きしめんがV字回復! 人気復権の原動力「きしころスタンプラリー」で食べ歩き~大竹敏之のシン・名古屋めし
地元の人ほど食べない「きしめん離れ」
番組独自のアンケート「最新!東海3県の100人に聞いた!好きな“名古屋めし”ランキング」で4位に入っていたのがきしめん。ひつまぶし、味噌煮込みうどん、みそかつに次ぐ堂々の上位ランクインとなりました。
実はこの順位、地元の人はちょっと意外に思ったかもしれません。というのも、歴史の長さや全国的な知名度の割に、長らく名古屋、愛知では「きしめん離れ」が進んでいました。名古屋めしブームの裏で、きしめんを普段あまり食べない、という人が増えてしまっていたのです。
この傾向は番組でも如実に示されていました。2024年1月10日放送の「きしめん『住よし』」特集は、名古屋駅ホームの人気立ち食い店に密着したデララバ史上屈指の神回でしたが、その中で興味深いアンケート結果が紹介されていました。「一番おいしいと思うきしめん店は?」の問いに対し、2位が「住よし」、3位は熱田神宮内「宮きしめん」、1位は何と「お店が分からない」! 名古屋の人も、観光客に人気のお手軽なきしめん店しか頭に思い浮かばないのです。
ツウの間で冷たい「きしころ」人気がじわじわ上昇
そんなきしめんが冒頭のアンケートでは4位に選出。多くの名古屋人は首をかしげたかもしれませんが、名古屋めし事情に精通した人ほどニヤリとする結果でもありました。というのも、ツウの間ではここ数年じわじわときしめんの評価、人気は高まっているのです。
「10年くらい前までは一日に一杯もきしめんが出ず、泣く泣く麵を捨てていたこともありました。それが今では毎日何十杯と出る。隔世の感があります」というのは「みそ煮込の角丸」(名古屋市東区)の3代目・日比野宏紀さん。店名の通り同店は味噌煮込みうどんが一番のウリなのですが、それでもなおきしめんを求めるお客が急増しているというのです。
きしめんラバーたちのお目当ては、きしめんはきしめんでも「きしころ」です。「毎年、春先に急に暑くなる日があるじゃないですか。そうすると“きしころ、まだやってないの?”というお客さんが何人もいるんです」と日比野さん。「きしころ」とは冷たいきしめんのことで、同店では暑い時期だけの季節メニュー。名古屋めしツウや麵マニアは「夏はきしころ!」と暑くなるのを待ち構えているのです。
きしめんのシンの魅力を体験できるスタンプラリーが開催中
そんなきしころ人気の仕掛け人は、実は日比野さんご自身。地域のうどん店らと一緒に2015年に始めた「きしころスタンプラリー」が、かつては「きしめん離れ」の危機にあったきしめんをV字回復させる原動力となりました。
「きしころは冷たい分、麵がキュッとしまって、きしめん特有の薄くてぺろぺろっとした食感の魅力をより実感できる。暑い夏に食べてもらえば、きしめんの本当のおいしさを分かってもらえると思ってスタンプラリーを企画しました」と日比野さん。
明治20年代創業と名古屋屈指の老舗である「森田屋」(東区)は、スタンプラリーをきっかけにおよそ30年ぶりにきしめんを復活させました。「ラリー期間の夏の2ヶ月限定できしめんを打つようになりました。年々洗練されてきて、より伸びがあってしまった麵ができるようになってきました。スタンプラリーは今年10年目で夏の風物詩になってきた。これを楽しみに来てくれるお客さんも多いですね」と店主の玉津亮さん。
きしころスタンプラリーによってきしめん本来の麵の持ち味を体験する人が増え、食に関心の高い名古屋人の間ではきしめんはクール(カッコいい)な食べ物となっていったのです。すなわち「きしめんなんて食べない」なんていまだに言っている人は、逆に名古屋めしの最新トレンドに乗り遅れている人になりかねないというワケです(!?)。
廃れている・・・と思いきや実はグイグイ盛り返しているきしめん。その魅力を現在開催中の「きしころスタンプラリー」で是非体験してみてください!
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#名古屋めしデララバ