井上竜はリーグ最下位で交流戦へ、勝てないなら変えるべき3つの戦術
まさかこんな成績で迎えることになるとは思わなかった。井上ドラゴンズにとって“正念場”のセ・パ交流戦がやって来た。ここまで46試合を戦って15勝30敗1分、借金は実に15。5位の広島東洋カープに4.5ゲーム差をつけられての最下位である(成績は2026年5月24日現在)。(敬称略)
交流戦は4年連続負け越し中
ドラゴンズにとって、交流戦のイメージは決して良くない。2005年(平成17年)に連覇をめざした落合ドラゴンズが交流戦で失速した記憶が、鮮明に残っていることもある。ここ数年では、立浪和義監督の3年間に続き、井上一樹監督の昨季も8勝10敗と負け越した。途中に5連勝して一時は同率とはいえ首位に立ったのだが、終わってみれば4年連続の交流戦負け越しという現実が待っていた。
「まさか」のゲームが続く

2026年(令和8年)ペナントレース。4点差のリードを守り切れずにサヨナラ負けをした開幕戦から始まって、高橋宏斗(※「高」は「はしごだか」)が先発し5点リードしながらも、1イニングに7点を入れられて逆転されたゲームもあった。板山祐太郎が劇的な逆転満塁ホームランを打ちながらも、リリーフ陣が打たれた試合もあった。
そして今なおショックが残っている、甲子園球場で7点リードを終盤に大逆転されるという信じられない敗戦もあった。勝てないのだから、戦い方を変えるしかない。交流戦はいい機会であり、ひとりの竜党の立場から3つの提言をしたい。
投手陣の大胆な再編
1つ目は、投手陣の再編成である。ゲーム後半に中継ぎ陣が打たれていることは、7イニング目の失点数が合計30点以上と際立っていることでも明らかだ。しかし、今いる顔ぶれで登板順を変えるだけでは、解決にはなっていない。先発組を含めて投手の担当を見直す時がすでに来ているのではないか。現在のドラゴンズに、セーフティーリードは存在しない。何せ7対0でリードしても勝てないのだから。鉄壁のリリーフ陣こそ、ドラゴンズ伝統の“生命線”である。
固定した打順と守備
2つ目は、日替わり打線と守備の見直しである。拙コラムでも度々書いてきたが、打順にはそれぞれ役割があり、守備は内野手と外野手を行き来して守れるほど容易なものではない。依然としてリーグ最多の失策数であるドラゴンズ。
OBで野球評論家の福留孝介さんが「守りを固めて1点も取られなければ、相手が焦ってミスをして1点を取ることができる」と話してくれたことを思い出す。それには、スタメンで出場する顔ぶれの打順と守備を落ち着かせることが重要だ。交流戦では指名打者(DH)制の試合もある。うまく活用してほしい。
新たな戦力の積極起用
3つ目は、打線に大きく関わることだが“起爆剤”となる新しい選手を起用してほしい。東京ヤクルトスワローズは6年間2軍監督を務めた池山隆寛監督が、自ら育ててきた若手を1軍で積極的に登用して快進撃を続けている。井上監督はどうか。ドラフトで獲得した捕手の石伊雄太以外は、ほとんどが立浪監督時代から受け継いだ顔ぶれである。同じように2軍監督を経験した井上監督自身の“秘蔵っ子”はいないのか。
かつてドラゴンズでは、水原茂監督が島谷金二を使い続けて、後の優勝時の三塁手に育て上げた。長嶋茂雄監督は阿部慎之助を我慢して起用し続けて、正捕手に育てた。今や讀賣ジャイアンツの監督である。この交流戦では“竜の新顔”を見たい。できれば、辛抱強く使い続けてほしい。その選手が大化けすれば、後半戦へチームの勢いがつく。そしてドラゴンズの次の時代に、その選手を育てた監督として、井上監督の名前も残ることだろう。
戦い方を変えるべき時が今

交流戦を前に、ドラゴンズの球団フロントは、現状の井上監督体制で「一戦一戦を戦っていく」と明らかにした。わざわざこうした確認が必要なほどに借金15は重く、“異常事態”であると認識しなければならない。今季の交流戦は、来季からセ・リーグでも導入される「指名打者制」への青写真を試す好機と思っていたが、そんな余裕すら今の井上竜にはないだろう。目の前の勝利をつかんでいくしかない。
くり返すが、これまで勝ててきていないのだから、これまでの戦術を変えるべきである。そうでなければ球団創設90周年のペナントレースは、あっという間に終わってしまうだろう。
本拠地バンテリンドームには、交流戦も大勢のファンが詰めかけるだろう。もちろん、筆者もチケットを手に駆けつけて、スタンドから応援する。やけ酒ではない、美味しいビールを飲みながら、気持ちのいい勝利に酔わせてほしい。
【CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】
※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)ほか。











