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他人ごとではない老老介護問題。高齢社会に必要な手立てとは

他人ごとではない老老介護問題。高齢社会に必要な手立てとは

日本が高齢社会と言われて久しいですが、2024年10月1日時点での日本の高齢化率は29.3%で、65歳以上の人口は3,624万人です。1950年は5%未満だった高齢化率は1994年には14%を超え、今や30%に届く勢いとなっています。高齢化は日本だけでなく世界規模で進んでいる問題ですが、2020年時点では世界でも3番目に高齢化率の高い国なのです。11月18日放送のCBCラジオ『つボイノリオの聞けば聞くほど』では、つボイノリオと小高直子アナウンサーがリスナーからの意見も紹介しながら、決して他人事ではないこの問題に対して、我々がどう向き合っていくべきなのかを語ります。

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介護疲れの末に

トークのきっかけとなったのは、とあるニュースでした。

老老介護の末に、東京国立市の住宅で102歳の母親を殺害した罪に問われている71歳の女に対し、東京地検立川支部は懲役3年執行猶予5年の判決を言い渡しました。
「介護負担は決して軽いものではなかったと見るべきである、そして被告の対応能力を超えた問題であったと見るべき」として、12年にわたって被告がほぼひとりで介護してきたことを考慮した判決でした。

つボイ「このニュースは身近な問題なだけに、衝撃でしたね」

殺害にまで至ってしまった経緯としては、かなり強い孤立感や疲弊感があったと考えられています。

被告人質問では被告は「世の中に自分ひとりな気がして、助けてもらえる人が思いつかなかった。自分ひとりでどうにかしないといけないと思い詰めて、殺すしかないと思ってしまった」話しました。

つボイ「ひとりで悩むよりも国や地域のシステムを精一杯利用して、他人の手を借りてやったらいいのにと思うんですけどね」

思い詰めると視野が狭くなったり、正常な判断が難しくなります。そうなる前に行政側から支援の手が伸びるとよかったのに、何ともやりきれない事件でした。

若い人こそ向き合って

また事件の背景には、民生委員の高齢化やなり手不足も少なからず影響があったと考えられています。
現在の超高齢化社会で、当事者のみならず地域や社会がどう老老介護に向き合っていくべきなのか。問題はますます肥大化していくことが予想されます。

つボイ「これからさらに老人は増えていくし、介護する方もどんどん高齢になっていく。『そんなことあったんだ』では済まされない話ですよ」

小高「若い人たちもいずれ長生きすれば介護される側になっていくので、介護される環境をどう作るのかという問題でもありますよね」

誰しも老いて、いずれは生活に人の手を借りる日が来ます。そんな時にどんな社会になっているといいのかと考えると、若い人たちにとっても今から真剣に向き合っておくべきことなのではないでしょうか。

つボイ「その前に若い人たちが介護をする側にもなりますからね。それが終わったら今度は自分が介護される側になる」

いざ自分が介護をする立場になった時に公的支援がどれだけ充実しているかは、今の自分たちが作る社会にかかっているのです。

なぜ老老介護になるのか

「老老介護」とは、介護する側とされる側、そのどちらもが65歳以上である状態です。
高齢夫婦の一方が配偶者を介護するケースや、高齢の兄弟姉妹がお互いを介護し合うケース、今回のように65歳以上のこどもが80代以上の親を介護するケースなど形は様々ですが、いずれも深刻な社会問題となっています。

厚生労働省の最新の調査によると、高齢者がいる世帯数は全体のうち3割と過去最多となっており、老老介護の割合も過去最多を記録しているようです。

「やるせないニュースです。自分も高齢となれば、介護をする余裕自体失くなってきますよね。心も体もさらには経済的にも蝕まれてくれば、それこそ正常な判断は出来なくなります。私個人としては安楽死は法的に認めてもらいたい派で、こんな悲しい事件で大切な人の心を壊したくないです」(Aさん)

平均寿命が延びている一方で健康寿命はさして延びておらず、介護を要する期間が長期化しています。さらには核家族化で頼れる家族が身近にいないこと、経済的な理由で民間の施設やサービスを頼れない、施設入所の空きがないなど、老老介護の要因は非常に複雑で多岐にわたっているのが現状です。

ひとりで抱え込まないで

また、こんな投稿も寄せられました。

「私の父も肺疾患の持病があり独り暮らしをしていますが、もし父に何かあった時に私がどこまで身体的サポートができるのか、正直不安です。腰やひざを痛めても休む暇もない、そんな過酷な環境が目に浮かびます。

老老介護は本人たちの愛情や責任感で成り立つ部分も大きいですが、個人の努力や根性論だけで乗り越えられるものではないと強く思います」(Bさん)

小高「そうですね。今回執行猶予はつきましたが、どんな理由があっても殺人はやっぱりいけないという事で有罪という判決になりました。そうなってくると、こうして介護で孤立してしまっている人に対してどんなサポートができるのかという社会的支援や民間でできる支援なんかも、併せて考えていきたいですよね」

介護によって身体的・精神的疲労が蓄積し疲弊してしまう前に、必要なところにしかるべき支援の手が差し伸べられるような制度の充実が求められています。
(吉村)
 

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