幸せの形はひとつじゃない――結婚したい女としたくない女、テレビ業界女子の30歳のリアル
働く女性にとって、30歳が近づくと、仕事も恋も“分岐点”に差し掛かるもの。
テレビ業界で働く若手ディレクター2人が語った「恋愛」「結婚」「30歳の壁」には、現代女性のリアルが詰まっていました。
結婚に憧れを抱くA子と、結婚制度に必要性を感じないS子。価値観の異なる2人の会話から見えたのは、“幸せの形”がひとつではないというシンプルで大きな現実でした。
「すごく結婚したい VS 結婚に縛られたくない」──いまどき女性の“リアルな本音”
「隣の女性」のリアルな本音を伝え「今」を生きる女性たちを応援したい――。そんな思いから、CBCテレビは「me:tone編集部」を立ち上げました。
今回は、CBCテレビ入社6年目で夕方の情報番組の中でディレクターとして活躍するS子さんと、同じ番組を担当する7年目・28歳のディレクターA子さんに、同世代の斉藤初音アナウンサーがインタビュー。
“ディレクター”と“アナウンサー”という立場の違いはあっても、3人は同じ現場で切磋琢磨してきた仲間でもあります。同世代の女性が集まると、自然と恋愛や結婚の話で盛り上がります。

A子さん:「私はずっと昔から結婚願望があるんですよね。ずっと結婚したいって言っているのに、現実はまだ結婚できていなくて。」
学生の頃から「28歳には結婚しているはず」と思っていたため、今も独身でいることに自分でも驚いていると話します。
一方S子さんは…。
S子さん:「私はもともと結婚願望が全然なくて。A子さんとは普段からすごく仲が良くて、何でも話すけど、ここだけは全然話が合わないんです(笑)」
“結婚したい”という気持ちには共感できないものの、S子さんも「1人で生きていきたい」と思っているわけではないと言います。結婚という制度やルールに縛られるのを“少し重い”と感じてしまい、「結婚という枠にハマることより、“支え合える人”がいたらいいと思う」と語ります。
昔から結婚願望があるのが当たり前だと思っていたA子さんは、そんなS子さんの価値観を最初は“強がりなのでは?”と疑ったほど、理解できなかったといいます。結婚を夢見るA子さんと結婚制度に縛られたくないS子さん。2人は対照的な価値観を持っています。

29歳テレビ業界女子のリアルな本音
S子さんの価値観は何かきっかけがあったのでしょうか?
S子さん:「特に大きな出来事があったわけじゃないんです。仕事に没頭してたら、いつの間にかそういう思想になっていました」
周囲は30歳目前の“結婚ラッシュ”の真っ最中。友人たちの”結婚”という幸せの形も理解できるし尊重してはいるものの、自分の未来に置き換えると「結婚のイメージがまったく湧かない」と言います。「自分には結婚に対する積極的なモチベーションがないのだ」と気づいた瞬間だったそう。
結婚に前向きなA子さんは、結婚という目標に向けて何か行動を起こしていたのでしょうか?
A子さん:「まだロマンチストなところがあって、白馬の王子さまとその辺で出会えるんじゃないかって信じてるところがあるんですよね(笑)」
願望はあっても、仕事が忙しく恋愛・結婚はつい後回しに。「結婚したいはずなのに、何も行動していない自分に疑問を抱くことがある」と本音を明かします。
A子さん:「そう思って、若い時はギアをあげて頑張ったこともあったけど、うまくいかなかった」
マッチングアプリでは、相手をよく知らないまま出会いが繰り返され、街コンは積極的に話しかける必要があり、A子さんにはハードルが高かったそう。今は仕事の忙しさで体力的にも婚活する余裕がないと感じています。
A子さん:「でもそれは甘え。私と同じような状況でも出会って結婚してる人はいる」
そう言いつつも、「そんなに忙しい中、いつ出会っているの?」と素朴な疑問も抱えていると打ち明けました。

アラサー女性の結婚ラッシュ。友達の“幸せ”をどう受け止める?
30歳手前にして、学生時代の友人たちのInstagramには、子どもの投稿がずらり。2人も「結婚している同世代が一気に増えた」と感じています。
焦りはしないと言いつつも、「正直人の幸せが辛く感じることもある」と複雑な心境を打ち明けてくれました。
特にA子さんは、友達夫婦と3人で食事に行くことが増えたそうで…。
A子さん:「幸せそうな夫婦を目の前にすると『私は1人で何してるんだろう』って思うときがあります。人の幸せを願える人間でありたいと心から思っているのに。」
友人の幸せを願う一方で、自分が“嫌な人間になっていくような気がする”と感じることもあり、「これは嫉妬なのかな」とぽつり。
A子さん:「ある婚活特集で婚活アドバイザーが『29歳のラスト1か月に駆け込んでくる女性が多いけど遅すぎる!頭の良い女性は20代前半から相談所に来ます!』って言ってるのを見てショッキングでした。」
年齢によって出会える男性の数が大きく変わるという現実に衝撃を受けたA子さん。「28歳のうちは身近な出会いを全力で探して、29歳の誕生日までに彼氏ができなければ相談所へ行こうかな」と考えているそうです。

「30歳」という得体のしれない不安と向き合う
斉藤アナ:「年齢を重ねる中で感じることはありますか?」
S子さん:「最終的には実家のある地元の関東に戻りたい気持ちがぼんやりとあります。」
ただ、今の仕事も大好きで続けたい。拠点をどうするか、パートナーができた場合どう動くか――先が全く見えないと話します。
S子さん:「30歳を境に動く人が多いから、自分も27~30歳までに見通しをたてようと思っていたけど、28歳(現在)でも何もできていない」
30歳が近づくにつれて、“得体のしれない不安”がじわじわと押し寄せていると言います。
S子さん:「仕事が100だからプライベートが0は嫌。どっちも全力でやって、パンパンになったらその時考えようかな」
A子さん:「ほんとそう。どちらかを犠牲にする必要はないと思う。」
20代後半、多くの女性が「30」という数字に少し怯えますが、それは同時に“人生を見つめ直すチャンス”でもあると2人は言います。結婚に憧れるA子さんも、制度に縛られたくないS子さんも、根底にあるのは“自分の人生を自分で選びたい”という強い意志がありました。
【婚活カウンセラー佐藤香織さんのコメント】
結婚が当たり前ではなくなった今、女性の選択肢は大きく広がっています。その分、「どれが正解なんだろう」と迷う瞬間があって当然です。人と比べて焦る必要はありません。まずは「自分の気持ちと向き合うこと」から始めましょう。
結婚すると何かを諦めなければいけない――そんなイメージを持つ方もいますが、
実際の婚活現場では、キャリアも夢も大切にしながら、お互いを応援し合っているカップルがたくさんいます。
結婚は“どちらかが我慢するもの”ではなく、2人で形作るもの。そして「いつでも選べる自分」でいられるように備えることが、心の安心につながります。
不安になったら、一人で抱え込まず、相談できる場所を持ってくださいね。

【佐藤香織経歴】(写真左)
日本航空グランドスタッフとして4年勤務し、20代で結婚。
夫の海外赴任によって、2年間アメリカでの生活を経験。
駐在中に第一子を出産、帰国後に第二子を出産。
2014年 名古屋市・千種駅前で、「ブライダルサロンbouquet」を開業
カウンセラー歴11年
「ベスト仲人賞」受賞(県内唯一)、IBJ AWARD9期連続受賞、他計19回の表彰歴。
≪保有資格≫
JLCA認定婚活カウンセラ・スペシャリスト/上級心理カウンセラー/メンタル心理カウンセラー

番組紹介
働く女性のリアルな声を届けるWEBメディア『me:tone』。
名古屋を起点に、座談会や美容・キャリア・お金の話題まで、身近で共感できる情報を発信し、女性たちの「今」を応援します。
共感と気づきで毎日を前向きに。毎週不定期で更新。


