元中日・川上憲伸「ドラゴンズは野球ゲームなら強い」。その心は?
10月16日放送の『ドラ魂キング』(CBCラジオ)は、中日ドラゴンズOBの川上憲伸さんを迎えて、今季のドラゴンズの総括と未来について話を伺いました。「憲伸さん!来シーズン、ドラゴンズは大丈夫ですか?今シーズンひどすぎましたが…」というリスナーの率直な声に、憲伸さんの回答は?
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この質問に「ふっ」と笑って、「ひどいっていうか。6位だけど、なんで6位だったのかな?と思うぐらい、いい選手も育ってきているようにも思うし。そう考えると、1人1人の選手が自分の役割とかチームのために前を向いていければ、もっと上の順位になってたのかなっていう感じはする」と返す憲伸さん。
例えば野球ゲームをしていてセ・リーグからチームを選ぶことになった場合、憲伸さんは「まあまあ強いな」と思ってドラゴンズを選ぶというのです。
「なぜドラゴンズは強いんだろう」。自問自答した憲伸さんが出した答えはこうです。
川上「パワーヒッターが何人かいるし、守備で肩が強い選手もそこそこいるし。走れる選手が意外と少ないっていうのはあるんですけど」
さらに突き詰めて考えると、「ゲームでは、ボール球を振る、振らないは自分で決められる」というポイントが見えてきました。
絶対に選ばないチームは?
川上「簡単に振る人が多いんですよ、ドラゴンズって。僕から見たら。これさえなくなれば。だから攻撃面ですよ。ドラゴンズは強いんじゃないかなと思いますね。多分、広島より強いと思いますよ、普通に」
実は、野球ゲームで憲伸さんがもっとも選びたくないのが「広島東洋カープ」。
川上「優勝したら賞金100万円っていわれたら、僕、広島は選ばんと思う。どうやって勝つの?これで」
本当の野球では、見えない部分やさまざまな要素によって結果が出ますが、単純に野球ゲームの世界では「広島はあんまり強くない」と断言する憲伸さん。
非常に興味深い例え話です。
負けている時にいい投球ができる理由
続いてはピッチャー陣について。
川上「ピッチャーはいいですよ。他球団に比べたら。ただ先発陣もいえることだと思うんですけど、負けてる時っていいピッチングできるんですよ」
これは元投手ならではの目線。リードされていたり、初回に1点取られたりしている方が、いい投球ができるそうです。
今年のドラゴンズについては、「ピッチャーがいいから、打線が打ったら絶対に優勝を狙えるのに」という声も多く聞かれました。
しかし実際は、いざ打線が点を取ると、必ずといっていいほどピッチャー陣が打たれていました。
憲伸さんによると、これは「投打がかみ合わない」とは別の話。
点を取られると、これ以上失うものがないので、投手は意外と楽に投げられるというのです。
川上「ここを乗り切れると、ドラゴンズは本当に強いと思うんですよ」
投手経験のない人間はこう言う
憲伸さん自身も初回が苦手なピッチャーでした。立ち上がりで点数を取られるピッチャーは、味方が点を取ってくれないときはいいピッチングができるというのです。
川上「一番は、1点取られるのがいいんですけど。本当にのびのび投げれるっていうか。のびのびっていう言い方は失礼だけど」
逆に2~3点のリードがあると、「このランナー出しちゃうと…」などと考えすぎて、真ん中に投げられなくなり、際どいコースを狙うも、振られずにボール、ボールのフォアボール。こんな悪循環にはまってしまうことがあるそうです。
川上「『フォアボールが点に結び付くんですよね』って、ピッチャーしたことない人間はよく言うじゃないですか。なんでフォアボールが出るかわかるやろって。勝っとるのを変に守りに行くから、際どいところ狙ってボールになってるだけなんよ。で、球数が増えていくだけ。油断してるわけじゃない」
油断して、適当に投げてフォアボールならまだいいものの、丁寧にいって丁寧にいって、緊張感の中で投げてフォアボールになるから、思い切って真ん中にどんどん行けなくなってしまうというのです。
死に物狂いで投げては外れていく
1点リードの6回、先頭バッターにフォアボールを出してしまった投手を見た時に、「うわー、すごい大事にいってるなこのピッチャー。気を使ってやり過ぎてるな」と感じるのが憲伸さん。
一方、「うわー、先頭打者に簡単にフォアボールなんて出したらいけないんですよ」と言ってしまうのが、外野手出身の解説者だといいます。
川上「誰が出すよ、こんなもん簡単にって。1,000万かかってる試合で(10勝1億円で、1勝1000万円の計算)なんとなくで投げる?先頭バッターに。投げないですよ。死に物狂いで投げるわけですよ。それが逆に外れていくっていう」
元ピッチャーならではのリアルなお話でした。
(minto)