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追悼~俳優ロバート・レッドフォードさんが輝いた“華麗なる”映画の時代

追悼~俳優ロバート・レッドフォードさんが輝いた“華麗なる”映画の時代
イメージ画像:「ロサンゼルスのハリウッドサイン」(写真ACより)

“二枚目スター”という称号は、この人のためにあったのではないだろうか。大好きな映画スターだった。ハリウッド俳優、ロバート・レッドフォードさんが亡くなった。89歳だった。

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ハリウッドの銀幕を彩る

イメージ画像:『明日に向かって撃て!』(写真ACより)

レッドフォードさんは、1936年(昭和11年)に米国カリフォルニア州に生まれた。2025年(令和7年)9月16日、日本にも届いた訃報に、多くの映画ファンが寂しさと共に、彼が関わった数々の作品を思い浮かべていることだろう。出世作となった『明日に向かって撃て!』(1969年)など、特に1900年代後半の、ハリウッドの銀幕を彩った。

痛快な映画『スティング』

真っ先に思い浮かぶ映画は『スティング』(1973年)である。米アカデミー賞の作品賞にも輝いた。『明日に向かって撃て!』でも共演したポール・ニューマンさんとのダブル主演で、ギャングのボスを手玉に取る詐欺師コンビを演じた。ラストの“大どんでん返し”は、映画史上に残る痛快さだ。レッドフォードさんは、ニューマンさん演じる百戦錬磨のベテラン詐欺師と出会い、反発しながらも尊敬して、やがて一緒に仲間の復讐を果たす青年の役を見事に演じた。ハンチング帽をかぶったレッドフォードさんの明るい笑顔は、目に焼きついている。

1970年代を席巻した

同じ年には、恋愛映画『追憶』(1973年)にも主演した。歌手のバーブラ・ストライサンドさんと共演し、学生運動を舞台に、愛し合いながらも別れてゆく男女を、実にナイーブに演じた。アカデミー歌曲賞を取ったテーマ曲を聴くと、今もレッドフォードさんの、誠実で、時おり哀しい目を見せる主人公の姿が浮かぶ。

邦題に「華麗なる」が付けられた2つの作品、『華麗なるギャッツビー』(1974年)と『華麗なるヒコーキ野郎』(1975年)も懐かしい。この時期には同時に『コンドル』(1975年)というCIAを舞台にしたサスペンス映画にも出演して、女優フェイ・ダナウェイさんとの共演が話題になった。1970年代半ばは、まさに“映画と言えばロバート・レッドフォード”状態だった。

『大統領の陰謀』の魅力

イメージ画像:『大統領の陰謀』(写真ACより)

ニクソン米大統領が失脚したウォーターゲート事件を描いた名作『大統領の陰謀』(1976年)では、ダスティン・ホフマンさんと共に、ワシントン・ポスト紙の記者を演じた。この2人の新聞記者が、民主党本部に仕掛けられた盗聴器をめぐる事件の真相を暴いていく。ここでも、レッドフォードさんは、先輩記者役だったホフマンさんと真実を求めて取材を続ける、迫真の演技を見せた。彼の代表作のひとつとなり、その後、監督としても『普通の人々』(1980年)など社会派映画を製作していく、大きなきっかけになった1本であろう。

80歳『アベンジャーズ』に登場

時は流れて、マーベル映画の『アベンジャーズ』シリーズで、その姿を観た時は嬉しかった。『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014年)や『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)で、裏の顔を持つ政府高官役を演じた。レッドフォードさんは80歳前後だったが、スクリーンの中で圧倒的な存在感を見せた。ファンとして、その健在ぶりが嬉しかった。SFXの特殊撮影やCG加工が全盛になった現在、生身(なまみ)の映画俳優として、または監督として、時代を駆け抜けたハリウッドのスターだった。

またひとり、大切な映画スターが旅立った。ロバート・レッドフォードさんは、ひときわ明るく輝く星になって、その笑顔で夜空を魅了していくことだろう。今夜は久しぶりに映画『スティング』を観て過ごそうか。

【東西南北論説風(626)  by CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】

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