という気持ちが湧いてきたタイミングで、上司から声がかかりました。渉外係への係替えの話です。

渉外係とは、企業を訪問して融資の提案などを行う、いわゆる外回りの営業職です。預金係とはまったく異なる仕事内容で、小澤さん自身「新しい仕事に転職した気分」と表現するほど、大きなキャリアチェンジでした。

最初は戸惑うことばかり。決算書の読み方が分からない、専門用語も分からない。会話に出てきた言葉をすべてメモして持ち帰り、社内で確認しながら少しずつ覚えていきました。

人事部 DE&I推進グループの池田今日子さんは、当時をこう振り返ります。

池田さん:「最近では性別に関わらず渉外係を経験するようになりましたが、小澤さんの年代で、長く内勤係をされてから渉外係になるのは珍しいケースでした。当時はまだ男性が多い職種でしたし、小澤さんは本当に大変だったろうと思います。 」

それでも小澤さんは、新しいことを覚えていく過程にやりがいを見出し、前向きに取り組んでいきました。

子育てで得た経験こそが、営業の現場で生きている

CBCテレビ me:tone編集部

渉外係になったとき、あるお客さんからかけてもらった言葉が今も心に残っているといいます。

「男の人と同じことをやろうとは思わない方がいい。自分の性質を生かしたやり方があるはず」

ある研修でも、同じような話を聞きました。

「生物学的に筋肉量の少ない女性が、男性と同じペースで動き続けようとすると体力が追いつかなくなる。頑張るだけではなく、女性としての働き方を考えなくてはいけない」

これらの言葉を受けて、小澤さんは自分らしいスタイルを模索し始めました。まず実践したのは、素直に聞くこと。

小澤さん:「分からないことは『初めてなので教えてください』と素直に聞くようにしています。お客さんに教えてもらいながら、上司や同僚にも聞いて勉強し、男性より細やかな対応ができていると思います」

小澤さんらしさは、コミュニケーションの取り方にも現れています。お客さんと子どもの話をしたり、雑談を交えたりしながら、独自の信頼関係を築いています。

小澤さん:「若い頃とは違って、初対面の方でも物怖じせずに話せますし、どんなことが起きてもわりと柔軟に対応できます。これって、子育てで身についたことだなって実感しているんです」

「子育てを経験したからこそ、仕事に活きる力がある」。小澤さんは今、そう確信しています。

自分らしい働き方で、次のステージへ

CBCテレビ me:tone編集部 あいち銀行提供写真:女性リーダー育成研修「Wing」の様子

社内にロールモデルが少ない中でキャリアを重ねてきた小澤さん。2025年12月から行内で始まった女性リーダー育成研修「Wing」の第一期メンバーとしても活動しています。

me:tone編集部:「今後の目標は?」

小澤さん:「子どもたちが成長した今だからこそ、さらに仕事に力を入れていきたい。子どもたちが巣立ったあとのキャリアも見据えながら、新しいことにも挑戦し続けたいです」

時短勤務での葛藤、16年の内勤を経て飛び込んだ未知の渉外業務。一つひとつの選択が、今の小澤さんをつくっています。

小澤さんの歩みは、本人の努力だけではなく、周囲の支えもありました。「時短制度を使ってみたら?」と声をかけてくれた上司、挑戦を後押しする職場の空気も、その背景にあります。

後編では、あいち銀行が進める復職支援や、ダイバーシティ推進委員会「あいちーむ」、女性リーダー育成研修「Wing」など、誰もが働きやすい職場づくりへの取り組みを紹介します。

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