ドラゴンズの新旧・選手会長4人が語った来季への決意とマルティネス攻略法
シーズンオフに入り、中日ドラゴンズの選手たちも自己練習の合間に、各地のイベントなどに参加している。そんな中、現役のユニホームを着ている新旧の選手会長4人が揃う、豪華なトークショーが名古屋市内で開かれた。
チームのリーダーが集結
クリスマスを目前にして、日赤愛知医療センター名古屋第二病院(八事日赤病院)にやって来たのは、大島洋平、大野雄大、柳裕也、藤嶋健人、そして岡林勇希という5人のドラゴンズ選手たち。毎年、入院中の子どもたちを励ますための訪問を続けている。小児病棟の激励後に、病院内のホールで行われたトークショーは、大島、大野、柳、藤嶋という新旧4人の選手会長が並ぶという、ファン垂涎の舞台となった。
大島「安打を積み上げる」
まずは、毎年の慰問のまとめ役でもある大島洋平選手。谷繫元信監督時代の2014年(平成26年)から2年間、選手会長を務めた。ここまで2044安打を積み重ねてきた大島選手は、あと1本で並ぶ先輩・荒木雅博さんの安打数に触れて、荒木さん本人から「早く抜け」と言われていると笑った。その先の視界にあるのは、大学と社会人を出てプロ入りした選手の最多安打数、宮本慎也さんの2133本である。朝起きてのルーティンは「まずトレーニング」と明かし、39歳で迎える来季の活躍を誓った。
大野「井上監督の激怒」
大野雄大投手は、大島選手の後、2016年からの選手会長だった。肘の手術の影響もあって、不本意だった今シーズンをふり返った。ウエスタン・リーグの試合で打たれた時に、当時は2軍を率いていた井上一樹監督から、若い選手たちを前にして「お前の投球は、語る価値もないほどだ」と猛烈に叱られたエピソードを披露した。井上監督の厳しい一面を紹介すると共に、「来年はいいオフを過ごせるように頑張る」と笑顔を見せた。
柳「来季は優勝あるのみ」
今季まで2年間、選手会長を務めた柳裕也投手も、初の開幕投手に選ばれながらも苦しいシーズンを送った。「開幕投手、あそこがピークでした」と自嘲気味に分析。若手の中にただひとり加わって参加し、練習を続けた秋の沖縄キャンプでは、休日前に後輩たちと夕食に出た帰り道、キャンプ地・北谷町の路上ラッパーに、ラップで対抗した勇ましい(?)思い出を語った。「来季は優勝あるのみ」という決意がファンには嬉しい。是非、勝利のマウンドでリズムを刻んでほしい。
藤嶋「最下位を噛みしめて」
柳投手から選手会長のバトンを受け取った藤嶋健人投手。3年連続の50試合登板を受けて、来季に向けて、個人としては「ケガなく開幕を迎える」目標を挙げた。チームとしては「3年連続の最下位を噛みしめて一歩一歩、ひとつでも順位を上げる。その先に優勝があればいい」と、新たなリーダーとしての抱負を力強く語った。
敵となったマルティネスへ
質問コーナーでは、会場から真っ先に、讀賣ジャイアンツへの移籍が決まったライデル・マルティネス投手について「どう打つのか?」という攻略法が問いかけられた。岡林勇希選手は「これまで練習以外に、本当の力を見せるライデルとは対戦したことがない。まずは打席に立ってみて、そこから対策を考える」。大島選手も「これから考える」と、チーム屈指の巧打者2人は、その攻略については冷静だった。
一方、ブルペンなどで一緒に過ごしてきた投手陣も“元・同僚”を語った。柳投手が「ライデルは、実際に打席に立ってみると、会場の皆さんが思っている10倍くらい、半端ないほどすごい投手」と明かした上で、「岡林がしっかり打ってくれる」と後輩への檄(げき)も忘れなかった。大野投手と藤嶋投手は、投手陣が皆で力を合わせてマルティネス投手の穴を埋めていくという決意を語り、大きな拍手を受けた。
新スローガン「どらポジ」
ちょうど1年前、同じ八事日赤病院で行われたトークショーでは、会場から「選手の皆さん、立浪監督との関係がうまくいっていないのでは?」という、痛烈な質問が飛び出して、選手を慌てさせた。3年連続の最下位という残念な成績について、リーダーである新旧の選手会長が重く受け止めていないはずはない。柳投手の口からは、井上新監督が決めた新しいスローガン「どらポジ」という言葉が出るなど、気概と決意が“ポジティブに”あふれた時間となった。
クリスマス、そして年が明ければ、すぐに球春がやって来る。5人の選手がトークショーの最後に口にしたのは「優勝」という二文字。オフのイベントで語っている抱負を現実にするステージが、いよいよ近づいている。
【CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】
※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。CBCラジオ『ドラ魂キング』『#プラス!』出演中。