その溝、隙間、大丈夫?身近に潜む意外な事故から高齢者を守るには?
9月16日(月・祝)の「敬老の日」に合わせて製品評価技術基盤機構(通称NITE)が、高齢者の身近に潜む危険について発信しています。NITEとは、工業製品などに関する技術上の評価を行うとともに、製品の品質に関する情報の収集、評価、整理及び提供などを行っている独立行政法人です。9月14日放送の『石塚元章ニュースマン!!』(CBCラジオ)では、CBC論説室の石塚元章特別解説委員が、NITEが発表した内容について詳しく解説しています。
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NITEが設立された目的は工業製品の品質の向上、安全性の確保及び取引の円滑化のための技術的な基盤の整備を図ることなど。
機械の危険な使用方法について実験したものや、実際に起きた身近な製品にまつわる事故を再現したものなどを動画にし、正しい使い方や意外な危険などについて発信しています。
今回は敬老の日に向け、普段の生活の中で発生しやすい高齢者の事故を、具体的なケースを示して注意喚起するとともに、気を付けるべきポイントや事故を未然に防ぐ方法などを提示しています。
高齢者を危険から守り、いつまでも元気で長生きしてもらうためには、どのようなことに気を付けたらよいのでしょうか?
生活の中の思わぬ落とし穴
キーワードは「溝」と「隙間」です。
NITEが提示した具体的なケースを、石塚が紹介しています。
まず1つ目のキーワード「溝」に関して挙げられた事例は、電動車いすで道路の側溝にはまる、踏切内の溝や砂利部で電動車いすのタイヤが脱輪して動かなくなる、などです。どちらも死亡につながる非常に危険な事故です。
電動車いすの使用にあたって事故を防ぐために気を付けるべきポイントとして、利用する道路環境を家族や介助者と一緒にあらかじめ確認し、危険個所には近づかないようにすること、そして乗車前点検や定期点検を行うことなどを挙げています。
次に2つ目のキーワード「隙間」に関しては、ベッドとフレームの間に隙間がある介護ベッドを使用していて、その隙間に首が挟まって亡くなった事例や、ポータブルトイレの使用時に背もたれとひじ掛けの間に腕が挟まって骨折した事例が挙げられました。
挟み込みによる事故を未然に防ぐためには、危険な隙間がないかどうかを使用者と一緒に確認したり、使用している製品が古い安全基準のものではないかを確認するといったことが大切なようです。
また上述した介護製品の中には、フレームやひじ掛けの隙間が適切ではなかったとして、リコールをしているものもあるそうです。
使用している製品がリコール対象かどうかも併せて確認することで、高齢者にとってより安全な環境を作ることができます。
まだまだある、こんな危険
また、NITEは「点火」についての危険性も同時に示唆しています。
調理中にガスコンロの奥にあるものを取ろうとして衣服に着火する、火が消えきっていないライターをポケットやカバンに入れて着火する、といったような点火にまつわる事故も発生しているようです。
高齢者にとってはガス火の青色が見えにくいこともあるため、近づきすぎないように環境を整えたり、ライターの使用後は火が完全に消えたことを確認する習慣をつけるなどの対策が必要です。
石塚「どんどん長寿で長生きするようになってきているけど、その分リスクを背負って生きているよね」
石塚は、事故が起こらないように注意深く意識を向けることの必要性を語っていました。
一般の人や若い人にとっては気にも留めないような事でも、高齢者にとっては命に係わる危険になり得ると知ることが、高齢者の事故を未然に防ぐ第一歩なのだそうです。
今回のNITEの発信は、高齢者の身近に潜む危険について考えるきっかけになりそうです。
敬老の日を契機に、利用者本人・家族・介助者など周囲の人たちも一緒になって、高齢者の性格環境に潜む危険について今一度確認してみてはいかがでしょうか。
(吉村)