レトルトがルーを追い越した!カレー業界に大きな変革の波
【CBCテレビ イッポウ金曜論説室】
※2月8日放送の「イッポウ~金曜論説室コーナー」に基づく原稿内容です
2月12日は「レトルトカレー」の日です。
今から50年以上前の1968年(昭和43年)のこの日に、世界で最初の市販用レトルト食品として「ボンカレー」が発売されたことに由来します。
パッケージには昭和の時代に『琴姫七変化』や『旅がらすくれないお仙』などのテレビ時代劇で人気だった女優・松山容子さんの写真が載せられました。年配の方にとっては懐かしいですね。
発売当初は半透明のパックで賞味期限は2~3か月でしたが、翌年にはアルミパックになり賞味期限も2年に延びて、全国発売されました。
カレーについて興味深い調査結果があります。
調査会社インテージが販売データを基に調べた市場規模で、2017年に初めて、レトルトカレーがルーカレーを僅差ですが追い越しました。逆転は初めてのことです。
2018年にはその差がさらに開き、ルー436億円に対し、レトルトが482億円とその勢いは加速しています。
調査を行ったインテージでは、その理由として「生活や社会環境の変化に伴い、食材を揃えての調理に手間をかけるより簡便に食べたいという志向が強まっていること」そして「レトルトカレーの品質や味の向上」を挙げています。
レトルトカレーはかつて一人暮らし向きというイメージがありました。同じくインテージがカレー購入者の世帯タイプを調査したところ、2017年の調査では、単身者は20対8の比率でレトルト派でしたが、夫婦のみの世帯もレトルト21、ルー22と拮抗していることが判りました。
こうした勢いの中、レトルトカレーは進化し続けています。
「レトルトカレーの日」にゆかりの大塚食品によりますと、商品はますます多様化しています。沖縄県限定で販売しているデビュー当時のボンカレー以外は、現在、箱ごと電子レンジで簡単に調理できる商品にしたとのこと、合わせて「たんぱく質・糖質・減塩」といった栄養に配慮した商品も発売しています。さらに長期保存も可能です。
時代の変化を感じる結果へ
キーワードは「超高齢社会」。たしかにお年寄りにとって、お湯を沸かしてレトルト食品を温める際は熱湯が危険ということもあります。またバランスのいい栄養を取ることが求められていて、それがコントロールされていることも魅力です。常温で保存できることも大きな要因でしょう。子ども向けのレトルトカレーもあって、最近は家族でそれぞれが自分の好みに合わせてレトルトカレーを楽しめるように開発は続いていると大塚食品では話しています。
カレーといえば「家庭の味」「お母さんの味」の代表格でした。しかし、レトルトカレーの進化そして市場調査でルーカレーを逆転したことは、あらためて時代の変化を感じさせる結果となりました。
【イッポウ「金曜論説室」より by CBCテレビ論説室長・北辻利寿】