意外と難航!会計事務所のM&Aの課題とは?
少子高齢化などにより、後継者難が中小企業や小規模事業者の大きな経営課題の一つとなっており、元気なうちに資産の管理や次世代へのスムーズな承継を考えるための資産の終活を専門家に聞いてみました。10月9日放送の『北野誠のズバリ』「シサンのシュウカツ」では、関東の会計事務所の承継事例を北野誠と松岡亜矢子が、三井住友トラストグループ 株式会社経営承継支援・はじめ部長の藤原秀人さんに伺いました。
関連リンク
この記事をradiko(ラジコ)で聴くM&Aを選択した理由
今回藤原さんが紹介したのは、関東の会計事務所の承継事例です。
藤原「以前から代表の方は『65歳までに引退する』と考えていらっしゃったそうです。ただ事務所を運営するにあたって『簡単に引退するのは難しいな』と気付いたそう」
北野「会計事務所だから顧客がずっと長く続けてはりますから、逆に辞められると困るんじゃないですか?」
藤原「そのとおりで、顧問先さんが創業当時から苦楽を共にしてきて、取引先の中には『自分が死ぬまで面倒を見る』と決めていた顧問先や、職員の方も結構長く勤めていましたし」
北野は「チームになっているんだろうな」と予想。
そういった顧客のためにM&Aを選択したそうです。
専門外の人がM&Aに着手した結果
実はこの会計事務所、以前に会計ソフト会社を経由して2件、M&A仲介会社を挟まずにM&Aに着手したことがあったそうです。
藤原「うまく話が進まなかった」
北野「え!うまくいかなかった理由は何?」
藤原「会計ソフト会社のお客さんは会計事務所ですので、相手先の紹介まではできそうだったんですが、ソフト会社の担当者はM&Aの専門外。実際は相手探しも難航し、その後の手続きも進められなかった」
その後、売り手の税理士に相談したところ「M&Aの専門会社に依頼すべき」と助言をもらったとのことで、藤原さんの所属する団体に相談がきたそうです。
「そんな流れがあったんですか!」と驚く北野。
2年6ヶ月もかかった理由
今回は藤原さんがコンタクトしていた、スタッフが40名ほどの同じ関東エリアの税理士法人が買い手として挙手したそうです。
ただ、成約完了まで2年6ヶ月ほどかかったとのこと
北野「そんなにかかったんですか?」
藤原「主に3つの理由がありまして」
まずひとつ目の理由は、税理士特有の繁忙期で、スケジューリングが大変だったこと。
例えば、売り手の税理士が12月~翌年5月まで、確定申告業務、決算・税務申告業務のために交渉に時間がとれなかったそうです。
2つ目の理由は、売り手と買い手の利用している会計ソフトが異なり、システム統合や入れ替えにかかる相当なコストについて、買い手に対して説明が必要だったこと。
3つ目の理由は、回収不能な顧問先の整理や、バトンタッチしたくないような顧問先もあったからだそうです。
その後は滞ることなく進んだのでしょうか?
藤原「今回の買い手さんは非常に良い買い手さんで、安心して進めることができました」
契約後も売り手と買い手の従業員たちで一緒に集まり懇親会を催すなど、コミュニケーションもとれて、スムーズに引き継がれたようです。
藤原「私も現在、会計事務所の先生を訪問し日々情報交換しています」
「売り手・買い手」というだけの関係ではなく、「働く人たちが楽しくしているのは嬉しい」と締めくくる北野でした。
(野村)