花田旭が来た!ドラゴンズの背番号「57」に名を残した歴代の熱き外野手たち
大学時代の卓球部の先輩が、今季バンテリンドームのシーズンシートを購入した。その先輩が、毎試合のように応援に着ていくユニホームの背中には「57」の数字がある。背番号「57」、それはルーキー外野手・花田旭である。(敬称略)
大型外野手の誕生

開幕ゲームからつまずいた2026年(令和8年)シーズン、4月早々に“すい星のごとく”飛び出してきたのが、花田旭だった。東洋大学からドラフト6位でドラゴンズに入団した。大型外野手として期待も高く、沖縄の春季キャンプは1軍の北谷で完走した。岡林勇希がケガで離脱すると1軍に昇格、すぐに打つは打つはの活躍だった。今季、本拠地のバンテリンドームにお目見えしたホームランウイングに、チームとして初めてホームランを打ったのも花田だった。
ルーキーで「5番」に抜擢

愛知県豊橋市で行われた4月14日の試合では、クリーンアップの5番に抜擢された。そこでもタイムリーヒット2本、しかし好事魔多し、その後は守備でのケガによって1軍から戦線離脱を余儀なくされた。お盆の本拠地6連戦、讀賣ジャイアンツとの2戦目に1軍に戻ってきた花田は即スタメンで起用された。すぐに期待に応える。最初の打席で、巨人のドラフト1位ルーキー竹丸和幸から目の覚めるような右中間への打球を放った。フェンス直撃の3ベース、実に見事なバッティングにスタンドのファンは大喝采だった。
打席で漂うスラッガーの風格
打席に入った花田の構えは、見る側に“期待感”を抱かせる。大きく、そしてゆったりとボールを待つ姿。そこにはスラッガーの風格すら漂っている。何せ、高校時代は名門・大阪桐蔭高校の4番だったのだから納得である。この巨人戦は、センターを守ってきた岡林をライトに回して、花田がセンターとして起用された。身長187センチの花田が中堅に立つ姿は壮観である。ドラゴンズの背番号「57」にはセンターというポジションが似合うようだ。球団創設90周年、背番号「57」を背負った3人の外野手に思いを馳せる。
平野謙の「走攻守」
真っ先に思い浮かぶのは、平野謙さんである。1977年(昭和52年)に当時は制度があった「ドラフト外」でドラゴンズに入団した。最初は投手だったが、肩の強さを買われて2年目から外野手に転向した。背番号「3」に代わるまで4シーズンつけた背番号が「57」だった。近藤貞雄監督の就任と共に頭角を現し、1982年(昭和57年)シーズンには2番打者として、1番の田尾安志選手とコンビを組んでリーグ優勝に貢献した。強肩、盗塁王、そして犠打の日本記録更新など“走攻守”の三拍子、ドラゴンズファンには忘れられない外野手である。
彦野利勝の「パンチ力」
彦野利勝さんも、投手から外野手に転向した。平野さんらの活躍でリーグ優勝した1982年のドラフト5位でドラゴンズに入団した。背番号「8」に代わるまで9年間「57」番を背負った。彦野さんと言えば“パンチ力のある外野手”、主に「1番センター」として起用された竜のリードオフマンだった。オールスターゲームでのMVP、また、サヨナラホームランを打った直後に脚を傷めて代走がホームイン、そんな数々の名場面が浮かぶ。
3年連続でゴールデングラブ賞も受賞している。
英智の「職人技」
記憶に新しいのは英智(蔵本英智)さん。1998年(平成10年)のドラフト4位でドラゴンズに入団した。英智さんの活躍には、落合博満監督の目利きがあった。登録名を「蔵本」から「英智(ひでのり)」に変更してのぞんだシーズン、それは落合監督の1年目でもあった。落合監督は、英智さんの“走”と“守”を高く評価して、ゲーム終盤には、必ず背番号「57」を起用した。象徴的なのは、この年、英智さんがゴールデングラブ賞に選ばれたことである。控え選手としての受賞は珍しく、それこそが英智さんの真骨頂だった。背番号「24」に変更されるまで、9年間「57」を背負った。
新時代の背番号「57」

平野謙、彦野利勝、そして英智、この3人は、くしくもドラゴンズの地元である東海地方の出身であり、投手として活躍した経験がある。しかし、花田は関西の大阪府出身であり、外野手として名を馳せてきた。その意味でも、ドラゴンズの球団史に新しい背番号「57」の歴史を刻んでくれそうだ。花田には、将来はクリーンアップを打って、ホームラン王を取るような活躍を期待したい。そのためにも、ドラゴンズの首脳陣には、この逸材を我慢強く起用し続けてほしいと願う。
現在のドラゴンズにとって最も必要なのは、低迷するチームを活気づける“起爆剤”である。残り30試合余りのシーズン、背番号「57」に注がれる竜党の視線は熱い。
【CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】
※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)ほか。











