何が問題?賛否が分かれるプロ野球の「保留制度」
9月7日、、人気野球ユーチューバー、トクサンこと徳田正憲さんとライパチこと大塚卓さんが、『若狭敬一のスポ音』(CBCラジオ)に出演しました。若狭敬一アナウンサーを交え、前回に続きプロ野球の「保留制度」について意見をぶつけます。
関連リンク
この記事をradiko(ラジコ)で聴く撤廃でファン離れの懸念
発端は7月23日、日本プロ野球選手会が、現行のプロ野球球団の「保留制度」について、公正取引委員会への申し立てを明らかにしたこと。
「保留制度」とは、球団が選手を保留名簿に載せると、その選手は他球団に移籍できない仕組みです。
この制度について、先週「選手の自由な移籍もいいけれども、それは結果的にプロ野球のファン離れに繋がるんじゃないかな。だからあってもいいんじゃないの?」と語ったトクサン。
「保留制度」がなくなると、資金力のある球団が優秀な選手を獲得できてチーム力の差が大きくなり、ファン離れが起きることを危惧します。
それに対して、「いやいや、変えるべきでしょう」と反論するライパチさんです。
MLBではどうしている?
ライパチ「実際JリーグやアメリカのMLBで成立している以上はNPBも変えたっていい。そもそもこれに限らず、日本の野球界は変わらなさすぎるんですよ」
保留制度によって選手が流れていくのは、エンターテインメントビジネスとしてやむを得ない、という辛辣な意見です。
MLBには「保留制度」がありませんが、極端なチーム力の差もありません。
その代わり、チーム力の均衡を図るために「競争力税」なるものあります。
通称「贅沢税」とも言われるこの制度、選手を際限なく獲得するのを防ぐために導入されているそうです。
贅沢税とは?
「競争力税」について詳しく触れると、球団が選手に費やす「目標年俸基準額」の上限を決め、それを上回った球団に対して課せられるペナルティです。
基準額を超えた球団に対しては、超過分の20%、2年連続で超えると30%。それ以降は50%課税されます。
目標年俸基準額を下回れば課税はリセットされます。
徴収された50%が目標年俸基準額を超えなかったチームへ分配され、残りは選手やスタッフなどへ分配されていきます。
ライパチ「実はやりたい放題できるわけではないんですよね」
ライパチの持論
日本のプロ野球には「本当は出て行きたいのにFA権も取れず、飼い殺し状態の選手はいないわけではないはず」と指摘するライパチさん。
別の球団でもう1回、勝負したいと思っている選手にとっては、「贅沢税」はいい制度だと主張しました。
ライパチ「現役ドラフトは、あくまでも球団から声がかかるんです。選手側から、出て行きたいんですって、いま言えないですもんね。そもそも出て行けないし」
「せっかく取ってもらったから球団に恩義はあるだろう」という意見が出てきそうですが、これに対しては…。
ライパチ「引退後まで球団は選手の人生を背負わないですもんね。選手のことを思うならドライに年俸で解決する。それが難しいなら、他でチャンスをあげる。シンプルなことだと思いますけどね」
話しやすい環境を
「保留制度」について、「あってもいいんじゃないの」という意見のトクサンでしたが、ライパチさんの意見を聞いた後にひと言付け加えました。
トクサン「球団側も、チームにとって価値を見出すのであるならば、それなりにしっかり大事に守ってあげて、選手に対して球団側から言いやすい環境を作ってあげればいいだけなのかなと思います」
ライパチ「そこの球団で骨を埋めようと覚悟を決めて入った選手たちも当然いるわけです。そういった意味では後ろ向きではなく、フラットに選手と球団が喋ればいいんじゃない?って感じますよね」
最終的に「保留制度」賛成派のトクサンと、反対派のライパチさんの意見が一致しました。問題はシンプルに選手と球団とのコミュニケーション不足。これができないのがいかにも日本的です。
(尾関)