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柳・京田そして笠原、ドラゴンズの3年目三銃士が「プロの壁」を越える時

柳・京田そして笠原、ドラゴンズの3年目三銃士が「プロの壁」を越える時

偶然の出会いは2年前、中日ドラゴンズ春季キャンプの1軍宿舎である沖縄県恩納村のホテルロビーだった。
キャンプインを目前にした2017年1月30日、選手たちの自主トレも最終日。夕暮れの迫るロビーに現れたのは、まず柳裕也投手、少し遅れて京田陽太選手。一拍おいてしんがりとしてやって来たのは笠原祥太郎投手だった。3人は揃って外食に向かうところだった。
2016年秋のドラフト会議でドラゴンズに指名されて入団した大学出身の同期ルーキー3人。その時の印象は、柳投手の誠実な応対、京田選手の天真爛漫さ、そして笠原投手・・・Tシャツがはち切れんばかりの見事な上半身の筋肉。鍛えられたその身体に驚いた記憶が残っている。

笠原いまだ白星つかず

その笠原祥太郎投手は、2019年シーズンで開幕投手の座を射止めた。
新潟市に生まれ、新潟医療福祉大学からドラゴンズにドラフト4位で入団。社会人を経ずして新潟県の大学からプロ野球に入った選手は初めてである。2年目の昨シーズンはシーズン途中からだが6勝を挙げて、11月に開催された侍ジャパンのメンバーにも選ばれた。速球などに加えて、チェンジアップの切れ味は鋭い。
オープン戦での好投によって開幕投手に選ばれたことも順当だったが、先発で2試合を投げてまだ勝ち星はついていない。

柳は神宮球場で快投

笠原投手よりひと足早く今季初勝利を挙げたのが柳裕也投手だった。
4月7日の神宮球場での東京ヤクルトスワローズ戦でのピッチングは見事だった。東京六大学の明治大学時代に慣れ親しみ23勝を挙げた球場、その懐かしいグラウンドでの今季初勝利は格別の思いだったであろう。
横浜DeNAベイスターズとのドラフト1位指名競合の結果、ドラゴンズが引き当てた六大学のエースも、この2年間はプロの壁に苦しんだ。今季からの二段モーションの新フォームがしっくりきていることは素人目にも分かる。

京田まさかの開幕スタメン落ち

実は3人の中で順風満帆だったのが京田陽太選手だった。
入団1年目に俊足巧打と堅い守備でショートの定位置を獲得すると、長嶋茂雄選手の新人安打記録にあと4本まで迫る149安打を記録して、ドラゴンズでは1998年の川上憲伸投手以来のセ・リーグ新人王にも選ばれた。2年目の昨シーズンも全試合に出場し、今季から背番号「1」を付け与田ドラゴンズのチームリーダーの道を歩み始めた。
スーパールーキー根尾昂選手が入団してきたが、ショートの座は揺るぎないと思われていた。しかし、開幕戦はスタメンではなく、まさかのベンチスタートだった。それでも開幕3試合目でスタメン出場を果たすと、はつらつとしたプレーを見せている。

笠原の初勝利はいつ?

2016年ドラフト指名で大学から入団したこの3人が、次世代ドラゴンズの中核を担っていくことは間違いない。そして注目は、それぞれが早々に「プロの壁」を知ったということだろう。まずドラフト1位の柳投手、次にドラフト2位の京田選手、そしてドラフト4位の笠原投手がまさに今、開幕投手を務めながらの初勝利への道を歩んでいる最中だ。
登板2戦目だった4月5日のスワローズ戦、3失点3回での降板は不本意だったであろう。

3年目トリオへの大いなる期待

人生には時として不思議な順列がある。まったく偶然なのだろうが、壁に直面してきた順が2年前にホテルのロビーへ現れた同じ並びであることに気づいた。もちろんこれはあくまでもファンとしての見方であり、本人たちにはもっと違う壁が存在したのだと思う。そして「プロの壁」はこれからも幾度か形を変えて、3選手の前に登場するであろう。ただ、それを越えた先に、6年連続Bクラスと低迷するドラゴンズの明日がある。

まずは今週末に甲子園球場でおそらく今季3回目の先発登板するであろう笠原投手の好投と初勝利を願いたい。昔から言われている金言がある、「三度目の正直」と。

【CBCテレビ論説室長・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。

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