なぜナポリタンが名古屋めしに!?発祥の地『喫茶ユキ』の「鉄板スパ」誕生秘話
名古屋めしのひとつとして知られている「鉄板スパゲッティ」。名古屋の喫茶店が60年以上前にナポリタンと鉄板をコラボさせ誕生。その歴史と由来をひも解きます。
1957年創業 移転後も愛され続ける喫茶店
地下鉄桜通線・車道駅から南へ徒歩5分ほど。名古屋めし「鉄板スパゲッティ」の生みの親である「喫茶ユキ」があります。こちらのお店は2代目。1957年創業の初代ユキは、区画整理の影響で残念ながら2018年に取り壊され、同年4月に10メートルほど南に移転した現在の店舗での営業に至ります。
いたるところに旧店舗の名残を感じられる店内
外観は白を基調としたシンプルで現代的な雰囲気ですが、入り口左側の看板は旧店舗のロゴをそのまま引き継いでいます。
それだけではありません。天井からつり下がるオレンジ色のおしゃれなペンダントライト。実はこちらも先代のお店のものをそのまま使用しています。
革張りのソファも昔ながらの喫茶店の雰囲気。適度な弾力で座り心地がよく、各テーブルとの間隔も広く取られているので、つい長居してしまいそう。
鉄板スパゲッティの起源と喫茶店で親しまれる理由とは?
鉄板スパゲッティが誕生したきっかけは、先代店主がイタリアに旅行した際に食べたスパゲッティにある。会話が進む中でスパゲッティが冷めてしまったことから、時間が経っても熱々の状態で提供したい、と考案したのが始まりとのこと。まさに滞在時間が長いお客さんの多い喫茶店ならではの発想ですね。名古屋の食器メーカーと鉄板皿を共同開発してメニュー化。「鉄板ナポリタン」として広く浸透していますが、喫茶ユキでは当時のまま「鉄板スパゲッティ」の名称で提供しています。
ぐつぐつとシズル感満点の「鉄板スパゲッティ」
注文してから待つこと約5分。こちらが鉄板ナポリタンの元祖、喫茶ユキの「鉄板スパゲッティ 650円(税込)」(2023年8月時点)。まだ固まり切らない卵が鉄板の両端に敷かれた、熱々の状態でいただきます。具材は豚肉、玉ネギ、ピーマン、そしてモヤシ。ちょこんと上に乗っている赤ウィンナーが昭和の雰囲気をより一層醸し出しています。なんと熱々の鉄板も旧店舗から30年以上も使い続けているというのだから、先代を知る人にとっては感慨深いものがあるといえるでしょう。
卵と具材、スパゲッティを絡めながら熱々の状態で頬張る。濃厚で酸味のあるケチャップを、まだ固まり切らない卵が包み込み、まろやかな味わいに仕上がっています。通常よりも太めのスパゲッティのもちっとした食感と、玉ネギ、モヤシのシャキッとした食感のコントラストで、口の中がなんとも楽しい。シンプルながらも考え抜かれたメニューです。
食べ終わる頃を見計らって温かいお茶とお茶菓子も提供していただけます。この心遣いは思わず笑顔になる嬉しさ。
想いと味を繋ぐ、地元に愛され続ける喫茶店
壁には先代ご夫婦の写真と旧店舗の正面写真が飾られており、見ていると歴史の詰まったお店への想いがうかがえます。鉄板スパゲッティだけに限らず、そのほかのメニューも良心価格で、昔も今もお客さんのことを第一に考え続けてくれていることがじんわりと伝わってきます。
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店舗名
喫茶ユキ
住所
名古屋市東区葵3丁目2-30
営業時間
10:30〜15:00
定休日
金曜日・土曜日
電話番号
052-935-1653
ライター名
KENTA
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#名古屋めしデララバ