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働く女性の“生理・更年期・メンタル不調”とキャリア問題――企業が向き合うべき「ヘルスリテラシー」とは

働く女性の“生理・更年期・メンタル不調”とキャリア問題――企業が向き合うべき「ヘルスリテラシー」とは
CBCテレビ me:tone編集部

ロールモデルではなく、身近な「隣の女性」が持つリアルな本音を取材・発信することで、「今」を生きる女性たちを応援したい――。 そんな思いから、CBCテレビは「me:tone編集部」を立ち上げました。   

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女性の健康推進プロジェクトについてセミナー画像は【こちら】

今回は、2025年10月24日にCBC本社で開催された健康セミナー『女性のライフステージと健康課題について』を取材。講師は、大塚製薬で「女性の健康推進プロジェクト」を担当する管理栄養士の牛房麻衣(ごぼう まい)さんです。

CBCテレビ me:tone編集部

(取材・報告;me:tone編集部/CBC論説室・特別解説委員 後藤)

女性の「不調」がキャリアを止めてしまう前に

「体の不調で、仕事を辞めようかと思ったことがある」 そんな声を、周囲で聞いたことはありませんか。

月経随伴症状や更年期症状など、女性特有の不調は、本人の努力や気合いでどうにかなるものではありません。(月経随伴症状の代表的なものとして月経困難症とPMSがあります。)
それでも「我慢して頑張る」ことが美徳とされてきた社会の中で、多くの女性がキャリアを諦めてきたのが現実です。

今回のセミナーでは、同プロジェクトを担当する管理栄養士の牛房麻衣(ごぼうまい)さんが登壇し、女性の健康と社会課題の関係について、働く女性のリアルなデータとともに語りました。

CBCテレビ me:tone編集部

日本の女性管理職は13%台。“活躍推進”はまだ道半ば

女性の社会進出が進んだといわれる一方で、現状は依然として厳しいものです。
総務省「労働力調査」(2021年)によると、日本の女性管理職の割合は13%台。政府が掲げた「2020年までに30%」という目標には届かず、アメリカ(41%)、イギリス(37%)、フランス(34%)、ドイツ(29%)と比べても、かなり低い水準にとどまっています。

牛房さん:「女性がキャリアを積み、活躍し続けるためには“健康”が前提条件です。しかし、その健康を支えるための知識がまだ十分に浸透していません。」

その根底にあるのが、「ヘルスリテラシー(健康リテラシー)」への認識不足です。

昇進辞退40%・退職検討51% “体の不調”がキャリアを左右

CBCテレビ me:tone編集部
CBCテレビ me:tone編集部

大塚製薬「女性の健康推進プロジェクト」が2021年に実施した調査では、

● 月経や更年期の症状が理由で昇進を辞退、または辞退を悩んだ女性:40%
● 更年期症状が理由で退職、または退職を検討した女性:51%

と、約半数が「体調不良」によってキャリア形成に影響を受けていることが分かりました。
また、女性ホルモンについて「知識がある」と答えた人は30%にとどまり、実に70%が 「知識がない」と答えた人と回答しています。

牛房さんも「女性でさえ自分の体の変化を理解できていない状況では、 男性が理解するのはもっと難しい。 だからこそ、職場全体で支え合う環境づくりが必要なんです」と話します。

「ヘルスリテラシー」は社会人の“基礎力”

CBCテレビ me:tone編集部

牛房さんが繰り返し強調したのが「ヘルスリテラシー」。これは健康に関する正しい知識を身につけ、日々の行動に活かす力を指します。

牛房さん:「ヘルスリテラシーは、性別を問わず社会人として必要な基本スキルです。特に管理職やリーダー層は、部下やチームの体調にも目を配る意識が求められます。」

女性の体は、一生を通じて「エストロゲン」というホルモンの影響を受けています。更年期には卵巣の機能が低下し、エストロゲンの分泌が急激に減少していきます。症状の種類や強さは個人差がありますが、のぼせ・肩こり・手指の痛みなどさまざまな不調が現れます。

CBCテレビ me:tone編集部

また、約9割の女性が「月経前症候群(PMS)」を経験するとされ、イライラや気分の落ち込み、不安感がある、怒りっぽいといった精神症状、下腹部や乳房の張り・痛み、頭痛、手足のむくみといった身体症状が代表的ですが、いろいろな不調が複合的に発生する上、個人差も大きくその種類は200種ほどもあるといわれています。

症状が重い場合は、仕事や学業に支障をきたす「月経困難症」に発展するケースもあり、その背景には「子宮内膜症」や「子宮筋腫」などの疾患が隠れている可能性もあります。
「放置せず、早めに婦人科を受診し、正しい診断と治療を受けることが大切です」と牛房さんは呼びかけます。

CBCテレビ me:tone編集部
CBCテレビ me:tone編集部

知ること、話すことから社会は変わる

牛房さん:「女性だけが我慢する職場では、誰も幸せになれません。男性も含めて“体のことを知る”ことが、真の働きやすさにつながります」

経済産業省の試算(※)によると、月経随伴症状や更年期症状による欠勤・生産性低下に伴う経済損失は年間1兆円以上にのぼるといわれています。

(※ 経済産業省「女性特有の健康課題による経済損失の試算と健康経営の必要性について」2024年)

CBCテレビ me:tone編集部
CBCテレビ me:tone編集部

女性が安心して働き続けるために必要なのは、まず「知識を共有すること」です。
日々のセルフケア、そして“かかりつけの婦人科”を持つことから、未来の自分を守る第一歩です。
後編では、毎日の生活の中でできる『セルフケア』について紹介いたします。

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