テレビ局ヘアメイクに求められる力とは?現役のプロが語る“採用ルート”と“必要なスキル”

華やかなテレビ業界の舞台裏で、出演者の魅力を最大限に引き出すヘアメイクは、多くの人が憧れる職業です。
しかし、「テレビ局のヘアメイクになるにはどうしたらいいの?」「特別なコネが必要なの?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
この原稿では、CBCテレビで活躍する現役ヘアメイクさん3名へのインタビューをもとに、これまでの歩みや、実際に現場でどんな仕事をしているのかを徹底取材!
入社に至るまでのリアルなキャリアパスと、メイク室での出演者さんとのエピソードをご紹介します。
【今回インタビューしたメンバーを紹介】
CBCテレビ「ゴゴスマ」「花咲かタイムズ」など、数々の番組やイベントのヘアメイクを手がけているヘアメイク会社「Do8」。今回インタビューしたメンバーは、韓国コスメやプチプラアイテムも使いこなす、感度の高いプロフェッショナルの3名です。
【メンバー紹介】
《E子》CBC歴:約18年
「化粧品屋さんになりたい」という幼少期の夢から憧れのテレビ業界のヘアメイクに。
現在はバラエティや情報番組のほか、地元アイドルのヘアメイクも担当。
《M子》CBC歴:約11年
美術科高校卒業後、進路を転換してヘアメイクの専門学校へ。
色々なテレビ番組のヘアメイクを経てタレントさんからの信頼も厚くご指名を頂くことも。
《N子》CBC歴:約11年
美容師として顧客を抱えながらテレビ業界でも活躍。
大物アーティストの地方コンサートで、ヘアメイクの指名を受けることもある実力派。
テレビ局ヘアメイクへの第一歩!“採用ルート”のリアルとは?

テレビ局のヘアメイクになりたいけど、どうやったらなれるのかわからない…。
そんなふうに思っている方も多いはず。
タレントさんやアナウンサーさんを担当するだけに、採用のハードルはかなり高そうな印象がありますが、実際のところはどうなのでしょうか?
今回は、CBCテレビで働く現役ヘアメイクさん3名に、テレビ局で働くことになったきっかけや、ヘアメイクという職業を意識し始めたタイミングについて、お話を伺いました。
me:tone編集部:どのような経緯でテレビ局のヘアメイクとして入社されたのですか?
『E子』
私の場合は、美容専門学校の先生が「テレビ局のヘアメイクの求人が出ているよ」と教えてくれたのがきっかけです。私はその求人に応募して入社しましたが、まわりを見るとヘアメイク仲間やテレビ業界関係の方からの紹介で入っている人が多い印象です。
『M子』
そうですね。テレビ局勤務となるとかなり限定されるので、タイミングもあると思います。
me:tone編集部:この業界では紹介が多いものの、求人のタイミングも重要なのですね。
では、そもそもヘアメイクという仕事を目指そうと思ったのは、いつ頃でしたか?
『E子』
私は幼稚園の卒業アルバムに「化粧品屋さんになりたい」と書いていたんですよ。小さいころから近所の薬局やスーパーのコスメ売り場で試供品を触るのが好きで。高校卒業後に進路を考えたとき、「やっぱりメイクがしたい!」と思って、メイクの専門学校に進学したことがきっかけです。
『N子』
私は高校生の頃から「将来は手に職を付けたい」と思っていて、美容師を目指すようになりました。自分の髪をいじるのが好きだったのも理由の一つです。
『M子』
私は、高校の美術科で絵を学んでいたことがきっかけです。ファッション雑誌やテレビ番組を見る中でヘアメイクの仕事を知り、「いつかこんな仕事がしたい!」と思うようになりました。
出演者の“素顔”に寄り添う、メイク室の舞台裏

タレントさんやアナウンサーさんのヘアメイクを担当するとなると、「失敗できないプレッシャーがありそう…」と感じる方も多いのではないでしょうか。
現役のテレビ局ヘアメイクさんたちは、初めて出演者のメイクを担当した時、どのような心境だったのでしょうか?さらに、印象に残っている舞台裏エピソードもお聞きしました。
me:tone編集部:出演者さんにメイクするのは緊張しませんか?ただでさえ出演者さんと接するのは緊張しそうだけどメイクさんはさらに近い距離で仕事をしなければいけないですよね。
『N子』
初めて古川アナウンサーのヘアを急遽担当することになって、もう緊張と集中で喉がカラカラで…。
正直何をやったかすら覚えてないくらいです。
『E子』
「このまま自分がセットしたヘアでテレビに出るんだ」って思うと緊張しました。
うまく話すことができなかったし、目も見られなかった…。
収録が終わった時は、無事に終わってよかったという気持ちが上回りましたね。
『M子』
最初はドキドキで本当に手が震えるというか…。
練習(ヘアメイクのリハーサル)というものがないので、いきなり本番。
だから本当に緊張しました。

テレビ局のヘアメイク室は、単に髪をセットしたりメイクを施したりするだけの場所ではありません。収録前の緊張感を感じたり、出演者との距離を少しずつ縮めていく大切な空間でもあります。
続いて、普段メイク中に出演者さんとどのような会話をしているのかを聞いてみました。
me:tone編集部:皆さん、いつもタレントさんと楽しくおしゃべりしてる印象があるのですが、メイク中にはどんな話をしているのですか?
『N子』
朝ドラの話とか、仕事や旅行、プライベートの話とかしています!
アナウンサーさんはいっぱい面白いことを知っているから、こちらがいつも教えてもらってます。
『M子』
「ここ行ったらいいよ」とか「あの番組見たら笑えるよ」とか教えてくれるので、メイク中は楽しいですね。
『E子』
たとえば、若狭(敬一)さんや石井(亮次)アナは、本番で話したいネタをメイク室で話してくださることもあるんです!本番前に、私たちのリアクションを見ている感じ。アナウンサーさんは本当に話術がすごいので、毎回大笑いしています。
me:tone編集部:メイクさんの反応を見て、ブラッシュアップされたトークが本番に生かされてるのかもしれないですね!では、専門家や政治家といったお堅いイメージのゲストには、どのような会話をしていますか?
『E子』
政治などの難しい話は私たちもできないので、事前にその方のSNSやテレビ出演をチェックして、共通の話題や趣味を探しておきます。
『M子』
まずは天気の話かも!(笑)「名古屋より東京は暑いですか?」とか、「名古屋メシはもう食べられましたか?」とか!
『N子』
山口真由さんのような知的な方ほど、こちらに話題を合わせてくださるんですよ。美容やグルメの話とか。医師の丸田(佳奈)先生は、私たちの身体の悩みを聞いてくれて…感謝です。

『M子』
政治ジャーナリストの角谷(浩一)さんとは、よく朝ドラの話をしています!
本番ではお堅い話をしているので、メイク室ではリラックスしてもらえたらいいなと思っていますね。
me:tone編集部:すごい…!メイクの技術だけでなく、コミュニケーション能力や空気を読む力も必要なんですね。プロの技が垣間見えた気がします…!
『E子』
逆に、台本を読んでいたり、勉強をされていたりするときは、なるべく話しかけずに作業することもありますね。
『M子』
出演者さんの体調が良くなさそうなときや疲れていそうなときは、こちらもテンションを抑えて黙々とメイクするようにしています。本当に「空気を読む力」もすごく大切だと感じますね。
me:tone編集部:こうした細やかな気配りが、信頼関係を築く上で欠かせないのですね!
華やかな舞台の裏で活躍するために。今からはじめたい準備とは?

華やかなテレビの舞台裏で、出演者との信頼関係を築き、ベストなパフォーマンスを引き出すのがヘアメイクさんの仕事。
今回のインタビューを通して、リアルな現場の空気やプロとしての姿勢が垣間見えたのではないでしょうか。
テレビ局でヘアメイクとして働く道は、決して簡単ではありません。
でも、幼い頃からの憧れや、常に学び続ける姿勢があれば、チャンスは必ずやってくるはず。
夢を叶えるためには、日々の経験の積み重ねや、基礎となるスキルの習得がとても重要。
いつチャンスが訪れてもいいように、準備をしておきましょう。
【テレビ局のヘアメイクになるためのキャリアパスはこちら】

■美容専門学校で美容師免許を取得
メイクだけでなく、ヘアセットの技術も重要。美容師免許の取得は必須です。
■複数の求人媒体をチェック
Web求人はもちろん、SNSも活用して「テレビ局 ヘアメイク」で検索。
募集先がテレビ局関連かどうかもしっかりチェック。
■人脈を広げる
テレビ局で働くヘアメイクさんのSNSを見てDMを送るなど、積極的に行動してチャンスを掴みにいく姿勢も大切です。
今回のインタビューが、テレビ局のヘアメイクを目指す皆さんの背中を押すきっかけになれば幸いです。