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立浪ドラゴンズ2年目の逆襲へ態勢整う・・・ただし、けがだけは御用心を!

立浪ドラゴンズ2年目の逆襲へ態勢整う・・・ただし、けがだけは御用心を!
「サンデードラゴンズ」より田中幹也選手(C)CBCテレビ

竜の大逆襲なるか?就任2年目の立浪和義監督が率いる中日ドラゴンズが、オープン戦を終えた。屈辱の最下位からここまで、大幅な選手の入れ替えや新戦力の補強など、「改革」を越える「革命」の序章がいよいよ幕を開ける。

オープン戦11年ぶりの勝ち越し

11年ぶりの“貯金”となった。2023年オープン戦、ドラゴンズは16試合を戦い、7勝6敗3分けという成績。本拠地バンテリンドームで千葉ロッテマリーンズを相手に3連勝、通算で勝ち越した。マリーンズには昨季の交流戦で3連敗を喫し、その後、最下位に低迷するきっかけとなった相手だけに3タテは嬉しいが、それ以上に「11年ぶりの勝ち越し」に意味がある。

前回の勝ち越しは、落合博満監督が率いて球団初の連覇を成し遂げた翌年のこと。その2012年シーズンは2位でクライマックスシリーズにも出場した。しかしそれ以来、ドラゴンズは、12球団で「クライマックスシリーズから最も遠ざかっている」球団になってしまっている。ファンの期待も自ずと高まる。

見えた!開幕スタメンの顔ぶれ

「サンデードラゴンズ」より岡林勇希選手(C)CBCテレビ

シーズンオフに大幅な選手の入れ替えを敢行した立浪ドラゴンズ。2023年の新たな開幕オーダーも見えた。オープン戦の最終戦、野手については3月26日のスタメンが、その顔ぶれになるだろう。

「1番センター岡林、2番レフト大島、3番サード高橋周平、4番ライト・アキーノ、5番ファースト・ビシエド、6番キャッチャー木下、7番セカンド福永、8番ショート龍空」。

何かハプニングがない限り、東京ドームでの開幕戦、スコアボードにはこの名前が並ぶはずだ。1年前の開幕戦を思い出すと、半数の選手が入れ替わっている。チーム改革は着実に進んでいる。

負傷者続出の誤算

「サンデードラゴンズ」より田中幹也選手(C)CBCテレビ

しかし、誤算もあった。それは不測のけがによってもたらされた。沖縄での春季キャンプは天候にも恵まれて、前半は順調に進んでいた。しかし、サイドスローに転向して心機一転をめざしていた岡田俊哉投手が右大腿骨骨折の重傷、その後も、藤嶋健人投手が右太腿裏肉離れ、キャンプで最も目立っていたひとり、3年目の福島章太投手が右脇腹を痛めるなど、リリーフ陣が離脱した。

「開幕の2塁はルーキーが守っているかもしれない」と立浪監督が大きな期待を寄せていた3人、村松開人選手、田中幹也選手、そして福永裕基選手は1軍キャンプを完走して、レベルの高い競争を続けてきたが、村松選手が右ひざの不調を訴え、そして、オープン戦に入って、田中選手が右肩を脱臼してしまった。

石川昂弥そして田中幹也

「サンデードラゴンズ」より石川昂弥選手(C)CBCテレビ

田中選手は、2023年の立浪ドラゴンズにとって“最大の売り物”だった。守備の堅実さ、シュアな打撃、何よりプレーのスピード感、オープン戦の前半は一時、首位打者を走っていた。

ドラフト6位での指名、立浪監督にとっては、自らの目利きによって獲得した選手だけに「開幕は2番セカンド」と見通しを語っていた。その表情は本当に嬉しそうだった。逆襲の旗頭と目していたに違いない。

“シン・ドラゴンズ”の幕は、田中選手が開けるはずだった。それだけに、田中選手の離脱は指揮官にとっても本当に残念だろう。思い出すのは、2022年シーズン、開幕から順調に活躍していた石川昂弥選手のけがによる離脱である。間違いなく、石川選手を軸に新たなチーム作りが進んでいたはず。これも最も大きな誤算だった。それに続いての田中選手のけが。全力プレーでのけがはやむなしとは言え、残念である。しっかりと治して、スピードプレーを見せてほしい。

ドラフト7位からの大躍進

そんな中から、飛び出したのは、キャンプで1軍にいた3人のルーキー内野手の最後のひとり、福永選手である。ドラフト7位での指名、12球団で最後の69番目に名前を呼ばれた選手である。

社会人からの入団で26歳、背番号は指名順より1つ数字が少ない「68」と大きいが、チームでの存在感も日に日に大きくなっている。低迷するチームを変えるのは、若い力である。最下位のシーズンにも、岡林勇希選手や(土田)龍空選手らの萌芽があった。そこになかった新たな芽、福永選手の元気な活躍に期待したい。

さらなる「投手王国」へ

投手陣は順調な仕上がりと見る。トレードによって新たに加わった、涌井秀章投手と砂田毅樹投手は、それぞれ先発そして中継ぎとして、開幕から頼もしい戦力になるだろう。涌井投手が加わる先発陣、砂田投手が加わる中継ぎ陣も、充実度を増すと思うが、本当の意味での“底上げ”は、2022年シーズンで活躍した投手が、それなりの成績を残した上でのこととなる。

最優秀中継ぎのジャリエル・ロドリゲス投手、最多セーブのライデル・マルティネス投手、このキューバ出身の2人がしっかり機能してこその「投手王国」であることは忘れてはならない。幸い、萌芽のひとり、清水達也投手がクローザーを任せても大丈夫なほどの成長を見せているだけに、ますます他球団を圧倒する投手力に期待したい。

WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の余熱が残る日本列島で、ファンをワクワクさせる竜の戦いに期待する。と同時に、どうかこれ以上の負傷が、シーズン中もチームを襲いませんように。心からの祈りと共に、刻一刻と迫るペナントレースの開幕を楽しみに待っている。                          

【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。

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