児童たちをケガから守る!「認定スクールトレーナー」とは?
運動や部活動の際にケガをする児童や生徒の割合が増えていることから、学校に出向いて適切な運動方法を指導するスクールトレーナーという認定制度が今年度から始まり、1期生130人が誕生しています。なぜいまスクールトレーナーが必要とされているのでしょうか?12月4日放送『CBCラジオ #プラス!』では、ジャーナリストの北辻利寿さんが認定スクールトレーナー制度について解説しました。聞き手は永岡歩アナウンサーと三浦優奈です。
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認定スクールトレーナーとは、学校でこどもたちにそれぞれの身体に合った運動方法を指導する専門家。外部から来る方で教員ではありません。
北辻さんは、心のケアをするスクールカウンセラーは誕生して30年経ちますが、体づくりのケアをするのが認定スクールトレーナーと語りました。
認定には理学療法士という国家資格が必要で、これは座る、立つ、歩くといった人間の基本的な動作、身体づくりを指導する専門家で、例えば主に病院や高齢者施設などを支援してきました。
そして今度は、学校に派遣して指導しようという狙いです。
40単位の基礎研修を受講した後に認定試験を受けて、合格すればスクールトレーナーとして認定されます。
今年に初めて試験が行なわれましたが、倍率がなんと15倍以上という狭き門です。
必要性が高まっている背景
ではなぜ、学校に理学療法士が必要となってきたのでしょうか。
こどもが体育の授業や部活動でケガをするケースが増えてきていて、スポーツ振興センターのまとめでは事故が1980年代から増え始め、2000年代には年間50万件を超えてきているそうです。
その背景としては、こどもたちがだんだん公園で遊べなくなってきたということもあり、体力が低下してきたケースがあると言われがちですが、それだけではないようです。
認定スクールトレーナー制度を実施している公益財団法人運動器の健康・日本協会によると、最近のこどもの身体は2つに分類され、ひとつは運動不足による体力低下がありますが、もう一方ではスポーツのし過ぎでケガや障害を負うという二極化が起こっています。
先生のためにも必要
あらゆることを担任の先生が対応するのには限界があるため、専門家が入るというのは必要なことかもしれません。
北辻「認定スクールトレーナーというのは、学校の保健室とかとスクラムを組んで、まずはこどもたちには良い姿勢とか良い歩き方とかストレッチの仕方とかを指導するし、クラブ活動の顧問の先生方にはケガの防止や再発を防ぐ運動プログラムをどうしたら良いかを指導する。
学校を舞台にこどもたち、先生たちに総合的にこどもの身体づくりを教えるという立場ですね」
また北辻さんは、定期検診などでやってくる校医さんは一般的に内科や小児科の先生が多いですが、身体づくりの専門家はなかなかいないことを指摘し、今までにカバーできなかった部分を対応できることが期待されます。
今年度が初めてということですが、今後必要性はますます高まっていきそうですね。
(岡本)