脂質異常症

2019年5月12日(日)放送 【第355回】
脂質異常症

サマリーSummary

ゲスト:髙田延彦
ゲンキスチューデント:小芝風花
ゲンキリサーチャー:なすなかにし
ドクター:山下静也
脂質異常症の人数は増加傾向にあり、潜在患者数も含めると、日本人のなんと4人に1人に相当します。自覚症状がないため放置している人が多いのが現実ですが、放っておくと心筋梗塞や脳梗塞などの命に関わる危険もあるのです。

脂質異常症って何?

脂質異常症とは、コレステロールや中性脂肪のバランスが乱れている状態の事。かつては、「高脂血症」という名前が使われていました。
脂質異常症の診断は、健康診断の検査項目にある3つの数値を指標とします。下記の診断基準のうち、どれか1つでも当てはまった場合は脂質異常症です。

<脂質異常症の診断基準(空腹時)>
・LDLコレステロール  140mg/dL以上
・中性脂肪       150mg/dL以上
・HDLコレステロール  40mg/dL未満

コレステロールって何?

・コレステロールとは
人間の身体は細胞から成り立っていますが、この細胞を包んでいる細胞膜の材料がコレステロールです。また、コレステロールは肝臓で作られており、身体の機能を保つホルモンや、食べ物の消化吸収を助ける胆汁の材料にもなっています。コレステロールは、血液に乗って全身に運ばれていきますが、運ぶ役目を担っているのが「LDL」と「HDL」です。

・LDLとは
LDLは、コレステロールを全身の細胞に供給しています。ただし、必要以上に細胞にコレステロールを供給してしまう事もあるため、「悪玉」とも呼ばれています。

・HDLとは
HDLは、余分に運ばれたコレステロールを回収するのが役目。この働きにより「善玉」と呼ばれています。

大病につながる脂質異常症

LDLとHDLがバランスよく働く事で、コレステロールは一定に保たれています。しかし、HDLの数値が低く、コレステロールを回収する働きが低下したり、LDLの数値が高くコレステロールを余分に運んだりしてしまうと、血管壁にどんどんコレステロールが沈着し、やがて「プラーク」と呼ばれるコブができてしまいます。プラークは、柔らかく、破れやすいのが特徴。破れると、そこに血小板が集まり、かさぶたのように血液を固めて傷を修復します。こうしたできた塊を「血栓」と言い、血液の流れを封鎖してしまいます。心臓の血管(冠動脈)に血栓が詰まると「心筋梗塞」。脳の血管に血栓が詰まると「脳梗塞」を引き起こします。

悪玉と善玉のバランスが崩れる要因

揚げ物などの脂質の多いものは、LDLコレステロールが増えやすくなってしまいます。ただし、脂といっても中トロなどに含まれる「不飽和脂肪酸」という良質な脂は、コレステロールに問題はありません。

<普段の食事で摂取する2つの脂>
・飽和脂肪酸
肉やバターなどの動物性脂肪に含まれる脂で、悪玉コレステロールを増やしてしまいます。

・不飽和脂肪酸
魚やナッツ類に含まれている不飽和脂肪酸は、良質な脂なので摂取しても問題はありません。(※過剰摂取は控えて下さい)

コレステロール別対策法

・LDLコレステロール(悪玉)が高い人
脂質やコレステロールの含有量が多い食材は控えましょう。例えば、イクラなどの魚卵はコレステール含有量が多いため、注意が必要です。卵(鶏卵)は、コレステロール以外に飽和脂肪酸も含まれているので、LDLコレステロールが高い人は、2日に1個の摂取を目安にしてください。

・HDLコレステロール(善玉)が低い人
総摂取カロリーや炭水化物の摂取量を減らす事が大切です。喫煙はHDLコレステロールを減少させるため、必ず禁煙をしましょう。また、有酸素運動には、HDLコレステロールを増やす働きがあります。

中性脂肪の値も要注意!

私たちは、中性脂肪を体内で燃やす事で、活動する際に必要なエネルギーを作っています。しかし、中性脂肪が必要以上に増えすぎてしまうと、LDLを「超悪玉」と呼ばれるものに変えてしまいます。この超悪玉の特徴は、血管壁に入り込みやすく、プラークができやすい事。徐々に成長したプラークがやがて血管を封鎖。その結果、心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクが上がってしまうのです。

<中性脂肪が高い人の対策法>
アルコールや糖質は、肝臓や筋肉・脂肪組織で中性脂肪に作り変えられてしまうため、中性脂肪が高い人は、アルコールと糖質を控える事が大切です。

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