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変わり続ける教育現場。「部活廃止」から見えた新しい課題

変わり続ける教育現場。「部活廃止」から見えた新しい課題

働く人がそれぞれの事情に応じて、多様で柔軟な働き方を選択できるようにするための「働き方改革」が推進されて6年が経ちました。適切な労働時間や労働内容の見直しも大きく勧められましたが、教育現場においても大規模な変革が起こっています。4月26日放送のCBCラジオ『石塚元章 ニュースマン!!』では、部活動を取り巻く環境の変化についてCBC論説室の石塚元章特別解説委員が取り上げました。聞き手は加藤愛です。

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部活動の思い出

学校の部活動といえば、学生にとってはスポーツに親しむのに最もポピュラーなきっかけでしょう。

石塚「何やってましたか?」

加藤「ソフトテニス部でした」

仲のいい友人に誘われ入部したという加藤。部活動を通した交友関係の構築も、学生生活に欠かせない楽しみのうちのひとつです。

石塚「僕は陸上部に入ってましたけど、よくサボってましたね(笑)」

加藤「そんな思い出もありつつ(笑)」

もちろん楽しいだけではなく、時には大変なことや嫌なこともあります。運動系の部活動に限らず、文化系の部活動においてもそうです。
でも気が付けば不思議とそれらがいい思い出に変わっていることもあり、学生時代を彩る要素の内のひとつになるのが部活動でした。

求められすぎていた役割

石塚「でもご存じの通り学校の先生って、無償で部活動の顧問をしてこられていて。それが当たり前だっていう時代がずっと続いてきたんですけど、でもそれって働き方改革に反するんじゃないっていう流れになってきて」

2023年から始まった「部活動改革」により、学校の部活動を廃止していく代わりに民間のスポーツクラブを活用しようという動きが出てきているようです。

これまでの教師の負担は運動部となると特に顕著で、休日の部活動だけでなく試合や他校との練習などもあり、その引率や指導は教師としての本来の範疇を超えていました。
それらを民間の指導者に委託することで、少しずつそもそもの教師としての役割に従事することができるようになってきたようです。

石塚「あと少子化が進んで、団体競技で人数が足りなくなっちゃう部活も多いみたいで」

加藤「部活動を減らさざるを得なくなったりしますよね」

それによって部活動でやりたいスポーツができなかったり、満足に活動できなかったりといったデメリットを解消する側面もあるとか。

保護者側の悲鳴

ところが良い側面ばかりではありませんでした。とあるスポーツ財団が保護者に向けて行なったアンケート調査には、こんな結果が出ていたのだとか。

石塚「親にかかる金銭的負担を調査した結果です。学校の運動系の部活動でかかる費用は、1年間でだいたい5万円程度。一方で民間のスポーツクラブでは15万5,000円かかっているそうです」

加藤「そんなに違うんですか?」

約3倍となっていて、なかなか看過できない金額となっています。

石塚「それに送迎もしなくちゃいけない。学校の部活ならその必要がないんだけどね」

民間のスポーツクラブに通う場合、保護者がそこまで送迎する必要があります。仕事をしているとなかなかその時間が取れなかったりもしくは負担になったりで、そういった手間も保護者を圧迫しているようです。

敷居が上がる

石塚「それと民間のクラブってなると、やっぱり本当にやりたい子達が集まってるから。結構『勝つぞー!』みたいな雰囲気があったりしてね」

「気軽に楽しみたい」「遊びの延長で体を動かしたい」という子にとっては、そぐわない場になってしまうという懸念もあります。これはスポーツに限った話ではなく、例えば吹奏楽や美術を楽しみたい子たちにとっても同じことが言えます。

保護者側の負担をどう軽減していくか、そして子どもたちに等しく活動の機会を提供するにはどうしたらよいのか。そのあたりが今後の課題となってきそうです。

石塚「新しく見えた課題をクリアする方法を考えていかなくてはならない時代に入ってきているのかなと思います」

「部活動改革」はまだ始まったばかり、今後どう進んでいくのかに注目が集まります。
(吉村)
 

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