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起点と終点が同じ!?“海上国道”を有する日本初の環状国道「国道16号」を巡る旅

起点と終点が同じ!?“海上国道”を有する日本初の環状国道「国道16号」を巡る旅
CBCテレビ『道との遭遇』

ミキの昴生と亜生がMCを務める、全国の道に特化したバラエティ番組『道との遭遇』。今回は、年間4万kmもの道をドライブするほど道が好きな道マニア歴14年の片山俊宏さんが、首都圏を囲む日本初の環状国道「国道16号」を巡ります。

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東京・神奈川・埼玉・千葉の首都圏を囲む「国道16号」

CBCテレビ『道との遭遇』

東京から放射状に伸びる主要な国道を外周でつなぎ、東京・神奈川・埼玉・千葉の首都圏をぐるりと囲む日本初の環状国道「国道16号」。かつては軍事拠点を結ぶ軍用道路として整備され、隧道や戦時中の痕跡が多く残る道マニアにも人気の高い道と言います。

(道マニア・片山俊宏さん)
「国道16号を紹介したい。起点と終点が同じ場所で、環状線のようにぐるっと1周して戻ってくる。国道としては非常に珍しい」

CBCテレビ『道との遭遇』

そして、国道16号を語る上で欠かせないのが、神奈川と千葉を繋ぐ“海上国道”を有すること。神奈川県横須賀市から千葉県富津市まで東京湾フェリーが運行しており、この海路が事実上の国道と定められています。

今回は神奈川・千葉の国道16号を紹介ということで、まずは横浜駅近くの高島町交差点へ。

(道マニア・片山俊宏さん)
「この高島町交差点が、国道16号の起点でもあり終点でもある。ここから国道16号は、横須賀方面と八王子方面に伸びている。八王子方面に伸びる道は、(一部が)昔は衣を運んだりする道で“絹の道”とも呼ばれていた。それで発展したという背景もある」

CBCテレビ『道との遭遇』

「高島町」という名称は、“近代横浜の開発王”と呼ばれる高島嘉右衛門(たかしまかえもん)に由来。横浜港の埋め立て事業や鉄道の敷設を手がけ、この周辺の基盤を作った“横浜の父”と言われています。

彼が手がけた高島町は、横浜港や国道1号とつながり、軍事や物流、行政の拠点となった重要な場所。故に1952年(昭和27年)、高島町が国道16号の起点と定められました。

隧道が多い街!?かつて軍都として発展した横須賀市

CBCテレビ『道との遭遇』

起点の高島町交差点から横須賀方面へ進み、横須賀駅の付近に差し掛かると、国道16号を語る上で欠かせないあるポイントが現れます。

(道マニア・片山俊宏さん)
「これは、昭和20年竣工の『横須賀隧道』。坑門にあしらわれている模様は、ハマユウという横須賀市の花。国道16号の隧道は、面白いことに横須賀市に16本ある」

日本の中でも、特に隧道が多い街として有名な横須賀。起伏の激しい三浦半島の付け根に位置し、道路を通すには山を貫くしかなかったため、明治以降に多くの隧道が掘られました。

CBCテレビ『道との遭遇』

この横須賀隧道は上下線で造られた時期や構造が違い、当初は片側1車線・対面通行の隧道1本のみでしたが、昭和以降、交通量の増加から上下線が独立。新設された隧道は「新横須賀隧道」と呼ばれ、国道16号の一部となっています。

(道マニア・片山俊宏さん)
「さらに、隧道の上が遊歩道みたいになっていて珍しい。階段のある坂が『一国坂(いっこくざか)』」

一国とは“一つの国が終わり、別の国が始まる場所”、つまり“国境(くにざかい)”を示しており、一説によるとここが武蔵国(むさしのくに)と相模国(さがみのくに)の境目に存在したことから、「一国坂」と名付けられたと言います。

CBCテレビ『道との遭遇』

かつてこの付近には「一國屋(いっこくや)」という旅館も存在し、軍港都市の横須賀で軍人や役人の宿場的な役割を果たしました。

一国坂を上り切った頂上からは、海上自衛隊横須賀基地や停泊する船が一望でき、「ここは隠れた名所」と片山さん。

横須賀は幕末以降“軍都”として発展した街でもありました。周辺には“戦車道路”や“弾薬道路”が点在。爆薬を運ぶため、路盤を強化して振動を減らす工法がとられています。

神奈川と千葉を結ぶ“海上国道”

CBCテレビ『道との遭遇』

続いては、神奈川と千葉を隔てる東京湾へ。

(道マニア・片山俊宏さん)
「神奈川の走水(はしりみず)から千葉の富津(ふっつ)岬を繋ぐ船や橋がないので、久里浜から金谷をつなぐ東京湾フェリー航路で神奈川から千葉に渡る。“海上国道”と言って、海の上も国道と指定されている」

当初、海上区間に指定されたのは、神奈川・千葉を最短で結ぶ走水から富津のラインでした。しかし、起伏の激しい地形や軍事拠点が存在したことから、大規模な港を整備する余地がなく、計画は見直されることに。

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そこで、神奈川県の久里浜港から千葉県の金谷港を結ぶ約11.5kmの航路を事実上の国道16号と指定。海を渡る区間は“海上国道”と呼ばれ、「他に、新潟県の国道350号など海上国道はいくつかある」と片山さんは言います。

さらに、横須賀市と富津市を結ぶこの区間には、ある軍事的な意味合いが含まれているようで…

(道マニア・片山俊宏さん)
「千葉県側にも神奈川県側にも、戦争時代には東京湾に船を入れないために、両サイドに砲台の跡や軍の施設がある」

浦賀から程近い距離を運行するこの航路では、ペリー来航の歴史にちなんで黒船をモチーフとしたフェリーも運行中。

東京湾を横断する有料道路「アクアライン」より40年も早く開設された東京湾フェリーは、流通ルートとして重宝されたほか、観光の起爆剤にもなり、海上国道は街の発展に一役買いました。

富津岬の沖合に残る軍事施設の遺構「第一海堡」

CBCテレビ『道との遭遇』

久里浜港を出港し、海を渡ること40分。到着した金谷港から北上し、富津公園へ。「軍用道路だった国道16号に関連する“あるもの”が見られる」と片山さん。

本来、海上国道として繋がるはずだった富津岬に到着すると、1968年の明治百年を祝して建てられた富津市のシンボル「明治百年記念展望塔」が姿を現します。

五葉松(ごようまつ)をモチーフとした枝のように広がるテラスからは、対岸の横須賀や歴史的な遺構を一望できます。そして…

CBCテレビ『道との遭遇』

(道マニア・片山俊宏さん)
「あれは、『第一海堡(かいほう)』という軍事施設。横須賀の方と相互から敵をけん制しているような場所。その軍事施設がまだ残っている」

外国艦隊侵入を防ぐため、砲台を設置した人工島の要塞「海堡」。明治政府が“首都・東京を守る最後の砦”として計画したもので、日本には3つの海堡が存在。現在は無人の人工島として残っています。

CBCテレビ「道との遭遇」2025年9月9日(火)午後11時56分放送より

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