地域によってお月見団子の形が違うのはなぜ?

10月6日は中秋の名月。空気が澄んで月が鮮やかに見える秋の中でも、特に美しい月のかかる日だと言われています。古くは秋の収穫を祝うとともに自然の恵みに感謝して、団子や収穫物などをお供えする風習がありました。実はお月見の主役でもある「お月見団子」は、地域によってかなり形に違いがあります。それは一体なぜなのでしょうか?10月5日放送のCBCラジオ『石塚元章 ニュースマン!!』では、CBC論説室の石塚元章特別解説委員と加藤愛が、気象協会の石田さんとこの疑問について語ります。
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リスナーからも秋を感じる投稿が寄せられています。
「10月6日は中秋の名月ですね。9月にあることが多いので、今年のように10月にあることは珍しい気がするのですが、少しでも空を見上げて虫の音と共に名月を楽しめたら嬉しいです。そして月餅も食べたいです」(Aさん)
「ようやく秋の気配ですね。先日カーブミラーに伸びたすすきがかかっていて、まるでお月見の風景でした」(Bさん)
石塚「気持ちが秋ということで、そう見えたんですね」
「幽霊の正体見たり枯れ尾花」ということわざもあるように、気持ちがそうなっていると、本来そこにあるべきものではないものがそのように見えてしまうものです。
「お月見泥棒」って?
石田「お月見というと用意するものがいろいろあるかと思うんですが、東海地方では『お月見泥棒』という風習があるのをご存じですか?こども達が近くのお家を尋ねてお菓子をもらいに行くという行事ですが、経験したことがありますか?」
「お月見泥棒」は日本各地の農村部など一部の地域で行なわれていますが、東海エリアでも名古屋市を中心に日進市などの尾張地方、三重県でも北勢地方に風習が残っているそうです。
この風習は、こども達が玄関先にお供えされたお月見団子や果物などを持ち去ることから変化した、とされたもの。昔はこどもたちは月の使者だとされており、中秋の名月にはお供え物を盗むことを許されていたそうです。
現代ではさながらハロウィンのように、こども達が「お月見泥棒です」と声をかけながら各家庭を回ってお菓子をもらうスタイルになっており、地域間のあたたかい交流にも繋がっています。
三重では「芋パクリ」
「お月見泥棒」を経験したリスナーから投稿が届きました。
「私の住んでいた三重県の北の方では、『芋パクリ』と呼ばれていました。しずく型のお団子や甘辛く煮た里芋、お菓子が置いてあって、自転車で回てもらっていました。とても楽しかったです」(Cさん)
加藤「幼少期の思い出って大人になってもずっと覚えていますよね」
石塚「今は近所づきあいとか昔に比べて疎遠になってるから、なかなか難しいのかもしれないけどね」
地域によって少しずつ形を変えながらも、似たような行事が根付いているのは面白いですね。こども達を見守る地域の目の必要性が説かれる現代だからこそ、こういった行事が盛り上がるといいのかもしれません。
三者三様の団子
Cさんのメッセージには「しずく型のお団子」とありましたが、実はこの形、地域によって異なります。
石田「お供えのお団子は丸いものが主流かと思うんですが、しずく型であったり白やピンク、茶色など色のついた団子を供えるという地域もあるようですね。みなさんはどんな種類のお団子を供えるんでしょうか?」
石塚「我が家はずっとしずく型のお団子でしたね。ちまきの皮を取ったような形」
名古屋市出身の石塚は、こどもの頃にお月見のイラストを見て、三方に乗った丸い形の団子を不思議に思っていたという。
加藤「うちは丸でしたね」
石田「わたしのところも丸でした」
岐阜出身の加藤と関東出身の石田さんは同じ丸型とか。リスナーからはこんな報告も。
「三重県に住んでいますが、お月見団子と言えば丸くて平たいものと、しずく型の2種類でした」(Cさん)
昔は里芋だった
なぜ地域や家庭によって、こんなにも形が違っているのでしょうか?
そのヒントはこんな投稿に隠されていました。
「しずく型は『芋名月』にちなんだ里芋の形らしいですよ」(Dさん)
実は中秋の名月のお供えには、もともと里芋が用いられていたとか。中秋の名月が別名「芋名月」と呼ばれるのも、豊作を願って秋の作物の代表である里芋をお供えしていたことに由来します。
団子が供えられるようになったのは江戸時代からですが、その名残で里芋を模したしずく型の団子が誕生したようです。
さらに関西方面では団子に餡を巻き付けたり、静岡県周辺では平たい形に形成して中央をへこませ、そのくぼみに餡を乗せるといったスタイルの月見団子もあります。
愛知県では名物のういろうを用いたものも作られており、里芋の色を模して白や茶色、ピンク色などのカラフルな色合いが特徴です。
「ところ変われば品変わる」という言葉の通り、地域によって色や形、味付けも様々なお月見団子。それぞれの思い出の形や好みの味で、綺麗な満月を楽しんでみませんか。
(吉村)
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