CBC web | 中部日本放送株式会社 / CBCテレビ / CBCラジオ

MENU

時代とともに対策が変わる…ストーカー規制法改正のポイント

時代とともに対策が変わる…ストーカー規制法改正のポイント

政府は11日、ストーカー規制法の改正案を閣議決定しました。改正のポイントは位置が特定できる紛失防止タグの規制などで、新しい道具を悪用するストーカーと、取り締まろうとする法律とのイタチごっこの姿が浮かび上がってきます。11月12日放送『CBCラジオ #プラス!』では、ストーカー規制法に関する改正案のポイントについて、CBC論説室の石塚元章特別解説委員が解説しました。聞き手は永岡歩アナウンサーと三浦優奈です。

関連リンク

この記事をradiko(ラジコ)で聴く

紛失防止タグってどんな物?

そもそもストーカー規制法とは、一方的な恋愛感情や恨みの気持ちで誰かにつきまとったり、面会を強要したりする行為を規制しようという法律です。

正式名称は「ストーカー行為等の規制等に関する法律」で、埼玉県桶川市で女子大学生がストーカーに殺された事件をきっかけに、2000年にできました。
その後、さまざまな状況や事情に応じて改正を繰り返しています。

今回の改正のポイントは「紛失防止タグ」の規制。
そもそも忘れ物や落とし物を防ぐための小さな道具で、例えばキーチェーンにつけたり、財布の中に入れたりします。

もしどこかで落としたり失くしたりしても、自分のスマホと連携してどこに置き忘れているのかわかるというもの。
場所を特定できるGPSや、ワイヤレスイヤホンなどで使われている無線技術のBluetoothなどの技術が使われています。

また、こどもの迷子予防に使用されるケースもあるそうです。

便利な物を犯罪に悪用

ストーカーは「紛失防止タグ」をどのように悪用しているのでしょうか?

例えば、追跡したい相手のカバンなどにこっそり入れることで、いまいる場所、普段よく足を運ぶ場所など、常に尾行していなくてもわかるというわけです。

タグは軽いために、仕込まれたことに気づきにくい点があります。

実はこの「紛失防止タグ」、他人のスマホの電波を拾って、サーバー経由で伝わる仕組みとなっています。
2024年にタグを使ったストーカー事案は、警察が把握しているだけで370件ですが、気づかれていないだけで、実はもっとあるのかもしれません。

紛失防止タグが取り締まれなかった理由

ストーカー規制法では紛失防止タグを悪用した行為を取り締まることはできなかったのでしょうか?

かつては「勤め先や学校、家など通常居る場所の付近で見張る、押しかける、みだりにうろつく」というのがストーカーの定義でした。
しかし、GPSを相手の車につけて捕まったストーカーは「通常居る場所の付近ではなく、見張っていない」と主張し、最高裁は有罪とはしませんでした。

そのため2021年の改正では、「通常居る場所」だけではなく「実際に居る場所」も加え、さらに位置情報の記録・送信装置を取り付ける行為も規制対象としました。

しかし、紛失防止タグそのものは位置情報を記録していないため、2021年の改正では対応しきれなかったのです。

明らかに悪いと思われる行為でも、法律に書かれていなければセーフとなってしまうため、悩ましいところです。
(岡本)
 

この記事の画像を見る

オススメ関連コンテンツ

PAGE TOP