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うまい味噌カツはうどん屋にあり!~大竹敏之のシン・名古屋めし

うまい味噌カツはうどん屋にあり!~大竹敏之のシン・名古屋めし
CBCテレビ:画像『デララバ』

外食・中食・内食と広く食べられている味噌カツ

名古屋めしの中で最も広く浸透しているのが味噌カツ。洋食店、喫茶店、居酒屋、お弁当のおかず、サンドイッチの具、さらにチューブ入り味噌ダレを使って家庭でも。外食、中食、内食と食べられるシーンは多岐にわたります。中でも、実は地元の人がよく味噌カツを食べている場がうどん店です。うどん店は丼や定食を出す店も多く、そこに味噌カツが含まれることも多いのです。

うどん店で味噌カツが人気なのは、もちろんおいしいから。その理由はズバリ、味噌がいいからです。名古屋のうどん店はどこも味噌煮込みうどん用に良質の豆味噌を使用していて、これを味噌カツ用のタレにも流用できます。さらにうどん用のダシ、酒やみりんなどを使って、味噌ダレに上品なうまみ、甘みを加えることもできるのです。

さらに、うどん店とお客との関係性にも理由がある、との声も。「古くからのうどん店は常連のお客さんが多いので、材料が高くなったからといって安いものに替えたらすぐに“味が落ちた”とお叱りを受けるんです。とんかつチェーンなどは利益率などを優先して原価を落とさないといけない場合もあるでしょうし、それで味が変わっても現場の人に責任はない。名古屋のうどん店の多くは店主が店に立っているので、安易に味を落とせないんですよ」(名古屋市東区「森田屋」の4代目・玉津亮さん)

味噌カツがうまい!老舗うどん店三選

三河屋
「日本一大きいみそかつ」としてUA-JAPAN RECORDSに認定されている。ごはんとキャベツ、味噌ダレはお替わり自由

「森田屋」は明治半ば創業の名古屋屈指の老舗うどん店。味噌カツは昭和40年代から出しているといいます。味噌ダレには味噌煮込みうどんにも使う4種の味噌のうち一種を使用。酒、みりん、砂糖でうまみや甘みを加えます。カツはあっさりしつつ甘みがある信州の銘柄豚をオランダ産ラードで揚げ、食べ応えは十分。味噌、肉、油がどれも良質で、互いを引き立て合うのです。

「1960(昭和35)年の創業間もない頃から味噌カツを出しています。味噌カツに使う味噌は味噌煮込みうどんと同じもの。カツ用の豚の端肉を煮込んでダシを取り、砂糖、みりんとともに加えてバランスを整えます」とは「三河屋」(名古屋市瑞穂区)の2代目・森公三朗さん。名物は1kgほどもある特製みそかつ。分厚くてボリューム満点ですが、淡泊な三元豚を植物性油で揚げるため、さっぱりして思いの外食べ進めやすいのが魅力です。

葉栗屋 味噌かつセット1950円。キャベツは「普通」盛りで高さ25㎝。「気持ち控え」「半分」「ほんの少し」など量は10段階から選べる

「味噌煮込みうどん用の赤味噌をうどんのつゆのダシで割って煮詰めます。味噌ダレに使うのはすべて和食用の材料なので、くどいようでいて後味はあっさりしているんです」とは1927(昭和2)年創業の「葉栗屋」(名古屋市中川区)3代目の沢井正護さん。味噌ダレは味噌の風味が濃厚ですが決してしつこくはなく、粘度がややゆるめのため衣に十分にしみ込みます。味わいは濃厚でありつつ食べ口は上品。トンカツは肉のスジを丁寧に除き、脂身がほとんどない豚肉を使っていて、味噌ダレとの相性も抜群です。キャベツマウンテンと呼ばれる超山盛りキャベツで有名ですが、味噌カツそのものがきちんとおいしいのです。

味噌カツは「洋食」、それとも「和食」・・・?

さて、ここでひとつ質問です。味噌カツは「洋食」?、それとも「和食」・・・? 皆さんはどちらだと思いますか?

今回取材した3軒にこの質問をぶつけると、いずれも「和食です!」との見解でした。「トンカツ自体がほぼ和食ですよね」(森田屋・玉津さん)、「これはもう日本の文化ですから。箸で食べるという点でも和食です」(三河屋・森さん)「父母の代の頃は、味噌カツは『洋食』のカテゴリーの一品でした。でも、味噌を使いますし、私は和食と思っています」(葉栗屋・沢井さん)。

『日本外食全史』(阿古真理著)によると、明治初期にフランス料理のコートレットがカツレツとなり(※筆者注 この定説については近年は異論があり)、昭和初期にはカレー、コロッケと並び「三大洋食」のひとつに挙げられるように。しかし、その後主に専門店が箸で食べるスタイルをあみ出し、(昭和の早い段階で)「箸で食べさせる店が主流になった時点で、とんかつは和食になったのだと言えるかもしれない」とあります。これに加えて味噌カツは、日本の伝統調味料である味噌を使うのですから、和食と考える方が、違和感がないともいえます。

そして、うどん店はいうまでもなく和食の大衆向け業態。味噌をはじめとする和の調味料の扱いに長け、常連に向けて食べ飽きない味づくりを大切にしています。こうしたうどん店の立ち位置や姿勢から、名古屋人に親しまれている「和食」である味噌カツがおいしいのは当然ともいえます。

今回紹介した店以外にも、おいしい味噌カツを食べられるうどん店はたくさんあるはず。まずは味噌煮込みうどんがおいしい店を見つけ、そこのメニューに味噌カツがあったら、一度注文してみてはいかがでしょうか。

※記事内容は配信時点の情報です

#名古屋めしデララバ

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