櫻井頼之介、次こそプロ初勝利を!井上竜が巨人3連勝を逃した“大きな壁”
勝ちたかった。柳裕也と大野雄大のベテラン左右先発投手が繋いだ連勝のバトン、その3戦目に勝っていれば、讀賣ジャイアンツを3タテ、そして、先発したルーキーにもプロ初勝利がついたかもしれない。2つの夢は雲散霧消した。(敬称略)
ルーキー櫻井が5度目の先発

審判団のユニホームもピンク色で染まった「母の日」、2026年(令和8年)5月10日、本拠地バンテリンドームの先発マウンドには、ドラフト2位ルーキーの櫻井頼之介が立った。プロ5度目の先発、念願の初勝利をめざした。前半はホームランが飛び交う展開、鵜飼航丞の同点2ランにスタンドの竜党は沸いた。櫻井は5回表に無死1、2塁のピンチを迎えたが、三振2つを含めて後続を抑えた。見事だった。その裏に細川成也の犠牲フライで勝ち越し、プロ初勝利が近づいてきたはずだった。
大学野球部員による“高評価”
2月の沖縄キャンプを思い出す。1軍キャンプが行われた北谷町のブルペンだった。整備を担当しているのは、地元の大学に通う野球部員たちである。投球練習がなかった昼食時間に、彼らと雑談した。そして、彼らに問いかけてみた。
「誰が一番印象に残っていますか?」
全員が即答だった。
「櫻井です」
その理由を尋ねると、こんな答が返ってきた。
「球のキレ、コントロール、スピード、すべてです。ヤバいっす」
日頃から、大学で野球に打ち込んでいる彼らは、プロの練習を真剣に見ている。そんな目から見た櫻井投手の魅力を聞いて、大いに期待が膨らんだ。
オープン戦は無双だった

沖縄の大学野球部員たちの目は間違っていなかった。櫻井はキャンプを1軍で完走すると、オープン戦は16イニング無失点という素晴らしい投球を見せた。そして、開幕ローテーション入りし、3月28日の開幕2戦目に先発としてデビューした。7イニングを投げて9奪三振で失点1だったが、残念ながら味方の援護なく、初勝利はお預けとなった。以来、時に打たれるものの、好投しても勝利が遠い。「母の日」の登板でも、リードした後を受けたウンベルト・メヒアが逆転を許してしまった。
金丸の初勝利も遅かった

それにしても、最近のドラゴンズは、新しい投手に初勝利をつけることが下手な印象がある。大きな壁を感じてしまう。昨季も5月初めにデビューしたドラフト1位ルーキーの金丸夢斗が、毎試合のように好投を続けながらも、プロ初勝利を手にしたのは先発登板10試合目の8月7日だった。いくら何でも遅すぎる。結局、金丸はシーズンわずか2勝。新人王も取れた逸材だけに、本当に残念だった。今季のドラフト1位ルーキー、中西聖輝が5月4日に初勝利を挙げたことすら、むしろ遅いくらいの思いである。
星野監督の見事な手腕

昭和と平成の時代、2期11年にわたってドラゴンズを率いた星野仙一監督は、若い投手の“見せ場”を作り、プロでの道を走らせることが上手だった。近藤真一(現・真市)、上原晃、山本昌広(現・昌)、与田剛、森田幸一、川上憲伸、そして岩瀬仁紀と、次々と名前が浮かぶ。
特に若き投手が先発で投げる時こそ、先輩野手陣はとにかく打ち、十分過ぎる援護点を贈る。先発投手陣は1点でもリードしたら守り切る。そうすることによって「勝利」という記録を手にした若き力は、次の登板からも期待以上の力を発揮して、チームに勢いを与えるものだ。
プロ野球界だけではない。一般社会でも新入社員を育てることは、組織にとって最も重要なテーマである。組織の次世代を築いていく人材だからである。そんな当たり前のことに足踏みをしている今のドラゴンズが、歯がゆくてたまらない。
【CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】
※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)ほか。











