使用済み核燃料の中間貯蔵施設が事業開始。いったい何が行われているの?
青森県むつ市で全国初として建設された使用済み核燃料の中間貯蔵施設が6日、正式に事業を開始しました。9月に金属製の容器に入れられた使用済み核燃料69体が運び込まれ、先月11日までに安全性などを確認する検査が行われていました。11月13日放送『CBCラジオ #プラス!』では、ジャーナリストの北辻利寿さんが使用済み核燃料や中間貯蔵施設について解説しました。聞き手は永岡歩アナウンサーと三浦優奈です。
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使用済み核燃料とは、原子力発電所で使い終えた後の燃料のこと。
もともとの原料はウラン鉱石で、原子炉の中で核反応を起こさせてエネルギーを作っていますが、実は使い終えたといいながらも97%ほど使える部分は残っているためにリサイクル可能です。
そのため、自前のエネルギーに乏しい日本にとって、実は使用済み核燃料は大切な資源なのです。
ただ、もう一度使うにはある程度の時間がかかり、いったん冷やさなければならないため、原子炉の建屋の中にあるプールで冷やします。
そして、核燃料リサイクルのために再処理工場に持っていくまでにいったん置いておく場所が中間貯蔵施設というわけです。
中間貯蔵施設が作られた理由
全国各地の原子力発電所から出る使用済み核燃料はそれぞれで保管しているのですが、保管できる容量に対してすでに8割ほどが埋まってきているため、処理の仕方に困っているという状況。
満杯になると原発を止めなければならず、安定的な電気の供給が難しくなり、私たちの暮らしや経済に大きな打撃を与えてしまうため、国が一括して貯めておく場所を用意しようと考えました。
そこで交付金を用意して、各都道府県に中間貯蔵施設を作って引き受けてくれる所がないか募集をかけたところ、手を挙げたのが青森県むつ市でした。
非常に危険な物質を扱う以上もちろんどこでも良いわけではなく、過去に地震がないか、地盤は大丈夫か、津波が起きても耐えられるのか、いろいろ調べてむつ市に決まりました。
どのようにして保管するの?
使用済み核燃料がどのようにして保管されるのでしょうか?
保管に使われるのは「キャスク」と呼ばれる容器で、これは長さ5.4m、直径2.5mの鋼鉄製の巨大な筒型の容器で、厚さは25cmの物。
10m近い高さから落としても、800℃の火の中でも耐えられるということが実験で証明されているという、かなり頑丈なものです。
その容器に入れられて各原子力発電所から青森県まで運んでいくわけです。
再処理工場ではウランとプルトニウムをもう一度取り出すのですが、この再処理工場は同じ青森県の六ヶ所村という所に建設する予定となっています。
本来、この工場は27年前に完成する予定だったのですが、雨漏りが見つかるトラブルが発生したり地元住民からの反対があって、延期が続いています。
今のままでは、むつ市に使用済み核燃料を運んできただけであって、何も変わらないということになってしまいます。
最後に北辻さんは「最後が見通せないのが一番の問題点ですね」と締めくくりました。
(岡本)