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ひつまぶしの発祥?門外不出のタレの秘密とは?「あつた蓬莱軒」知られざる驚きの情報

ひつまぶしの発祥?門外不出のタレの秘密とは?「あつた蓬莱軒」知られざる驚きの情報
CBCテレビ:画像「デララバ」

名古屋名物の代表格である「ひつまぶし」。その発祥とされているのが「あつた蓬莱軒」。全国的にも有名な同店ですが、ただ美味しいだけではなく平日土日問わず多くの人が列をなすのはそれなりの理由があるはず。今回は地元名古屋の人にもあまり知られていない、あつた蓬莱軒の味の秘密と歴史について3つご紹介します。

知られざる驚きの情報①|あつた蓬莱軒の歴史と伝統

あつた蓬莱軒の創業は1873年(明治6年)。熱田神宮の門前町として栄えた宿場町に料亭としてお店を構えたのが始まりです。当時も今も変わらぬ人気の同店ですが、実は名古屋市街には店舗を構えていないことをご存じでしょうか。そのわけは・・・?

鰻料理というと単に焼くだけ、と思われがちですが、素材の質の見極めから始まり、串打ち、タレを重ねながら焼くという工程までを全うする職人を育てるには時間がかかり、地域を広げることで料理の質を守ることが困難になっていきます。そしてもうひとつは、熱田神宮の門前町で創業当初から商売をさせてもらっていることへの感謝の想い。料理の品質と伝統を守り続けるため、同店は市街には店舗を構えない、という方針のもと運営しているそうです。

また、熱田神宮境内にも店舗を構えていたあつた蓬莱軒ですが、1996年に移転を余儀なくされ、移転先を探していたところに常連客から「蓬莱軒は神宮の近くにいなければ」と神宮正門前の土地の提供があり、現在の「あつた蓬莱軒 神宮店」として営業を続けることに。そういった経緯もあり、地元への感謝の気持ちがより一層深いことが分かります。

知られざる驚きの情報②|「ひつまぶし発祥の店」と言われる由縁

今ではたくさんのお店がひつまぶしを提供していますが、その発祥と言われているのがあつた蓬莱軒。創業当初は出前が多く、下げに行くたびに器を割ってしまうことに困った2代目店主の甚三郎が「木の器なら割れない」ということで、大きなおひつに数人分の鰻丼を入れて出前するようになったということです。

しかし大きなおひつに数人分の鰻丼が入ると、今度は鰻ばかりが先に食べられてしまいご飯が残ってしまう。ご飯とバランスよく食べられるようにと、鰻を細かく切ってご飯と混ぜて提供したところ、これが大変好評だったことから「ひつまぶし」が誕生したのだそうです。「美味しく食べてもらいたい。」というおもてなしの精神は、創業当初から今に受け継がれていたのですね。

あつた蓬莱軒で使用される鰻と調理にもこだわりが。使用する鰻は三河一色産の「新仔(しんこ)の鰻」。新仔の鰻とは1年も経たないうちに大きくなった若い鰻で、皮は薄く身はふっくらと仕上がっており、脂の乗りもちょうどいいことから使用しているそうです。

鰻の味と食感と香ばしさの決め手となるのが「焼き」。あつた蓬莱軒では火力が強く煙が少ない備長炭を使用。ただし、じっくりと焼き上げる必要があるので、炭火と鰻との距離感を考えながら遠火で焼き上げていきます。基本の焼き方を押さえながらも、1年を通してみれば鰻の質も季節や温度、湿度などの環境条件も変わるため、仕上げはやはり職人の感覚。そのため焼き場に立てるのは一握りの熟練した職人のみという。

知られざる驚きの情報③|門外不出の「秘伝のタレ」

鰻の蒲焼き、ひつまぶしにとって切っても切り離せないもの、それは「タレ」。1873年の創業以来なんと150年も継ぎ足ししており、その秘伝のレシピを知る人はあつた蓬莱軒の女将さんと親族のみ。なんと本店の料理長もそのレシピは知らないのだそう。まさにあつた蓬莱軒の味を決める、門外不出の秘伝のタレということですね。

そしてタレの味はレシピ以外に鰻の「焼き」にも左右されるそう。炭火で焼いた鰻を何度もタレ壺につけるので、鰻の焼き方がタレの味を作っていると言っても過言ではありません。脈々と受け継がれるタレは、戦時中はその味を守るために疎開させたというほど、お店にとって命のような存在なのです。

しかし伝統あるタレにも危機が訪れます。それはコロナウイルス蔓延による休業と客足の減少。タレも生き物。使用していないと菌が生まれてしまう可能性があるため、このままでは大切なタレを失ってしまう。検討を重ねた結果、考案したのがお取り寄せ専用メニュー「鰻ちまき」。これによりあつた蓬莱軒の味を自宅でも楽しんでもらうことができるだけでなく、タレを生かし続けることができたのだそう。

あつた蓬莱軒のタレに対する想いはそれだけではありません。実は地元名古屋の人にもあまり知られていない「タレのおかわり」。先にお伝えしたとおり、お店の命と言っても過言ではないほど貴重なタレを自由におかわりすることができるのです。味の好みは人それぞれ。その人に合わせて美味しく食べてほしい、というあつた蓬莱軒の想いから行っているサービス。伝統と歴史のなかに感じる「おもてなし」の精神。これこそがあつた蓬莱軒に足を運ぶ人を絶えさせないのではないでしょうか。

伝統と秘話でさらに美味しくなるひつまぶし

地元の人だけでなく、観光客からも絶大な人気のあつた蓬莱軒。連日行列ができるのは単に美味しいだけではなく、徹底した品質管理と、守り続ける歴史、そしてお客さんへのおもてなしの気持ちがあってこそ成り立っているのだと感じます。そのすべてが昔も今も「あつた蓬莱軒」という確固たるブランドを守り続けているのでしょう。

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店舗名
あつた蓬莱軒 本店
住所
名古屋市熱田区神戸町503番地
営業時間
11:00〜14:00
16:30〜20:30
定休日
毎週水曜日・第2第4木曜日
(祝日営業、振替営業あり)
電話番号
052-671-8686

※記事内容は配信時点の情報となります。

#名古屋めしデララバ

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