ビシエド独白!ドラゴンズでの未来に複雑な思い ファンへの感謝と今の心境を語る

ビシエド独白!ドラゴンズでの未来に複雑な思い ファンへの感謝と今の心境を語る 「サンデードラゴンズ」よりダヤン・ビシエド選手(C)CBCテレビ

「とある妄想しがちなファンのドラゴンズ見聞録」
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日午後12時54分から東海エリアで生放送)を見たコラム

今回のサンドラは、「ビッシー」や「タンケ」の愛称で親しまれるダヤン・ビシエド選手の特集。堅実な守備や打撃の魅力はもちろんのこと、ドラゴンズを愛して髪色も青に染めるようなキュートなキャラクターもあり、ファンから最高に愛されている助っ人だろう。今シーズンから外国人枠も外れて期待度は上がっていたが、球団の変化の中で一軍での出場機会に恵まれない現状がある。ファンとして見ると扱いに納得できないという意見も多くある。ただ、それ以前に本人が語ってくれた言葉をしっかりと受け取ってもらいたい。ビシエド選手の胸の内にあった純粋な気持ちやそれが与えた影響を知れば、我々もまた大切なものに気付けるかもしれない。それではサンドラ独占インタビューで迫っていく。

この2年間「ネガティブになることも」あるが「まだいける」現在の環境とその心中

「サンデードラゴンズ」よりダヤン・ビシエド選手©CBCテレビ

8月の一番暑さの厳しい季節のナゴヤ球場で、若手選手たちに混じって汗を流すビシエドの姿があった。2年続けて出場機会は減り、35歳のベテランとも言える年齢で本来いるはずの一軍の舞台に現状いなかった。ドラゴンズで9年目のシーズンを迎えるビシエドは、今季一軍の出場は15試合。今年からチームに加入した中田翔や若手とのポジションの兼ね合いで出場機会が減少したことについてこう語った。

ビシエド選手「もちろん僕もときどき、少しネガティブになることもあります。特にここ2年間あまり良い状態ではないので。ただ、今言ったネガティブな感情というのはなるべく考えないようにして、自分のやるべきこと、グラウンドで仕事をするということに集中するように自分に言い聞かせています。」

一昨年まで、ほぼ毎年100試合以上出場し大黒柱としてドラゴンズを支えてきた。そしてこの2年で変化した自身の役割についても受け入れようとしている最中であった。

ビシエド選手「一軍には一軍の優先順位があって、チームのプランがあるということは理解していますし、リスペクトもしているので今シーズンをファームで終えたとしてもそれは受け入れるようにします。ただ、自分としてはまだできる。今35歳なので23、4才の頃と同じというわけにはいきませんが自分としては『まだまだいけるぞ。』という思いは強くあります。いつもそう思っています。いつも。」

その言葉通り、2軍でも打率.290、本塁打6本と格の違いを示している。一軍からの声はなかなかかからないが、腐ることなく準備を続けている。その変わらぬ真摯な姿勢についてこう話す。

ビシエド選手「確かに現実はそうですけど、ネガティブなことに振り回されないよう考えないようにしています。自分自身を落ち着かせて今自分がいる場所で、しっかり仕事をする。それが来年につながるんだと思います。」

ナゴヤ球場で気付いた大切なこと、その姿を見た監督・選手たちの思いとは?

「サンデードラゴンズ」よりダヤン・ビシエド選手©CBCテレビ

かつて首位打者や最多安打、ベストナインなど様々なタイトルも獲得した時代から、今一度基本に立ち返ってきたような口ぶりだった。また、ファームで過ごした時間にもビシエド選手にとって大切な気付きがあった。

ビシエド選手「『野球は楽しい!』ということを思い出しました。ファームで過ごすことで、キューバにいた頃を思い出しました。そして、野球は楽しむことが大切なんだと再確認しました。もちろんプロですから、それぞれの仕事はありますが、一番大事なのは楽しむこと。そういったことに気付かせてくれました。最近、楽しむことを忘れていました。35歳まで野球をしてきて責任感を持つ中で、楽しむということを心の片隅に置いてきた気がします。野球というスポーツはフラストレーションがあるスポーツですけど、大事なのは喜びを持ってプレーすることだということを思い出しました。一軍にいるとどうしても成績が大事になってきますからね。」

どんな状況でも、そこに真摯に向き合って前進しようという前向きな気持ちがビシエド選手にそんな新たな発見を与えた。そしてその変化によって活き活きとプレーするビシエド選手が、周りの人々にも前向きな影響を与え続けている。

「サンデードラゴンズ」より井上一樹二軍監督©CBCテレビ

井上一樹二軍監督「きっと彼も思うところはあると思うんです。彼の胸中を察するに、モヤモヤしているのは当然だと思う。『二軍は二軍で勝ちにこだわっているんだろ?』とそれに対して『俺は勝利に貢献するぜ』みたいな。そして試合で打った時に一打であったり、守備であったり、いろんな形での野球に対する取り組み方が…みんなと一緒に汗を流して練習してくれる。そこはありがたく思っています。普通にツーベース打って二塁で白い歯を出すビシエドを見ると、すごく野球を楽しんでくれているなという気はします。」

ブライト健太選手「打てなかった試合の後とかも、『シーズンは長いから大丈夫だよ。』とか『変に自分を追い詰めなくて良いよ』ということは言ってくれます。お兄ちゃんじゃないですけど、自分の思っていることも話せますし、すごく良い人だと思っています。」

濱将乃介選手「若手の見本になる、練習の姿勢だったり。バッティングとかでも、僕らにアドバイスくれたりするので、大好きです。タンケのこと嫌いな人いないんじゃないですかね。」

石橋康太捕手「全体練習が終わって、全員が休憩しているときでも、よく打っていたりするので、そういうところであったりワンスイングごとに考えながら取り組んでいるのが見ていてよくわかるのであそこまでやらないと、あのレベルまでいけないのかというふうに思わせてくれます。」

選手たちは皆、現状を思い複雑な表情を浮かべながらも、嬉しそうにビシエド選手を尊敬するエピソードを語っていた。ビシエド選手はプレーはもちろんのこと、練習や何気ない会話においても若手選手にとっての良き師となりチームとしてのドラゴンズを成長させてくれていると感じる。

この2年の居心地…「もしかしたら、今年が最後かもしれないです」

二軍で結果が出てもなかなか昇格に至らずもどかしい日々が続いた。5月16日、中田翔選手が自打球の影響で抹消され、ついに今年初めての『6番!ファースト!ダヤン・ビシエド!』のコールが響きスタジアムは湧き上がった。

ビシエド選手「歓声はとても嬉しかったです。今シーズン初めて一軍の試合に出たとき、ファンの皆さんから本当に大きな声援をいただいて僕のところにしっかり届きました。一生忘れることのない瞬間です。本当にファンの皆さんからは、良い時も悪い時もいつもサポートを感じています。しかもそれを9年間も…本当に感謝しています。ただ、今は複雑な思いです。ここ2年間の居心地というのは、どうだったかな?もしかしたら、今年が最後かもしれないです。」

「サンデードラゴンズ」よりダヤン・ビシエド選手©CBCテレビ

ファンの歓声に対して『スゴい』と日本語で嬉しそうに語ったあと、神妙な面持ちで言葉を紡いでいくビシエド選手に、サンドラからこう質問を投げかけた。

サンドラ「確実に来シーズンもいるとは言い切れない?」

即座に『No,No』と寂しそうに答えてこう続けた。

ビシエド選手「残念ですけどね。今はとても混乱しています。」

この言葉を受け取ったファンが寂しいと感じる以上に、様々な感情を引き受けた表情で話すビシエド選手にただ良い未来が訪れてほしいと願うばかりだった。それでもビシエド選手は、ファンに対して徹頭徹尾感謝の姿勢を崩すことはなくメッセージを届けた。

ビシエド選手「ファンの皆さんには、本当にいつも感謝しています。いつも喜びを受け取っていますし、グラウンド上でそれを感じています。」

名古屋という場所にも愛を持って覚えてくれた日本語で最後に『ありがとうございます。』と締めてくれた。ビシエド選手が入団してからのドラゴンズは手放しで強いと言えることはなく、悔しい試合もたくさん重ねてきた。そんな中でビシエドのプレーは救いでもあったし、その人柄は家族のように親しみを持たれる存在でもあった。チームを離れる可能性があるのは受け止め難い辛さもあるが、ビシエドが与えた影響はドラゴンズに刻み込まれているし、ビシエド選手もまたドラゴンズで積み重ねたものを発揮していくだろう。それがどこであっても、野球を楽しむビシエド選手にまた大きな声援を送り続けようと思う。

澤村桃


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