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竜待望の“全国区スーパースター”根尾昂選手が開けるドラゴンズ明日への扉

竜待望の“全国区スーパースター”根尾昂選手が開けるドラゴンズ明日への扉

与田剛監督のガッツポーズを見ながら“あのシーン”を思い出したドラゴンズファンも多いのではないだろうか。“あのシーン”、与田監督と同じようにドラゴンズを率いることになったばかりの星野仙一新監督が、5球団競合の1位指名の抽選で、高校屈指の左腕・近藤真一投手を引き当てた1986年(昭和61年)11月のドラフト会議である。

星野、与田そして根尾へ

ドラフト会議は新人選手を獲得する場であると共に、チームやファンに勢いをつける場でもあると考える。
32年前、そのシーズン5位に低迷したドラゴンズは、新監督の星野さんがドラフト会場で得意気にガッツポーズをした瞬間から明らかに勢いがついた。その星野さんが後年のドラフト会議で単独指名した剛球王・与田さんが23年ぶりにドラゴンズに新監督として復帰し、いきなりドラフト最注目の根尾昂選手を引き当てたことに“縁”を感じる。
この「縁」という言葉を、実は根尾選手も口にした。指名直後の興奮さめやらぬ中での記者会見。小学生時代、ドラゴンズ球団の公式ジュニアチーム「ドラゴンズジュニア」でプレーしていたことについて質問された時である。
「何か縁があると思います。この御縁をしっかり大切にしてドラゴンズの一員として勝利に貢献してゆきたい」
星野さんが急逝した年に誕生した与田新監督、そしてその与田さんが引き当てた根尾選手。ドラゴンズブルーの「縁」が結ばれていたことを目の当たりにした思いである。

ドラゴンズブルーとの強き「縁」

岐阜県飛騨市出身の根尾選手は小学6年生の2012年(平成24年)に「ドラゴンズジュニア」のユニホームを着た。この年のドラゴンズは落合博満監督からバトンを受けた高木守道監督の1年目シーズン、2位でクライマックスシリーズに進出し日本シリーズまであと1勝と迫る成績だった。
しかし、根尾選手が中学生になった翌2013年から長き低迷が始まる。今年まで6年連続のBクラス。球団史上で最も長いワースト記録が続いている。
会見で根尾選手はドラゴンズの印象について尋ねられ「強い印象がある」と答えた。
多くのドラゴンズファンはこの6年間の低迷に怒り、失望し、それでも希望を捨てていない。根尾少年が野球に夢中になり始めた小学生時代は、落合監督が指揮を取った黄金期と重なる。そして根尾選手は来季7年ぶりに「ドラゴンズ」のユニホームに袖を通すことになった。ここにも「縁」がある。そしてそれは「希望の縁」でもある。

新たなスーパースター誕生に沸く

2018年ドラフトで根尾選手は間違いなく最も注目された選手だった。
一時は過去最多に並ぶ7球団の指名が競合するのではと見られるほどだった。史上初2度目の甲子園春夏連覇を果たした大阪桐蔭高校、その中核選手として投げて打って大活躍した根尾選手。その姿を全国の人たちが鮮明に記憶している。高校野球では「全国区のスーパースター」である。
ドラゴンズには2018年シーズン、“平成の怪物”松坂大輔というスーパースターが加わった。“松坂効果”もあって低迷していたナゴヤドームの観客数も2010年以来久しぶりに1試合平均3万1000人を突破した。しかし、ピーク時に比べて1試合平均8000人、年間で40万人、それぞれ劣っている。平成最後のドラフト会議で、ドラゴンズに加わることになった新時代のスーパースターが、その「縁」をフルに発揮してくれてナゴヤドームを沸き立たせることにも期待したい。
自分の言葉をしっかり持っている根尾選手は「超一流の選手になりたい」と語った。「一流」でなく「超一流」。志も高い。

ドラフト会議が終わった夜、ドラゴンズファンである後輩から短いメールが届いた。
「Neoドラゴンズの始まりですね!バンザイ」
そう「根尾」は「Neo」、ギリシア語で「新しい」。そして「昂」という8角の漢字には「あがる」「日がのぼる」という意味もある。
根尾昂選手が、与田新監督の下で生まれ変わろうとしているドラゴンズ、その“昇竜”の象徴になってくれることを多くのドラゴンズファンが期待している。

【東西南北論説風(66) by CBCテレビ論説室長・北辻利寿】

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