存続が決まった名鉄西尾・蒲郡線。赤字続きへの対策は?

3月19日に日本経済新聞が報じたところによれば、赤字が続き存続が危ぶまれていた名古屋鉄道西尾・蒲郡線(通称:西蒲線)が、2026年以降も存続することになったそうです。地元の足として重要な鉄道が残るのは市民にとってはありがたい話ですが、今回存続が決まったのはどのような背景があったのでしょうか?3月21日放送『CBCラジオ #プラス!』では、蒲郡市出身のフリーアナウンサー、天野なな実が気になるニュースとして竹地祐治アナウンサーとともに解説しました。
関連リンク
この記事をradiko(ラジコ)で聴く西蒲線ってどんな路線?
西蒲線は西尾駅から吉良吉田駅までの区間を走る西尾線と、吉良吉田駅から蒲郡駅までの区間を走る蒲郡線を合わせた総称で、長さは27.3km。
この沿線に住む住民にとっては通勤、通学に利用される生活に欠かせない重要な足となっています。
この西蒲線は20年ほど前から赤字が続いており、存続について名古屋鉄道と西尾市、蒲郡市の間で協議し続けていました。
2010年度からは西尾市と蒲郡市が毎年2億5千万円の支援金を投入し、なんとか続けてきましたが、2026年度以降も存続するかどうかは未定でした。
みなし上下分離方式とは
そして19日、3者の担当者などが集まり今後の運営方針が話し合われた結果、存続が決定しました。
蒲郡線は2027年度から「みなし上下分離方式」で運行することが決まったのです。
「みなし上下分離方式」とは、鉄道会社が設備を所有したままで、維持管理の経費を自治体が負担する事業方式のこと。
運行を上、施設を下という位置付けですが、実際に自治体が施設を保有するわけではなく、完全に分離しないために「みなし」という表現が使われています。
15年間にわたり、年間4億から4億5千万円ほどを名鉄に支援するとのことです。
赤字路線を存続すべきか
高校生の時に蒲郡線を利用していた天野。
当時は朝に満員になるほど利用者が多く、地域の足として重要と語る一方、日中に車内がガラガラという状況も目にしていて、経営の厳しさは認識しているとのこと。
天野「でも困る人たちってたくさんいるんですよね。もし路線がなくなってしまったら、その地域の過疎化も進んでしまいますし、地域住民の方たちのためにも守っていかなきゃいけない、なくしてはいけない路線なんじゃないかなって強く思っています」
竹地「名鉄さんも民間経営なので、採算が取れない不採算路線だと今後どうするのかっていう問題がありますよね。
ただ、いま史上最高益が出るぐらい勢いのいい名鉄さんなので、周辺の市町村と話し合いながら、残せるんだったらどういう方法があるのか、こういう形で市町村にある程度応分の支援金を負担してもらって継続していく」
鉄道会社は赤字を解消したい、でも廃止すると住民が困るため、存続すべきかどうか問題は、蒲郡線に限らず多くの地方で起こっている問題です。
沿線の魅力を活用
名鉄の総営業距離は444.2km。これはJRを除く日本の私鉄で第3位という長さです。
これには名鉄の成り立ちが関係しています。
竹地「1930年代、40年代って合併合併の歴史だったんですね。名古屋鉄道という名前だったり、名岐鉄道っていう名前だったり、いろんなところとくっついて沿線を拡大拡張してきた歴史があった。
昔拡大していく時には、車がこんなに社会で当たり前に使われる状況じゃなかったから、本当にみんなの足だったんですけど、こういう時代になってしまうと、交通機関の生き残りの方法は時代に合わせて変わっていくので、難しい部分があるのかなと思ってます」
民間企業の力だけで存続させるのは限界があり、自治体の支援も必要です。しかし、何よりも利用することが大事です。
蒲郡線は海沿いを走る路線で観光としても活用できそうな路線で、竹地は「うまい使い方、残し方をもうちょっと幅を広げて考えても良いかもしれない。『とにかく乗ってください、利益を上げてください』だけじゃない利用の仕方っていうのも、広げて考えていく必要があるんじゃないかな」とまとめました。
(岡本)
番組紹介

読んで聴く、新しい習慣。番組内容を編集した記事からラジオ番組を聴いていただける”RadiChubu”。名古屋を拠点とするCBCラジオの番組と連動した、中部地方ならではの記事を配信する情報サイトです。