知ればもっと温かい?冬の必需品カイロの昔と今
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2月を迎え、日本列島は最も冷え込む季節となりました。寒波も訪れ寒さの厳しい今日この頃ですが、そんな時に欠かせないのがカイロの存在です。2月5日放送のCBCラジオ『つボイノリオの聞けば聞くほど』では、そんな冬の味方のカイロについて深掘りしました。日本生まれ、日本独自の保温機であるカイロの歴史はなんと江戸時代から。今年75歳となるつボイノリオが、往年のカイロのあれこれを語っています。聞き手は小高直子アナウンサーです。
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きっかけはリスナーからのとある投稿でした。
「ついに大寒波がやってまいりました。昨日は本当に寒かったので、今季初めて足の裏にカイロを貼りました」(Aさん)
小高「足の裏に貼るカイロ、あれいいよね」
つボイ「ひとえにカイロといっても、年代差がいろいろありますよ」
現在は使い捨てカイロが主流で、袋から出して振ると数時間放熱してくれるものや、それらを衣類に貼り付けて使用する「貼るカイロ」がよく使われています。
Aさんが使用したのも、足の裏用に小ぶりのサイズで作られた貼るタイプのカイロです。
つボイ「今もうこういうのばっかりでしょ?」
小高「え、ハクキンカイロとか、そういう話?」
ハクキンカイロ(ベンジンカイロ)とは大正時代あたりから登場したカイロです。ベンジンの気化ガスと白金の触媒作用を利用して燃焼させ、酸化熱を発生させる仕組みです。
1978年ごろに現在の使い捨てカイロが現れるまでは、このタイプのカイロが使われていたようです。
古き良きカイロ
つボイ「いやハクキンカイロも私にとっては新しいんです」
つボイが「カイロ」と聞いて思い出すのは、そのさらに前のタイプなのだとか。
つボイ「懐炉灰というものが筒の中に入っていて、それに火をつけるんです。燃えたら金属の眼鏡ケースみたいなやつの中に入れてふたを閉めて、袋に入れてから懐やら背中に当てると」
これは「灰式カイロ」と呼ばれ、明治時代あたりから使用されていたようです。容器の中で実際に燃えているわけですから温かいのは間違いありませんが、いま使うのはなんだか少し勇気がいるような気もします。
しかし明治時代には大流行し、カイロを製造するメーカーも多数設立されたのだとか。その影響もあって、当時は安価な暖房機としてかなり普及していたようです。
貼れないカイロを貼りたい
つボイ「それを思うと、ハクキンカイロのなんと近代的なことか。灰を燃やすのではなくて、揮発性のものを燃焼させる熱でもって温めるわけですから」
小高「あれをね、使い古したストッキングに入れてね、くるくるってタオルで巻いてね、腰のところに結ぶなんていう話は全く知りません」
つボイ「知ってるやろアンタ!(笑)」
ハクキンカイロは容器に入れて使うので、現在のカイロのように衣類に貼ったりはできません。でも腰を温めたい。手も自由に使えるよう空けておきたい。
そんな今も昔も変わらない悩みを、先人たちがなんとか打開しようと知恵と工夫で編み出したのが、小高の言うストッキング巻き付けスタイルのようです。
こういった便利さに対する渇望や試行錯誤が、今では当たり前となっている「貼るカイロ」につながっているかと思うと、カイロひとつとっても人々の紡いできた歴史の偉大さを感じます。
どんどん便利に
カイロの歴史を辿ったところで、話は現在の使い捨てカイロに戻ります。
つボイ「そして今の『貼るカイロ』。『貼るってどういうことや!貼れへんやろそんなもん!』って昔の人は思いますよ」
小高「特に足の中の貼るカイロ、あれ考えた人天才ですね」
使い捨てカイロは1978年に登場すると瞬く間に普及し、あっという間に白金カイロに取って代わります。
つボイと小高が絶賛する貼るタイプのカイロは1988年に登場し、「くつ用」「くつ下用」「中敷き用」「スリッパ用」など、さまざまな用途に沿って商品化されてきたようです。
最近では繰り返し使える充電式のカイロも登場し、環境にも優しく経済的だと人気が集まっています。
形を変えながらも、今も昔も日本の冬には欠かせないカイロ。「昔は炭を持ち歩いていたんだな」と思うと、当たり前になった現在のカイロがとてもありがたく感じるような気がします。
(吉村)