遺骨を担いで恐山へ。松原タニシ、自著『冥途探訪記 死の旅』を語る
7月14日放送のCBCラジオ『北野誠のズバリ』では、事故物件住みます芸人の松原タニシが、7月21日(火)に発売となる自著『冥途探訪記 死の旅』(二見文庫)を紹介しました。心霊スポットが次第に怖くなくなっていった、活動の変遷がにじむ一冊です。
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『冥途探訪記 死の旅』は、2021年に刊行した著書『死る旅』を改題して文庫化したもの。5月には『異界探訪記 恐い旅』の文庫本も出たばかりです。
文庫化にあたっては加筆修正をしました。改めて読むと、怖かったことが次第に怖くなくなり、心霊スポットにも入れなくなり、テーマが土地の歴史や死者の集まる場所へと移り変わっていったのがよくわかる一冊です。
『冥途探訪記 死の旅』は、2018年から2021年にかけての個人的な旅の記録を収録しています。
色あせる恐怖
前作『恐い旅』は、2016年から2018年の記録です。事故物件に住みはじめて3年ほど経ち、この番組に出演するようになり、心霊スポットにもチャレンジしようと書いた本でした。『死る旅』はその続きにあたります。
続編ではあるものの、本の前半は「心霊スポットに行っても恐くない」というところから始まります。熱海の廃墟をはじめ、どこを訪れても恐怖を感じないのです。
例えば八幡の藪知らず(やわたのやぶしらず)。かつては迷い込むと二度と出てこられないといわれ、水戸黄門が行方不明になったとも伝わっていました。しかし街になっていくにつれて、今では「どうやって迷子になんねん」と思うほど小さくなっています。
松原「こどもの頃は怖いなと思っていたところも、行ってみるとそうでもないなっていうのがだんだんわかってくると」
音の正体を知る
山に登ると、パキパキという音や悲鳴のような声が聞こえます。幽霊よりも、野生動物のほうが怖い存在なのだと、わかるようになってきました。
北野も、心霊スポットは経験を積んだからといって役立つものではないと語ります。
例えば竹やぶで竹がパキッと割れる音も、その正体が竹の成長によるものだと知ってしまえば、恐怖は薄れます。
北野「最初、わからんかったらめっちゃ怖いですから」
松原「そういうのもだんだんわかってきます。ただこれ、行かないとわからないですからね」
恐さは世界共通
日本で行く心霊スポットが少なくなってきたと感じた松原は、タイに足を運びます。
日本で感じることがないファンタジーな怖さを期待して現地の人に尋ねたものの、爆発事故が起きた現場や、橋から飛び降りた人がいる場所だったりと、日本とあまり変わりませんでした。
松原「世界共通のものなんやなっていうのがわかったりしていく」
本の後半になるにつれて、土地の歴史や神社、古事記や日本書紀にまつわる神話の地を訪れるようになっていきます。
さらに離島にも足を延ばしました。東海地域では篠島を訪れ、見ると目が潰れてしまうといわれる神様の祭りを見に行っています。
出雲にある黄泉比良坂(よもつひらさか)は、神話に登場するあの世とこの世の境目の場所です。ここには、亡き人へ手紙を送れる「天国へのポスト」があります。
松原はこうした場所や、沖縄の戦争跡地なども巡っていきました。
全てを失うと言われた年
この本のクライマックスといえるのが、天津神社の「さっちゃん」の話です。
病気で苦しむ方が悪霊に取り憑かれてしまい、その人をさっちゃんのもとへ連れて行ったときのこと。松原は、エクソシストさながらの光景を目の前で見たのです。
2021年刊行の単行本ではこの辺りの話で終わっていましたが、文庫化にあたり松原が2本の書き下ろしを加えました。1本目が「余命五年の旅」です。
松原はかつて、顔だけが黒く写った写真を見た怪談和尚の三木大雲住職から、「5年後に全てを失いますよ」と告げられていました。
『死る旅』を書いた2021年は、ちょうどその5年後。何かあるのではないかと言われる中、この年の年末には生前葬イベントも開きました。
そこに至るまでに神社やお寺を巡り、お遍路も2か所だけ訪れ、即身仏を見るなど、さまざまな体験を書き留めています。
遺骨と旅した記録
もう1本の書き下ろしが「遺骨の旅」です。
エロ本まみれの寝室で孤独死した父親の遺品整理を手伝った縁で、松原はその娘さんから、母と離婚後、ひとりぼっちだった父を全国の旅に連れて行ってほしいと頼まれたのです。
関東は全収骨で、焼いた後の骨をひとつの骨壺にすべて納めます。松原はその全体重を背負って、恐山を訪れたり、CBCラジオに連れてきたりしました。
そんな旅の記録が、『冥途探訪記 死の旅』には綴られています。松原は「よろしければ。全国書店で発売されるので、お買い上げいただければ」と呼びかけました。
(minto)
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