進化系名古屋めし「ピンクきしめん」老舗麺処・ちとせ屋の挑戦
数ある名古屋めしの中でも歴史が深い「きしめん」。中には創業100年近くの歴史を持つ超老舗店もあるほど、地元に親しまれ続けています。今回はその歴史深いきしめんの味を守りつつも新たな視点から創作された、目を疑うほどに鮮やかなピンク色のきしめんをご紹介します。
昭和初期創業。3代目の店主が守り続ける地元に根付いた麺処。
場所は名古屋市東区泉。名古屋の老舗喫茶店として有名な喫茶ボンボンから東西に伸びる鍋屋町通の東側に「ちとせ屋」はお店を構えます。最寄り駅は地下鉄桜通線・高岳駅。現店主は3代目、創業当時と変わらず、今も手打ちにこだわったきしめんやうどんが楽しめます。
店内に入ると真っ先に目に入るのが瓦屋根。店内なのに瓦屋根があるのはなんとも不思議な印象。空間は四角い間取りに四角いテーブルと椅子。合理的で決して狭さを感じない上に落ち着いた雰囲気が広がっています。昭和初期から続く「THE・定食屋」といった雰囲気のお店ですが、実はかなりアグレッシブなメニューを提供していました。気になるそのメニューとは?
ショッキングなビジュアルのきしめん!その名も「PINK」
まずはお品書きをご紹介。
手書き文字が両面を埋め尽くすお品書き。うどんやきしめん、蕎麦だけでなく、丼ものや煮込みメニューなど、訪れる人を飽きさせない気配りを感じますね。しかし今回の目当てはお品書きには載っていない、ある特別なイベント限定メニュー。それがこちら。
「PINK 950円(税込)」(2023年8月時点 ※8月末で販売終了)「お待たせしましたー。」と運ばれてきたものを目にした時、自分が何を注文したのか一瞬分からなくなるほど衝撃的なビジュアル。なんともSNS映えしそうなきしめんは、「ちとせ屋」が毎年参加している夏季恒例イベント「きしころスタンプラリー(2023年7月1日〜8月31日)」用に創作したもの。また、ピンク色を選択した背景には「名古屋のうどんには赤(つゆにたまり醤油を使用したもの)と白(つゆに白醤油を使用したもの)があり、赤と白があるなら中間のピンクがあってものいいのでは。」と考案されたとのこと。しかしこのピンク色の正体は一体…。実は西洋野菜のビーツをメインに色を抽出したのだそう。色合いも味わいも何十通りも試行錯誤を繰り返し、誕生しました。
きしめんにはサラダ仕立てのビーツ・大ぶりのトマト・ゆで卵がトッピングされています。また、つゆを冷やす氷もピンク色。一見甘そうなつゆですが、出汁の味わいがしっかりと感じられ、氷が溶け出すとつゆがまろやかになるだけでなく、きしめん自体もどんどんピンク色に染まっていきます。
「ちとせ屋」の最大の特徴は、この幅が広い手打ちきしめん。一般的なきしめんの3倍ほどの幅があります。小麦の香りもほのかに感じられ、もっちりとした食感なのにツルツルっと喉ごしがいい。また冷たいつゆで締まった麺は弾力もしっかり。見た目のインパクトに負けない美味しさです。
定番のきしめんも存在感抜群!
こちらは「きしめん 650円(税込)」(2023年8月時点)。油揚げとかつお節、ネギが乗った定番商品ですが、やはり幅が広いきしめんの存在感があります。
温かいつゆでいただく幅が広いきしめんは「ころ」とはまた違う滑らかでもちもちとした食感でこれまた美味しい。かつお節やムロアジなどからとった出汁つゆも香り高く、そしてどことなく落ち着く味わいが楽しめ、気がついた時には飲み干してしまっているほど。
今も昔も地元に愛され続ける麺処
創業時から3代目となる「ちとせ屋」。単に美味しいきしめんが味わえるだけではなく、まるで親戚の家に遊びに来たかのような空間に癒やしを感じることもできます。そしてその味を守り続けながらも新たなことに挑戦する姿勢は、名古屋の食文化であるきしめんをこれからも盛り上げ続けることでしょう。
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店舗名
ちとせ屋
住所
名古屋市東区泉2-7-17
営業時間
11:00〜14:00
17:00〜20:00
定休日
日曜日・祝日
電話番号
052-931-4774
ライター名
南野 武
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