松原タニシ『恐い間取り4』発売!全国7軒の事故物件から見えた地域の死生観

6月17日放送のCBCラジオ『北野誠のズバリ』では、事故物件住みます芸人・松原タニシが、最新刊『事故物件怪談 恐い間取り4 全国編』(二見書房)の発売について語りました。北海道から九州まで、全国7軒の事故物件を同時に借りるという前代未聞の試みに挑戦し、各地域の死生観や事故物件への向き合い方の違いを探求した内容です。
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松原はコーナー冒頭で「なんとか書き終えました」と安堵の声を漏らしました。今回の『恐い間取り4』は「全国編」と銘打たれている通り、北海道、東京、名古屋、京都、徳島、福岡と全国各地に事故物件を同時に借りるという、これまでにない規模の企画です。
最も多い時期には月30万円近い家賃を支払っていたという松原。自らを「事故物件セレブ」と表現します。
しかも、どこかの部屋に寝泊まりしている間、他の部屋は空き家状態。
「効率的には悪いんですけれども、でも、これはどうしてもしたいなと思いまして」と、松原は今回の挑戦への強い思いを語りました。
地元の人だけが知る「本当の話」
なぜ全国各地に部屋を借りる必要があったのか。松原はその理由について「実際に借りてみないと聞けない話とかってあるんですよ」と説明します。
観光客として訪れただけでは教えてもらえない話も、「僕、ここに部屋借りたんです」と言うことで、地元の人から「あそこはね、確か昔から何か良くない部屋だね」といった貴重な情報を得られるのだといいます。
「借りるっていう事実があることで、結構聞ける。そこでしか聞けない話っていうのがあって、そういう意味では、全国借りてよかったかなと思っております」
日本地図のような謎の間取り
本は全六章からなり、第一章は「九州・沖縄の事故物件」。表紙を飾る福岡の物件は、まるで日本地図のような複雑怪奇な間取りが特徴的です。「ここが本当に、もう意味がわからなくて」と松原。
この物件は勝手に増築を繰り返した結果、「何のための部屋なのかようわからん」状態になっており、物件情報も存在しないため、松原自身が間取りを測りながら構造を把握していったといいます。
「どう考えても室内に出窓あるのおかしいよな」「なんで浴室は広いのに浴槽は普通なんだろう」と、調査を進めるうちに浮かび上がってきた謎。
その謎について「もしかしたらこうだったんじゃないか」というところまで迫ることができたそうです。
個人的体験から客観的分析へ
松原は、北野誠の『おまえら行くな。』から事故物件生活が始まった頃を振り返ります。当時は、住んでみて初めてわかる不思議な出来事や、北野からの電話が途中で切れるといった怪現象など、個人的な体験をそのまま書き留めていました。
そのため初期の『恐い間取り』シリーズ、特に1と2では「自分の体験をそのまま記す」というスタイルが中心でした。しかし3作目あたりから変化が生じたといいます。
「いろんな人の話を聞いたり、自分自身も事故物件、その時でもすでに10年ぐらい住んでるから。体験とかを照らし合わせていくと、なんかこれって、その個人の体験だけじゃないな」と気づいたという松原。
共通するものがあることに気づき、「事故物件に住むとこうなるし、事故物件のイメージって大体こう思われてるな」「事故物件ってこういうパターンがあるな」と客観視できるようになったそうです。
分析する視点への変化
「3あたりから、実は僕の感情みたいなのはあまり入ってなくて。客観視して事故物件というものを書くようになった」と松原。そんな変化に気づいたのは、松原の作品を読み込んでいるカメラマンからのこんな指摘でした。
「タニシさん、この間3を読んだんですけど、1と2と全然書き方が違いますね」
1と2は「幽霊出た。怖い。不思議」で終わることも多かったものの、3からは「幽霊が出たパターンを体系付けていく。こういう物件だからこういう幽霊が出た」という研究・分析に近い形になってきたというのです。
例えば、以前は「親が霊感あるから、この人も霊感あるんだな」と勝手に結び付けていたものの、そこに疑問を抱くようになり、理由を探るようになったといいます。
実際に全国で同じパターンが見られることがわかり、特に沖縄では「おばあちゃんがユタ(霊媒師)だったら、娘や孫もユタになる可能性が高い」という統計的な傾向もあるそうです。
全国編で探る事故物件の法則
「ファンタジーじゃなくて、ちゃんと霊感っていうのもあるし、幽霊を見る人のパターンっていうのもある」
事故物件を追いかけ続けることで、こういった法則性が少しずつ見えてきたそうです。
松原は最後に「今日発売でございますので、サイン本も昨日めっちゃ1,000冊ぐらい書いてきた」と、二見書房で大量のサインをしてきたことを明かし、「ぜひいろんなお近くの本屋さんで買っていただいて」とリスナーに呼びかけました。
全国7軒の事故物件を同時に借りるという前代未聞の試み。『事故物件怪談 恐い間取り4 全国編』は、個人の体験記から客観的な分析へと変化してきた松原の、新たな挑戦が詰まった一冊です。
(minto)
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