3月4日放送のＣＢＣラジオ『北野誠のズバリ』、この日のテーマは「涙を流した時」。余命宣告を乗り越えた感動の体験談や、面会制限で会えなかった大切な人との再会など、リスナーから寄せられた心揺さぶられるストーリーを次々と紹介しました。人生の厳しい場面でも希望を見出す、忘れられない瞬間の数々です。

あの夏の余命宣告

東京オリンピックの頃、Aさんは突然の余命宣告で入院治療をすることになり、その2週間後に控えていた娘さんの結婚式に出席できなかったそうです。

「娘と娘婿が私の主治医に何度も出席できるよう交渉してくれたんですが、当時はコロナ禍の真っ最中。おまけに私の病状もあり、出席は厳しそうでした」（Aさん）

Aさんは以前から冗談半分で「お前の結婚式には出ない」「花嫁の父親なんてやりたくない」と言っていましたが、本当に出席できなくなるとは思ってもみませんでした。

「結婚式が行なわれている時間、とにかく涙が流れて仕方ありませんでした。
あれから月日が経ち、私は病気を克服できました。生まれた孫は1歳。あの夏の余命宣告のことを、私も家族も忘れることが増えています」（Aさん）

15階の病室から見た感動

Bさんは今年の正月明けから、血液の病気で入院しているそうです。

「2月下旬にそれまでいた無菌室から、一般個室に移ることができました。それを浜松に住む妹夫婦に連絡したところ、小学生の甥っ子と姪っ子が私に会いたがっているのでお見舞いに行くというのです」（Bさん）

しかし、病院の規則で小中学生の面会は原則できないとのこと。妹夫婦に伝えると「仕方ない、規則だから。ふたりにはうまく話しておきます」と言われ、Bさんは面会を諦めていました。

ところが数日後、妹から突然電話が。

「『お兄ちゃん、今部屋にいる？部屋から下のコンビニの駐車場を見て』と言われ、15階にある私の病室から見ると、一生懸命手旗を振る甥っ子と姪っ子の姿が目に映りました」（Bさん）

予想外の出来事にBさんの涙腺は崩壊。

「一気に山田洋次監督の『幸せの黄色いハンカチ』の高倉健になり、心の中では音楽が流れていました。もう少し入院生活は続きますが、ふたりのおかげで元気が湧きました」（Bさん）

「余命2年」から15年

パーソナリティの北野誠は闘病中のBさんに、最初のAさんのエピソードと、そしてこれから読むCさんの話のエピソードを伝えたいと考えていました。

「15年前、腰椎分離症で3ヶ月入院した後、旦那も私も同じ病院の泌尿器科で前立腺の検査入院をしていました。
検査後の夕暮れ、旦那の主治医がベッドサイドに来て『ご主人は前立腺がんステージ4。余命は2年。骨盤に転移している』と告げられました」（Cさん）

Cさんはショックのあまり涙を流すどころか、病院内の電話ボックスまで車椅子で移動し、電話帳でなぜか葬儀社を調べていたそうです。

涙する夫への強がりの励まし

「何やってんだろう…そこでハタと思いつきました。お見舞いに来た旦那はショックで窓の外を見ていて無言でした」（Cさん）

退院して家に帰ったある日、ジオラマ部屋（ご主人の趣味部屋）の片隅で、布団にくるまり泣いているご主人を見て、Cさんは心で涙を流しながら何度もこう言ったそうです。

「何泣いてんの。人間は誰でも死ぬ。その時が来るまで生きられる」

自分が死んだあとのCさんが心配だと話すご主人を、Cさんは「私は看護師だからいくつになっても働ける」と励ましました。

しかし、Cさんは「この人は私より長生きする。病気とうまく付き合える」と何となく直感したといいます。

「余命ってなんやねん」

そして現在。

「余命2年と言われてから、15年経った今。元気でジオラマ、秘密基地、庭で野菜作り、燻製機、ウッドデッキ、かかしを作り遊んでいます。こどもに戻りました。
いま考えたら、ドクターの言う余命ってあってないようなものだと」（Cさん）

北野はBさんに呼びかけます。

北野「Bさん、見てください。余命の話を前後に挟みましたけど。余命ってなんやねんと思います。見てみいな。いつの間にかかかしまで作ってる（笑）」

北野「これから皆さん。病院で余命を言われても、すぐそんな落ち込まないようにしましょう」

医師から告げられた余命を超えて元気に暮らす人は案外多いものです。Cさんのご主人のように、自分の好きなことを楽しみながら前向きに過ごす姿勢が大切かもしれません。

もし余命宣告を受けることがあっても、これらのエピソードを思い出してみてください。
（minto）