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敵地でこそ熱い応援を!関東ドラゴンズファンが集う「関東燃えドラ会」の反骨心あふれる心意気

敵地でこそ熱い応援を!関東ドラゴンズファンが集う「関東燃えドラ会」の反骨心あふれる心意気
「東京ドームでの集合写真」提供:関東燃えドラ会

久しぶりに敵地、東京ドームのレフトスタンドに竜党が集結。ナゴヤよりもアップテンポな「♪燃えよドラゴンズ」が帰ってくる。長きにわたって、関東地方のドラゴンズファンの敵地スタンドは、地元ナゴヤ以上に、とにかくアップテンポだ。

実況アナウンサーとして東京ドームのラジオブースで放送中も、ドラゴンズがビハインドな時ほどハイテンポで応援するレフトスタンドからの応援が、ビンビン届いてくる。勇気をもらえる。

いったどんな人達が?

そんな疑問が今回の取材のきっかけとなり、応援サークルのひとつ「関東燃えドラ会」の方々に話を聞くことができた。

「関東燃えドラ会」代表・時川さん

「応援の仕方はいろいろなので、大きな声を出した方ほど熱いドラゴンズファン、ということでは決してありません。でもボクらは、ココで、ココから、ドラゴンズ熱を伝えたいんです!」

ココとは、東京ドームレフトスタンドの「F04」ゾーンを指す。あえて彼らは、ビジター応援ブロックではなく、その隣のエリア、つまり、ホームであるジャイアンツファン・ゾーンとの境界線であり、両チームファンにとって暗黙の中立地帯にあたる座席を購入すると言うのだ。

それはなぜだろうか?

「とことん、敵地感を味わいたいんです。目の前にオレンジ色のグッズが揺れていると、より燃えるじゃないですか。もちろんマナー良く、決してトラブルを起こすわけではありません。ただ、あえて、ココで応援をして、新たなドラファン仲間を増やしたいんです」

「関東燃えドラ会」について

そもそも、関東燃えドラ会は、その中立地帯で生まれた。観戦時にたまたまお隣になり、得点シーンで応援バットを重ねたファン同士、自然発生的に生まれた応援サークルだ。ルールはシンプルに2つだけ。

・会費は無し、お揃いのタオル作成費用は割り勘
・選手個人へのネガティブ発言を言葉にしないこと

今や会員数は150人を超える。月に1回バンテリンドーム ナゴヤへの遠征、そして名古屋支部のメンバーとの合流もお楽しみ。基本は関東にある敵地スタンドの中立地帯を中心に、毎試合、誰かしらとスタンドで居合わせるという自由なスタイルだ。

とはいえ、敵地球場の観戦チケットを手に入れるというのは、コロナ禍以前から至難のワザのはず。中心メンバーの一人で、都内の一流メーカーに勤務する斉藤さんが、とんでもないカードの束を見せてくれた。

思わず驚きの声を上げる。

「これ、にっくきライバルチームのファンクラブ会員証じゃないですか!」

「各球団のファンクラブ会員証」提供:関東燃えドラ会

なんと、チケット購入優先権を得るためだけに数球団のファンクラブに入会しているというのだ。さらに、交流戦で2年にたった1度のビジター座席を確保するために、マリーンズなどパ・リーグ球団の会員にも。極めつけは「クラブジャイアンツ」にまでに入会。決して魂を売ったわけではなく友好的に。

「これは関東のドラファンにとって定番のお務めですよ」

恐れ入った。
ここまでしてくれる関東ドラゴンズファンの思い、ドラゴンズの選手にこそ届いてほしい。

そしてよくよく見ると、クラブジャイアンツのカードの色が、オレンジ色ではなくグレーであるあたり、讀賣球団の皆さんもこういったことを考慮しているのだろうか。

キーワードは「反骨心」

そこまでして応援する関東ドラファンのきっかけやエネルギー源とは、何なのか。

時川代表は語る。

「僕は、子供の頃、兵庫芦屋へ帰省中、おばあちゃんが買ってくれたパジャマが、ドラゴンズのユニホーム。そんな頃、たまたまテレビで観た、自分と同じブルーのユニホーム姿の谷沢健一さんのヒットメーカーぶりに、惚れちゃったんです。それからずっと」

中心メンバーのひとり篠田さん。

「埼玉の父親にとっては、ON(王さんと長嶋さん)ファンが当たり前。でもボクは、TVキャスターを務め、爽やかだった星野仙一さんが、監督に就任し、ユニホーム姿で、突如、反骨心を全面に。男として、痺れました」

前述の斉藤さんは。

「世田谷区の小学校に通っていた頃、友達が誘ってくれた神宮球場のチケットが、レフト自由席。昭和57年の野武士軍団、かっこよかった。レフトスタンドから出会ったドラゴンズが、その年の秋に優勝。ずっとクラスでいじられていた僕も、一気にヒーローになれたんです。あの頃の星野仙一さん、のちの川上憲伸さんらが、ジャイアンツに立ち向かう姿。その出で立ちと反骨心こそがドラゴンズ、ですよね。だから、東京ドームのビジタースタンドが大好き」

最後に、関東燃えドラ会メンバーが、口を揃えて、これからのドラゴンズを語ってくれた。

「東京ドームで、この当たりがレフトスタンドに入っちゃうの、という“ドームラン”でもいい。そんな名物シーンをココで、観たい。周平選手のホームランボールをスタンドでキャッチしたい。京田選手は、もっとチームのために泥臭く。彼が大好きだからこそ、ビジターファンは手厳しいんですよ。俊足高松選手の走塁は、レフトスタンドからのアングルが、彼のトップスピードを最も目の当たりにできますよ」

熱い。本当にドラゴンズに対する熱い思いが伝わってきた。これがあの応援に繋がっているのかと、ここまでの話を聞いて納得した。まだまだペナントレースは半分ちょっと。そしてその半分は敵地での戦い。彼らの反骨心あふれる心意気が、選手たちの大いなる力となることを願って。燃えよ、ドラゴンズ!

【CBCアナウンサー 宮部和裕 CBCラジオ「ドラ魂キング」水曜、テレビ・ラジオのスポーツ実況担当。生粋の元少年ドラゴンズ会員。早大アナ研仕込の体当たりで、6度目の優勝ビール掛け中継を願う。「月刊ドラゴンズ」も連載中】

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