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観光客15倍、ペンギン絶滅危惧。南極の今を話し合う「南極条約協議国会議」

観光客15倍、ペンギン絶滅危惧。南極の今を話し合う「南極条約協議国会議」

南極をテーマにした重要な国際会議「南極条約協議国会議」が、5月11日から広島市でスタートしました。32年ぶりの日本開催となる今回、観光客の急増や絶滅危惧種の保護など、南極を取り巻くさまざまな課題が話し合われます。5月11日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、CBC論説室の石塚元章特別解説委員が、平和条約のモデルケースともされる南極条約の意義や、今だからこそ知っておきたい南極の姿について解説しました。

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押し寄せる観光

南極の観光客が増えているというニュースを最近見たという光山雄一朗アナウンサー。 

実際、ここ30年で南極の観光客は約15倍に増え、1年間で約12万人ほどが南極の近くまで足を運んでいるそうです。 

以前はクルーズ船で近くまで行き、船から眺めるツアーが中心でしたが、近年では場所やツアーによっては上陸するケースも出てきました。 

こうした観光のあり方も、今回の会議の大きなテーマのひとつです。 

平和利用のための条約

南極条約が発効したのは1961年。当初は日本を含む12カ国が加わり、アメリカや当時のソ連、イギリス、フランスなども加盟していました。現在は58カ国が批准しています。

条約で決められているのは、南極を平和目的で利用すること、調査研究はお互いに協力しながら行なうこと、領土の主張をしないこと、核開発に関する実験や放射性物質の持ち込みを禁止することなどです。

石塚「1961年は米ソ冷戦当時なんで、いろんなところで領土の拡大競争をやっていた。『南極だけはそういうことをやめよう、みんなで平和に使おう』という機運があったわけですね」

南極条約は、平和を決めるための条約のひとつのモデルケースだといえます。

協議国会議とは

協議国とは、全58カ国のうち実際に南極で本格的な調査研究を行なっている29カ国のことを指します。今回の会議はこの協議国が中心となって開かれるもので、残りの加盟国も参加できる仕組みです。

50カ国以上から外交官や政府関係者、研究者など400人以上が集まる会議で、会期は5月21日まで。最近はほぼ毎年開催されており、29カ国の持ち回り方式です。

日本での開催は、東京、京都に続く3回目。前回は1994年で、今回は32年ぶりとなります。
 

議題と決定の壁

今回の会議の主な議題は3つあります。

ひとつは、急増する観光客への対応です。技術の発達で南極へ近づきやすくなり、新たな環境問題も生まれたため、観光のあり方を整理する必要が出てきました。

次に、絶滅危惧種のコウテイペンギンの保護です。守るためのルールをきちんと決めた方がいいのではないかという議論が予想されます。

さらに、軍事利用に関する透明性の問題です。世界情勢が緊迫する中、平和利用のはずの南極で本当に軍事利用がされていないかを確認する必要があります。各国の思惑が持ち込まれないようにすることも、議論のポイントです。

ただ、これらを決めるには大きなハードルもあります。全会一致が原則で、1カ国でも反対があれば成立しません。

月にも必要な条約

続いて、石塚は南極条約と関連して月の利用についても話を広げました。

最近、アメリカや中国、ロシア、インドなどが月面利用の競争を始めていますが、月には南極条約ほど厳しいルールがありません。

月協定と呼ばれる似たものはあるものの、加盟しているのはオーストラリアやベルギー、メキシコなど、ほとんど宇宙に進出していない国ばかり。アメリカやロシア、中国は加わっていません。

南極条約のように主要国も加わる形で、月を利用するための条約や協定が必要ではないかという声もあります。

石塚「そういう意味で、この南極条約を考えるというのは、ひとつ今大きなポイントかなと思います」
 

南極と北極、寒いのは

「北極と南極のどちらが寒いか」という石塚の問いに、光山と三浦優奈は揃って「北極」と答えます。

しかし、より寒いのは南極です。南極の平均気温はマイナス49度なのに対し、北極はマイナス20度ほど。

南極は大陸である一方、北極は下が海。海の方が冷えにくく、陸地は海から離れれば離れるほど気温が下がるのが、その理由です。

5月21日まで広島で続く南極条約協議国会議。観光、環境、平和利用と、南極を取り巻く課題への国際的な議論が注目されます。
(minto)
 

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