離島の老舗旅館で奮闘する「なんでも屋」の名物若女将、七変化する素顔とおもてなしの心

離島の老舗旅館で奮闘する「なんでも屋」の名物若女将、七変化する素顔とおもてなしの心

三重県鳥羽市の離島・答志島(とうしじま)にある老舗旅館、伊勢湾で獲れた新鮮な魚料理が人気のお宿です。この旅館には、名物若女将がいます。チェーンソーで木をぶった切り、池の掃除もお手の物。SNSで情報発信しながら、自ら観光ガイドをし、なんと市場の競りにも若女将の姿がありました。七変化する意外な素顔とおもてなしの心に密着します。

昭和レトロな島で老舗旅館を営む若女将

CBCテレビ:画像 『チャント!』

鳥羽マリンターミナルから定期船で北東に約20分、2.5kmの沖合にある伊勢湾で一番大きな島・答志島。人口はおよそ2000人で、新鮮な海の幸、そして穏やかでどこか懐かしい昭和レトロな風景がSNS映えすると人気の島です。

答志島の名物若女将がいるのは、港のすぐ近くにある昭和33年創業の老舗旅館「寿々波(すずなみ)」。橋本千春さん(以下、千春さん)53歳は着物が似合う女性で、鳥羽市観光協会のホームページでもPRに一役買っています。

CBCテレビ:画像 『チャント!』

千春さんが若女将を務める「寿々波」は、全32部屋で収容人数は最大160名。全ての部屋そして最上階の大浴場ともに、オーシャンビューが楽しめる、答志島の中でも大きな老舗旅館です。

訪れるお客さんのお目当ては、
「料理!」「めっちゃ海鮮が美味しいって」「海の幸(の美味しさ)が全然違う」 と、島を囲む伊勢湾で獲れた新鮮な魚介類を主役にした豪華な夕食だと声を揃えます。

1人何役もこなすなんでも屋

CBCテレビ:画像 『チャント!』

若女将の朝は、4時半の起床から始まります。自宅で家族の世話をした後、旅館へ。朝食の配膳や片づけをして、チェックアウトのお客さんを見送った後、車に乗り込み向かった先は、港でした。
若女将がとても大切にしている仕事が、帰るお客さんを港でお見送りすることです。

千春さん「うち(寿々波)のお客様をお見送りするだけじゃなくて、この島に来ていただいた方をお見送りするっていう意味で」

CBCテレビ:画像 『チャント!』

見送りが終わるとすぐさま旅館に戻り、休むことなく客室の清掃に取り掛かります。時には若女将自らチェーンソーを手に庭の手入れや池の掃除など、なんでもやっています。
以前は20人以上いたスタッフもコロナの影響で数を減らし、平日は家族とスタッフ合わせ6人ほどで仕事をこなしています。そのため、若女将自身がなんでもやる「なんでも屋」になったという経緯がありました。

他にも、千春さんが若女将になって始めた着物でのお出迎えは、旅気分をより満喫できるようにという思いから。Instagramに写真を投稿してPRしたり、グリーンツーリズム・インストラクターの資格を取得して観光ガイドをしたりと、多くの顔を持っています。

答志島唯一の女性仲買人として奮闘

CBCテレビ:画像 『チャント!』

午後になると、カラフルなナイキのジャージにピンクのレインブーツ、サマンサタバサのキャップをかぶり、オシャレスポーツウェアに着替えます。愛車の軽トラに乗って向かった先は、答志漁港にある市場。ここでは答志島を囲む伊勢湾で獲れた魚の競りが行われています。

競りが始まると参加する千春さんの姿がありました。答志島でたった1人の女性仲買人です。最初の頃は、全然違う魚を選んでしまうとか、鯛を1枚でいいものを10枚ぐらい買ってしまうなど失敗もありました。経験を重ね、カラフルなジャージ姿をあえて目立つように着るなどの工夫をこらし、目当ての魚を競い落します。

CBCテレビ:画像 『チャント!』

千春さん「毎日プレッシャーとの戦いですね。やっぱりお客様においしいねって言っていただけるのが一番嬉しいですから。そのために頑張っています」

仕入れを終える午後3時。自宅に戻り、再び着物に着替えてお客さんを出迎えます。
取材日に宿泊したお客さんは、お孫さんと一緒に奈良から来たご家族。
調理場では、仕入れたばかりの新鮮な鰆(さわら)をお刺身にして、夕食に出しました。おいしいと嬉しそうに舌鼓を打つお客さんの顔を見て、千春さんも笑顔に。

千春さん「コロナですごく不安な気持ちにもなりましたけど、こちらでおいしい料理食べたいなと思っていただければ。若女将ですけど、なんでも屋ですね」

これからもおもてなしの心とともに、老舗旅館の若女将・千春さんの奮闘は続きます。 CBCテレビ「チャント!」4月29日の放送より。

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