井上竜“お盆の本拠地6連戦”で負け越し、今なお続くベンチ采配の「なぜ?」
お盆休みが終わった。14年ぶりのクライマックスシリーズ進出へ、正念場だった本拠地バンテリンドームでの6連戦、井上ドラゴンズは2勝4敗と負け越した。今季これまでと同じように、勝ち切れないベンチ采配がそこにあった。(敬称略)
なぜ?切り札がスタメン

最初のカード対戦相手は、Aクラス入りに勢いづく横浜DeNAベイスターズだった。初戦の8月11日「山の日」デーゲーム、ドラゴンズのスタメン4番には、阿部寿樹が座った。今季ドラゴンズに復帰した阿部は、代打で度々登場し、勝負強い打撃によってチームに貢献している。井上一樹監督も「阿部は切り札」と絶賛しているが、これまでも時おりあったように、その“切り札”を「4番」に据えた。方針の変更に違和感を覚えながらも、先発した大野雄大の投打にわたる活躍で、幸先のよい6連戦スタートとなった。
なぜ?4番が日替わり

なぜか勝利の翌日にスタメンを変更するのが、今季の井上采配には目立つ。8月12日には「4番」にミゲル・サノーが復活した。4打数ノーヒットで2三振。細川成也の5階席特大ホームランもあったが、ゲームは3対6で敗れた。前日の「4番」だった阿部には、代打でも出番なし。「4番」の座とは何か?と考えてしまう。不調ならば、下位の打順を打たせればいいし、打線に最も必要な打者が「4番」であるはずだ。出たり入ったり、竜の「4番」はそんなに軽い存在なのだろうか。
なぜ?周平と木下スタメン
スタメンを見て驚いたのは、8月13日のベイスターズ3戦目だった。「ファースト・高橋周平」と「キャッチャー・木下拓哉」が球場にコールされた。前日のゲームで、5本のホームランを許したバッテリー責任なのか、石伊雄太がスタメン捕手を外れた。しかし、石伊はドラゴンズにとって久しい“正捕手”にならなければいけない選手である。先発の金丸夢斗とのコンビネーションも長い。残念なベンチスタートだった。
その木下はわずか2打席で代打を送られて交代した。高橋はヒットを1本打ったが、2日後に2軍落ちした。ゲームは1対5で完敗だった。
なぜ?3塁でストップ

ベイスターズに連敗した後、相手は優勝争い中の阪神タイガースに3連敗して名古屋入りした讀賣ジャイアンツ。ドラゴンズの先発は復調の手応え十分の高橋宏斗(※「高」は「はしごだか」)だけに、8月14日はまさに必勝のゲームだった。初回、2死2塁で、4番のサノーがライト前にヒット。ランナーは走塁が上手い福永裕基だけに、先制点はもらったと思ったら、福永は3塁でストップしていた。3塁コーチの判断だった。試合は0対1で敗れた。今季11度目の零封負けだった。今のドラゴンズはAクラスを走っているわけでもなく、とにかく目の前の試合に「勝つ」ことがすべて、ならば初回は本塁突入の勝負だったのではないだろうか。
竜打線が暑さも吹き飛ばす

残念な3連敗、そして、采配に対するモヤモヤ感を吹き飛ばしてくれたのが、ジャイアンツとの2戦目だった。8月15日「終戦の日」のデーゲーム、ドラゴンズの戦いはまだ終わっていないとばかり、打線が爆発した。4番のサノーが2打席連続のホームラン、1軍に戻って来たばかりのルーキー花田旭がいきなりのスタメンでいきなりの3ベースと躍動し、ケガから支配下に復活した福元悠真も見事なタイムリー2ベース。11対2の大勝だった。こういうゲームを心から待っていた。これで2勝3敗、この勢いを続けたい。
なぜ?勝ちパターン投手を
6連戦の6戦目は、今季の井上竜にとって大切な1戦だった。その前に立ちはだかったのが、かつての同僚である小笠原慎之介だった。米国から帰国して巨人入りした小笠原が、慣れ親しんだドームで登板する。ライトスタンドからはブーイングが起きていた。ドラゴンズの先発は柳裕也、気迫あふれる7イニング120球の見事な投球を見せた。0対1で柳が降板した8回表のマウンドには、橋本侑樹が送られた。嫌な予感がした。橋本は“勝ちパターン”の7回を任せてきた投手なのに、1点負けている展開での登板、メンタルやリズムは大丈夫なのだろうかと。
なぜ?4番打者に代打
この8回表、ドラゴンズはジャイアンツ打線に合わせて10点を奪われた。打たれた橋本に続いた草加勝はワンアウトも取れずに降板し、三浦瑞樹も追加点を許した。いつ終わるとも分からないような猛攻を前に、竜党として泣きたいよりも笑いたくなってしまった。テレビが映し出す3塁ベンチで小笠原も笑っていた。悔しさがこみ上げる。0対11で迎えた8回裏に、またまた「なぜ?」があった。井上監督は4番のサノーの打席に、ジェイソン・ボスラーを代打に送った。「4番」に代打を送る意味とは何なのだろうか。
竜党にとって屈辱の敗戦
クライマックスシリーズ進出へ正念場と位置づけられた6連戦は、2勝4敗に終わった。特に最後の6戦目、「讀賣ジャイアンツ」「小笠原慎之介」「本拠地バンテリンドーム」この3つのキーワードの中、あの大惨敗はあり得ない。まさかの逆転負けだった3月の開幕戦から始まり、今季のドラゴンズは信じられない負け方を見せてきた。それが極まったような屈辱の敗戦だった。お盆休みの最終日、竜党として“とんでもない集大成”を見せられた思いである。
「引き締め直します」と井上監督は語った。残り30試合余りとなった今、何をどう引き締め直すのか、言葉だけでなく具体的な形としてどう見せてくれるのか。球団創設90周年シーズンを戦う中日ドラゴンズのチーム全体に問いかけたいと思う。お盆は終わったが、秋風はまだ感じたくない。
【CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】
※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)ほか。











