加藤愛アナが三重・津市の『やじろ』を調査! 賞味期限わずか3分!? 焼きたてが命の愛されおやつ
その町以外ではあまり知られていないけど…地元の人はみんな知っている! その町で生まれ、根づく愛されフード。加藤愛アナウンサーが全力で調査します。今回は、『三重・津市』の『やじろ』です。
「丸くないみたらし団子?」独特な食感と贅沢なタレ
聞き込みによると、『やじろ』は“みたらし団子の仲間”ですが、形は定規のように四角くて、つぶつぶ感のある餅だとか。地元の餅店の看板商品で、みたらし団子とセットで買うのが定番とのこと。おじゃましたのは『玉吉餅店(たまきちもちてん)』。1864年創業の幕末から続く餅店で、つきたての餅に赤飯、餅菓子など30種類ほどが並びます。
看板商品の『やじろ』が登場すると、「丸くないみたらし団子みたい」と加藤アナ。その定規のような四角い餅をいただくと、「ビヨーンと伸びるんですけど歯切れがよくて、甘辛いタレもとってもおいしいです。これは新感覚かもしれない」と味わいます。
『やじろ』はもち米を使った餅のため、伸びがありますが、もち米だけだと粘りが強すぎるため、うるち米を混ぜることで五平餅のようなつぶつぶ感と歯切れの良さが加わり、独特な食感が生まれるのです。こだわりはタレにもあって、トロミをつけるのに奈良県吉野の本くずを使用。時間が経つとトロミがなくなってしまう本くずは不向きですが、この店では早めに食べていただけることを前提として、高級な材料を贅沢に使っています。
お客さんの声をカタチに! 地元の味を復活させ守る店主
『やじろ』という名前の謎を現店主の9代目に聞くと、同じ製法の餅を“たがね”と呼ぶ地域もあるそうで、餅とご飯の配合の釣り合いが取れているから“やじろべえ”から“やじろ”になったという説もあるとか。さらに『やじろ』の不思議は、時間の経過ですぐに硬くなること。10分ほど経ったものを加藤アナが食べてみると、かみ切るにはちょっと大変なくらいの歯応えが出てきます。作りたては柔軟性がありますが、3時間ほどするとカチカチになってしまうのです。
もともと『やじろ』は、保存食として古くから親しまれた家庭のおやつ。地元の古刹“津観音”の境内にあった茶店でも提供されていましたが、30年以上前に閉店してしまいました。すると、お客さんから「やじろが食べたいけど作れない?」と言われて、現店主が作り始めます。しかし、食べられないくらい硬くなる…という失敗を経験して断念。それでも他のお客さんからも要望が多く、元々、デンプンなどの研究者であった9代目は日々実験を繰り返して、製造途中で硬くならない方法を見つけて復活させたのです。それ以来、20年以上に渡り、地元の人たちの思い出の味を守っています。「あるお客さんに“賞味期限3分だね”と。“でもそれがいい”と言われた」とか。店主の励みになると共に、このように皆さんが焼きたてのおいしさを知って、焼き上がりを待って買い求めてくれるそうです。
今年6月からは、これまたお客さんとの会話で生まれた、甘くない『ゆず醤油味やじろ』の販売も開始。地元の人たちの声を大切にして、愛され続けているおやつでした。
(CBCテレビ「チャント!」9月26日(木)放送より)